表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/72

外伝34話:商人娘の交渉ゲーム(前編) -alJz'ma Sverehka-

'20.09/02 演出を大幅に変更しました。

'20.09/08 部分的に修正しましたが、本筋に変更はありません。

'20.09/16 表現を若干修正。

外伝34話:商人娘の交渉ゲーム(前編) -alJz'ma Sverehka-


 * * *


「グラム教官……?! それって、どういうことですか!」


 動揺(どうよう)とともに身を乗り出した三班の面々に、


「やはり知らなかったか」


 と、イェルマヒムはひとりごちながら説明した。


「この試験は例年と比べて異常だろう。だから早い段階で、敵指揮官に関する調査を行った。そしてその結果、敵役の連中が公安で、さらに連中は主任のグラム教官の命令で協力させられていることが判明した。連中が陸軍戦略を使っているのは、教官が元陸軍だからだ」


「では、《青獅子隊》は……?」


「《青獅子隊》?」


 イェルマヒムは首をひねった。「今日なぜか来るって(うわさ)の、あの皇太子殿下親衛隊のことか?」


「はい。さっきそこで、遭遇(そうぐう)したんです」


「ほう、本当に来たのか。それは驚きだな。だが、その連中に関する情報は何も聞いていない。すくなくとも、《青獅子隊》は、この試験に関与(かんよ)してはいないだろうな」


「でも、そんなはずは……」


「キサマが何の誤解(ごかい)をしているんだか知らないが、グラム教官が指揮官だというのは、間違いない事実だ。確かなスジから得た情報だからな」


「確かなスジ?」


()らえた敵役の男が、気前(きまえ)よく教えてくれたの」


 平然とそんなことを言ったのはセツナだった。

 普段から(たが)いに(きら)い合っている公安が、警護課などに簡単に情報を渡すわけがないので、おそらくそこには、聞くべきではない物騒(ぶっそう)経緯(けいい)があったのだろう。


「ああ、おそろしく気前(きまえ)のいい(おろ)か者だったな。まさか歯の一本や二本で(あら)いざらい話すとは」


尋問(じんもん)方法については、あえて()かなかったんですよ」


 むしろ聞きたくなかった情報だ。こんな筋肉青年に尋問(じんもん)された(あわ)れな公安の訓練生が、無事卒業できることを(いの)るしかない。


「でも、だったら《青獅子隊》は、なんでこの試験に来てるんだ……?」


 ティガルの(はっ)した素朴(そぼく)な疑問に対して、イェルマヒムは(あご)に手を当てながら、彼の予想を()べた。


「たしかに王室護衛官が来るなど、通常では考えられない不可解(ふかかい)な事態だが――彼らは『例の件』が気になって、直接その調査に(おもむ)いているのかもな」


「例の件、ですか?」


「ああ」


 イェルマヒムはスフィルに向きなおると、その精悍(せいかん)(ひとみ)宿(やど)る、(あつ)い視線を向けた。


「すなわち、今年の警護課は、オレとスフィルのどちらが主席で卒業するのかだ」


「はぁ、やっぱりそうなるんですか」


 スフィルはげんなりとため息をもらした。真面目(まじめ)な返答が聞きたいと言い返したいが、真摯(しんし)な目を向けるイェルマヒムは、いたって大真面目(おおまじめ)なのだろう。


「スフィル君。私たちと一度、情報交換しない?」


 そう提案したのはセツナだった。


「その《青獅子隊》の話だけど、私のほうには何の情報も入ってきてないから、気になるのよね。そっちも私たちとの情報交換は、メリットになるんじゃない。敵指揮官を誤解してたくらいだし」


「どうするスフィル。信用するか?」


 小声で問いかけてきたティガルに、スフィルは「もちろん」と返答した。

 正直(しょうじき)、願ってもない提案だ。


「信用しますよ。ボク、ウソつかれたらその場でわかりますので」


「いいね。やっぱりスフィルくんは合理的だから、話しやすくていいね」


 スフィルが満面の笑みを浮べて告げれば、セツナは普段表情変化の(とぼ)しいその冷静な顔に、一片の微笑(ほほえ)みを浮かべた。

 それから一刻のあいだ、一同は、(たが)いに得た情報を提供しあっていた。

 スフィルは《青獅子隊》と遭遇(そうぐう)したときのことを話し、セツナからは、彼らが仕入れた敵役に関する情報を聞いた。

 結論から言えば、一班のもつ情報のなかに、敵指揮官の正体がグラム教官であること以上に目新(めあたら)しいものはなかった。戦略に関しては、大方(おおかた)スフィルが立てた仮説(かせつ)通りだった。

