劇的邂逅、そして『りな』の特等席にゃ!
ある朝、レオはいつもより数時間早く、まだ夜が明けきらない静寂の中で目を覚ました。
カーテンの隙間から、薄い月明かりが差し込んでいる。レオがベッドから起き上がろうとしたその時、窓枠に「二つの小さな影」が音もなく飛び乗るのが見えた。
「あ……」
レオは息を呑み、声を押し殺した。
そこにいたのは、いつも自分の部屋で丸くなっている愛猫の『シロ(キラ)』だった。さらにキラのすぐ隣には、自分より一回り小さな、四肢の先だけが雪のように白い美しい黒猫――『りな』の首元を器用に咥え、トコトコと窓を跨ぐ姿があった。
キラはりなを窓辺に優しく降ろすと、自分の頭の上のバランスで綺麗に運んできた「ハーブ川魚の包み」を、いつもの場所へそっと置いた。
「シロ……! お前、お前が毎日、これを運んでくれていたのか……!?」
レオが感極まった声を上げて駆け寄る。
キラは「にゃ〜お(気づかれたか、少年)」と短く鳴き、あえて逃げずにドヤ顔で胸のフワフワな白毛を張ってみせた。
レオは涙をボロボロと流しながら、キラと、そしてまだ怯えてキラの背中にすがろうとしている小さなりなを、壊れ物を扱うように優しく、同時に抱きしめた。
「ありがとう……。お前が俺を支えてくれていたんだな。それに、その小さな黒猫ちゃんも、お前の大切な仲間なんだろ? 寒かったろうに、もう大丈夫だ。今日からお前も、俺の家に一緒に暮らそう」
キラはレオの腕の中で(これで人間側の安全な繋がりも、完全構築完了だな)と、満足げに確信していた。
りなはレオの腕の中で一瞬身を硬くしたが、キラが「ゴロゴロ……」と優しく喉を鳴らすのを聞くと、安心してレオの胸に小さな頭を委ねた。こうして、りなもまた、世界一安全で暖かい「帰るべき場所」を手に入れたのだった。




