自生からの脱却と、猫たちの「お仕事」にゃ!
『猫豆』の大ヒットにより、町の食糧危機は完全に回避された。しかし、天才的なサバイバル頭脳を持つキラ(シロ)は、早くも次なる問題点を見検出していた。
(野生の大豆を収穫するだけでは、いずれ資源が枯渇する。人間どもに農業を任せるのも手だが、冷害のダメージが残る今、圧倒的に人手が足りない。ならば――我がネットワークの『労働力』を投入するまでだ)
キラは町のすべての猫たちに向けて、猫耳ネットワークを介した新たな大号令を発した。
そのミッション内容は、猫なら誰もが生まれ持つ「天性の得意技」を応用したものだった。すなわち――【穴を掘り、埋める】という、おトイレの時に必ず行うあの本能の行動である。
キラは、人間たちが手をつけていない広大な荒れ地へと猫たちをトコトコと先導した。
拓かれた柔らかな土の上で、自らお手本を示すようにトントンとリズミカルに穴を掘り、そこに猫豆の種を落とし、優しく土を被せてみせたのだ。
「みゃう(お兄ちゃん、こうですの……?)」
キラの隣で、りなが小さな白い手足を泥だらけにしながら、一生懸命に穴を掘って種を埋めていく。それを見た何百匹もの猫たちも一斉に、フリフリとお尻を振りながら「掘って、埋める」の大豆植えを一斉に開始した。
これこそが、後に歴史に刻まれる「猫式自動植栽システム」の幕開けであった。