 彼らが仕入れた情報によれば、公安の訓練兵は、グラム教官に言われて嫌々参加させられているらしいが、グラム教官自身は、かなり試験に積極的なのだそうだ。

 ゆえに、教官が(だれ)かに協力させられている線は(うす)いらしい。

 とくにグラム教官は、王室護衛官を毛嫌(けぎら)いしているので、《青獅子隊》が戦略顧問(こもん)として協力している線はないだろうというのが、一班の面々と話し合った上での見解だった。


「なるほど。そうなるとたしかに、グラム教官が何のために警護課の試験に協力しているのか、不思議に思えますね」


「しかも、不可解(ふかかい)なのはそれだけじゃないの。グラム教官は直々(じきじき)に、必ず警戒すべき護衛官をふたり()げたらしくて。そのうちの一人目はエルで、それについては充分理解できるんだけど」


 そこまで言うと、セツナは一度口を(つぐ)んだ。その表情には、明らかな当惑があらわれていた。


「で、もうひとりは(だれ)なんだよ?」


 問いかけたティガルを、セツナは何も言わずにじっと見据(みす)えた。やがて、


「ティガル、あなたよ」


「え……っ?」


 その思いもよらぬひと言に、一同は、唖然(あぜん)として沈黙した。


「オイお前らな、オレが警戒されてちゃ、そんなにおかしいか?!」


 その沈黙の気まずさに()えられなくなったティガルが、(なか)(さけ)ぶように言った。


「たしかにティガルは、剣術に関しては要警戒人物ですけど……」


「受験者を二人警戒するなら、もうひとりはどう考えてもスフィルくんでしょ。ティガルは主席候補(こうほ)でもないし、戦略に()けてるわけでもないし――()いて警戒すべきポイントを()げるなら、剣筋が読みにくいってところと、あとは時計もってるから時間が把握(はあく)できるってところかな」


(だれ)が『時計係』だ、(だれ)が!」


 瞬時に()え立てたティガルのとなりで、ノワンが(あご)に手を当て、深く考え込んだ。


「さすがに、グラム教官がお前の時計を警戒して(ねら)ってる可能性は、ねえよな……?」


「なんでお前まで真面目に考えてんだ、ノワン?! そんな馬鹿な話に議論の余地(よち)ねーだろ?!」


「でも実際、さっきティガルの時計、(こわ)されましたよ」


 エズレの言に、セツナが細い(まゆ)をひそめた。


「じゃあやっぱり、グラム教官は時計を警戒して……?」


「なワケあるか! 《青獅子隊》のクソ先輩に(こわ)されたんだよ!」


「となるとやはり、教官が警戒しているのは、時計ではなく、ティガル本体だってのか……?」


 至極(しごく)真面目(まじめ)な顔で考察(こうさつ)するノワンに、ティガルがピキリと頭に青筋を立てた。


「ノワンお前、やっぱ真面目(まじめ)な顔してオレを挑発(ちょうはつ)してるだろ」


 スフィルは先ほどから、セツナの話の内容のほかに、もうひとつ気がかりなことを考えていた。

 一連の情報交換のあいだ、イェルマヒムが一向(いっこう)に口を開こうとしなかったことだ。

 たとえ彼が口を開いたところで、すべて主席卒業の話にしかならないことが予想されるので、議論の進行を考えれば、黙っていてくれるに()したことはないのだが、先ほどから、何も言わずにじっと考え込んでいる様子なのが、逆に不気味(ぶきみ)に思えて仕方がなかった。


「あの、エルマ君はどうお考えですか。グラム教官の目的について」


 問われたイェルマヒムは、かたく閉じていた(まぶた)を開け、スフィルに精悍(せいかん)双眸(そうぼう)を向けた。


「ああ、今それを考えていたところだ。教官の動機(どうき)は、大方(おおかた)理解できたと思う。――キサマたちに会ったおかげでな」


「え……っ?」


 イェルマヒムはその場で立ち上がると、黒い短外套(ケープ)についた砂埃(すなぼこり)(はた)いた。


「オレたちは、教官が試験に『協力』していると思っていた。それがすべての間違いだったんだ。教官の動機(どうき)は、協力じゃない。むしろ逆だった」


「逆……?」


妨害(ぼうがい)だ」


 イェルマヒムはそう、短く告げた。


「グラム教官の目的は、警護課の『ある人物』に対する(うら)みを晴らし、復讐(ふくしゅう)するため。そう考えれば、すべての辻褄(つじつま)が合う」


 そこまで言うと彼は、その(するど)い視線を、ひとりの護衛官に向けた。


「ティガル。オレは、キサマがすべての元凶(げんきょう)だと考えている」


「な……っ?」


 ティガルが顔を引きつらせながら、ごくりと(つば)を飲みこんだ。


「すべてはグラム教官が、二年前に公然と恥をかかせたキサマの卒業成績を落とし、復讐(ふくしゅう)するため。でなければ、グラム教官がわざわざ名指しで、キサマを確実に仕留(しと)めるよう、訓練兵に指示するわけがないからな」


