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最弱の贅沢と、冷害の影にゃ!
街の裏社会を完全に掌握したキラ(シロ)だったが、次なる課題はすぐにやってきた。季節の変わり目、異変とも言える「冷害」が街を襲い、市場に流通する家畜の肉の価格が跳ね上がったのだ。
「シロ, ごめんな……。今日から駐屯地の賄い飯も肉が減って、スープが薄くなっちまったんだ」
レオが申し訳なさそうに、水っぽいスープの器を差し出す。
(ふむ、人間側の食糧事情の悪化か。これが続けば、俺やりなの取り分はもちろん、猫耳ネットワークの末端にいる町の猫たちから飢えていくな……)
キラはペロペロとスープを舐めながら、前世「キラ」としてのサバイバル頭脳を回転させる。
肉がダメなら、別の供給源を開拓するまで。キラは、町のすぐ側を流れる巨大な「一級河川」の存在に目をつけた。人間たちは効率的な漁獲技術を持たず、冷たい川底に眠る豊富な川魚(タンパク質)を完全に放置していたのだ。
(まずは川魚の開拓。そして、それを猫の胃腸に最適化させるための『掛け算の栄養学』の第2ステージへ進むか)
キラは窓からトコトコと飛び出し、りなの待つ路地裏へと向かった。




