トコトコ運ぶ特製スープと、小さな信頼にゃ!
翌日から、キラの秘密の行動が始まった。
レオが作ってくれる、乗算栄養学で『調律』されたビタミンとタンパク質たっぷりの完璧なスープ。キラは自分の器から、りなが消化しやすい上澄みの部分だけを小さな木皿に分けてもらい、それをこぼさないように頭のバランスを使って、りなの隠れ家へとトコトコと毎日運んだ。
「み、みゃう……?」
最初は「何ですの、この白いフワフワな人は……」と警戒していたりなだったが、目の前に置かれるスープの、信じられないほどの優しくて美味しい匂いに抗えなかった。
ペロペロと夢中でスープを飲み干すりな。栄養が細胞に行き渡り、彼女の黒い毛並みに少しずつ健康的な艶が戻っていく。
数日後。キラがいつものようにスープを運ぶと、りなはもう怯えていなかった。
それどころか、木箱の隙間からトコトコと嬉しそうに小さな体を這い出てこさせて、キラのフワフワな白い体に、嬉しそうにその小さな体をすり寄せてきたのだ。
「みゃう……(ありがとう、白いお兄ちゃん……)」
小さな声で鳴きながら、キラの頼れる背中にすがるように寄り添ってくるりな。
前世で孤独に戦い抜いていたキラにとって、この「自分を100%信頼してすがってくる存在」の温もりは、決して悪いものではなかった。むしろ、心の底から愛おしさが込み上げてくる。
(やれやれ……。こんなに弱々しいんじゃ、俺がずっと見ててやらないとダメだな。頼りにされるのは、悪くない気分だ)
キラは少し誇らしげに髭を揺らし、りなの小さな頭を、肉球で優しくぽんぽんと撫でてあげるのだった。