「そんな二年も前のこと、今さら――」


「よく考えろ、グラム教官ならやりかねないだろう。あの教官が意外と根にもつタイプだとは、キサマもその身をもってよく知ってるはずだ。(おぼ)えてるか、教官の言い残した言葉。――『お前、このまま卒業できると思うなよ』。たしかキサマ、そう言われていたよな」


「あ、ああ、そうだぜ。警護課の教官に圧力(あつりょく)かけてまでして、オレの成績落としてきやがってよ。ほんとやり口の(きた)ねえハゲだ」


「だが教官の復讐(ふくしゅう)は、それだけでは終わらなかった。教官は去年の言葉のとおり、本当にキサマの卒業を妨害(ぼうがい)する気だ。護衛班を任務成功させないために、公安の訓練兵をつかってな。――おそらく、これがこの試験の真相(しんそう)だろう」


 スフィルは唖然(あぜん)としながら、イェルマヒムの推理を聞いていた。

 たしかに彼がグラム教官について言ったことは、すべて事実だ。

 グラム教官は、よほど根に持つタイプらしい。もう何年も前にカリエクとの決闘に(やぶ)れたことを(いま)だに(うら)んでいて、王室護衛官と官家に対して、これ以上にないほどの憎悪(ぞうお)を向けている。実際、基礎訓練時には、「王室護衛官になる」と言って(はばか)らないスフィルが、その憎悪(ぞうお)の対象にされた苦々しい記憶がある。

 そんな執念(しゅうねん)深い教官が、あろうことかまた、官家出身の護衛官であるティガルに、公然と卵を投げられたのだ。

 その時の(いか)りようは(すさ)まじく、普段関係ないはずの他課の教官に圧力をかけてまでしてティガルの成績を底辺に落とした執念(しゅうねん)には、とうのティガルをして、「ここまでやるかよ」と言わしめたくらいだ。

 すくなくとも、今のイェルマヒムの推理には矛盾(むじゅん)がない。証拠(しょうこ)こそないものの、グラム教官が指揮官である以上、そのティガル黒幕説は、現時点で最も有力な説だった。

 ここに集まる皆がそう考えたことは、彼らの反論ひとつ出ぬ沈黙が物語っていた。


冗談(じょうだん)だろう……?」


 最初に力なくつぶやいたのは、ノワンだった。「ってことはつまり、コイツ以外の俺たち全員、完全にとばっちりってことか」


「そういうことだ」


「この迷惑なクソ天邪鬼(アマノジャク)が……」


 ノワンが(ひたい)を片手で(おお)いながら、憎々(にくにく)しげに悪態をついた。

 実を言えば、敵指揮官の正体(しょうたい)とその意外な動機(どうき)に、スフィルがは驚きと同時に、安堵(あんど)(いだ)いていた。


(もし本当に、敵の指揮官が《青獅子隊》のサトリさんじゃなくて、グラム教官なんだとしたら――)


 先ほど心の底から不可能だと感じた、あの「()えない」サトリに(いど)むことの(こお)りつくほどの恐怖が、外側から少しずつ()かされていく。

 グラム教官は油断(ゆだん)ならない元陸軍人だが、すくなくとも、スフィルと同系統の思考タイプではない。冷静に長期的な判断をするよりは、すぐに短期決戦にもちこむ性格で、その差があるぶん、戦略的に彼を追い()めることは、理論上はいくらでも可能なのだ。


(この試験、思ってたよりも高い確率で、勝てるかもしれない……!)


 最上級の高揚(こうよう)(ともな)って飛んでいたスフィルの思考は、直後聞こえてきた音によって、瞬時に現実に引き戻された。

 まるで発情期のネコのような、(きたな)(つぶ)れた悲鳴(ひめい)が聞こえてきたのだ。


「あの、何やってるんですか」


 声の主は、ティガルだった。彼は現在、イェルマヒムと仲良く肩を()みながら、(きたな)い声を上げていた。


「スフィル、助けてくれ! オレたち相棒だろ!」


 スフィルに()け寄ろうとするティガルの肩を、イェルマヒムの筋肉質な太い腕が、がしりと(つか)んだ。


「おい、逃げられると思うなよ、天邪鬼(アマノジャク)野郎」


「ひっ」


「お前を苦しめて()かせてやる。覚悟しろ」


「やめろ、オレは悪くねえ! 悪いのは全部あのハゲ――痛え痛え死ぬ!」


「これは二班の分だあああっ!」


「ん゛に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」


 どうやら、仲良く肩を()んでいたわけではなさそうだ。イェルマヒムは現在、がしりと(つか)んだティガルの肩に、容赦(ようしゃ)なく近接格闘術の関節技をかけている。彼の過剰(かじょう)戦力っぷりが、今日もしっかりと火を()いているようだ。

