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転生したら子猫だった  作者: こっちのあっきー


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広がる世界と、新たなる風の予兆にゃ!

 人間と猫が本音で語り合い、大豆の油と粉が国中を黄金色の豊穣で満たす日々。

 レオとニナの温かい新居の窓辺からは、活気に満ちた『猫の町』の美しい夜景が広がっていた。街灯には猫豆油の明かりが灯り、通りを行き交う人々は皆、健康で穏やかな表情をしている。かつては冷え切っていた町の空気に、今は確かな温もりが流れていた。


 しかし、これほどの富と、何千匹もの「魔法猫」を擁する楽園の噂が、世界の中心にいる強者たちに届かないはずがなかった。

 ある日の深夜、キラは町を見下ろす高台の屋根の上で、静かに夜空を眺めていた。ただの風景を見ているのではない。キラの研ぎ澄まされた感覚は、国境のさらに先、広大な平原の向こう側にあった。そこに、これまでの飢饉とは全く質の異なる、禍々しく重たい「気配」が渦巻いていることを察知したのだ。


 それは、大国が送り出した精鋭の軍勢であった。彼らは猫の国の豊かな土地と、そこに眠る未知の資源を奪い取るべく、すでに密かに国境線を越えていた。

 キラが風の流れを読み取ると、そこには彼らの野心と、この地を平らげようとする悪意が不穏な空気となって混ざり込んでいるのが分かった。


(ふむ……一難去って、また大難、か。飢えという敵を追い払ったと思えば、今度は力に溺れた人間どもが寄ってきたか)


 キラの白い毛並みの奥で、冷徹な『王の目』が妖しく青く輝いた。

 今の猫の国は、単なる野良猫の集まりではない。人間と猫が手を携え、食糧も、体力も、そして確かな絆も手に入れた「完成されたコミュニティ」だ。その幸せな生活を、力ずくで踏みにじろうとする者たちを、キラは決して許すつもりはなかった。


(俺たちのネットワーク、俺たちの家、そして何より、レオやニナといったかけがえのない家族を……誰にも傷つけさせはしない)


 キラは静かに爪を立てると、愛おしい町を眼下に収め、来るべき嵐に備えて戦いの準備を始めた。その姿は、もはや一匹の猫ではなく、国を守護する揺るぎない王の風格に満ちていた。


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