川底の掌握と、泥臭さの壁にゃ!
「みゃう! お兄ちゃん!」
キラの姿を見るなり、りなは小さな白い手足を跳ねさせてトコトコと駆け寄ってきた。今やキラの隣は完全に彼女の特等席だ。
キラはボス猫率いる精鋭の野良猫たちを集め、冷たい風が吹き付ける川べりへと移動した。川の中を覗き込むと、丸々と太った川魚(淡水サーモンのような魔魚)が群れをなして泳いでいる。
「総大将、魚がいるのは分かりますが……俺たち猫の短い足じゃ、冷たい水に飛び込んでも逃げられちまいますぜ」
ボス猫が情けない声を上げる。
(フン、水に浸かる必要などない。大気の物理法則を操作すればいいだけだ)
キラの瞳がスッと冷徹な【解明の魔眼】へ切り替わる。川の流速、魚の泳ぐベクトル、すべてを脳内で計算。
キラが肉球を川面に向けると、【空気の密度・温度管理】の能力が発動した。魚の真上の空気を瞬間的に極限まで「収縮(高気圧化)」させ、その圧力の反動で、川の水をピンポイントで爆発させたのだ。
ドバァンッ!
水柱と共に、丸々と太った川魚が何匹も陸地へと弾き飛ばされる。
「うおおお! すげえ!」と歓喜する猫たち。だが、キラは獲れた魚の匂いを嗅ぎ、微かに髭をピクリと動かした。
(……チッ、川魚特有の強烈な『泥臭さ』があるな。このままじゃ、胃腸の弱りやすい町の猫たちに大量に与えれば、消化不良や寄生虫のリスクがある。これらを完全に中和する『触媒』が必要だ)