 ティガルはあまりの痛みからか、またしても発情期のネコになっていた。


「エル、ここでこのバカに大声をあげさせるのは危険です。このバカといっしょに仲良く脱落だけは避けたいでしょう」


 セツナが()ややかな目で、涙目で技をかけられるティガルを一瞥(いちべつ)した。

 彼女のひと言で解放されたティガルは、砂のついた制服を(はた)くと、直前までの涙目が(うそ)のように飄々(ひょうひょう)と笑った。


「バカとはひでぇ言いぐさだよなぁ、セツナ。言っとくが三班(ウチ)でバカなのは、護衛対象ひとりだぜ」


「はぁっ?! 馬鹿にするのも大概(たいがい)にしてください! おれはどっかのバカな先輩と違って、教官には(さか)らわねーっすから!」


「言っとくがセツナ、教官に(さか)らえない臆病(チキン)なのも、三班(ウチ)でコイツひとりだぜ」


「おれは臆病(チキン)じゃない! 親父(おやじ)にはちゃんと(さか)らってんだからな!」


「ついでにセツナ、パパに絶賛(ぜっさん)反抗期(はんこうき)中のお子様(こちゃま)なのも、三班(ウチ)でコイツひとりだぜ」


「なんだと?! 王子権限(けんげん)(しょ)すぞ、このクソお坊ちゃま先輩が!」


「あ゛ぁ? テメー今なんつった! 『お坊ちゃま』っつったか?!」


 途端(とたん)胸倉(むなぐら)(つか)んで()え立てるふたりに、セツナが(あき)れた視線を向けながらスフィルに言った。


「あなたたち、協力したいのか喧嘩(けんか)したいのか、どっちなの?」


「あれは『喧嘩(けんか)するほど仲がいい』といって――いえ、すみません。フォローのしようもないです」


 スフィルは重苦しいため息とともにかぶりを振り、側方を向いた。

 ティガルとエズレの会話は、いつの間にか、どちらがより温室(おんしつ)育ちの(あま)ったれかという、これ以上ないほどに不毛(ふもう)な議論に発展していた。


「スフィル」


 深刻な顔をして問いかけてきたのは、イェルマヒムだった。


「オレは同じ主席候補として、キサマの思考はある程度理解しているつもりだ。――オレに協力などもちかけようとしているなら、やめておけ。オレはキサマと直接対決できるこの日を、楽しみにしていたんだ。その勝負に水を指すようなマネだけはしてくれるなよ」


「それは本末転倒ですね。護衛対象をお護りするより、ボクとの勝負のほうが大切ですか」


愚問(ぐもん)。この護衛対象はあくまで、勝負のための仮初(かりそめ)の存在だからな。――もっとも、これが公平(フェア)な勝負になるかどうかは、(はなは)だ疑問だが。キサマには、ハンディキャップがあまりに多すぎる」


「それは不要な心配です。護衛官として活動する以上、年齢や身体的なハンデを言い訳にするつもりはありません」


「違う。キサマ自身のハンデじゃない。――キサマの(かか)える、お荷物(にもつ)のチームメイトだ」


 お荷物、のひと言に、スフィルの頬がピクリと痙攣(けいれん)した。


「『お荷物』とは言ってくれますね。皆護衛能力は高いですし、一点においては(だれ)にも負けないメンバーばかりですよ」


「どうだろうな。すくなくともオレのチームは、任務中に喧嘩(ケンカ)したことは一度もない。今まで、一度たりともだ。『信頼関係』が護衛の基本だからな。オレはそういう意味でも、優秀なチームメンバーを選んでいるぞ」


 何が言いたいのかと、体格の良い青年を見上げる。彼の視線に宿(やど)るのは、先ほどまでの敵対心ではなく、同情だった。


「キサマは――難儀(なんぎ)な性格だ。(おだ)やかで協調性が高いからって、教官に余ったメンバーでチームを組むよう押しつけられたんだろう。その点にだけは、同情を禁じ()ない。間接的には、先に優秀な人材を引き抜いたオレにも非があるわけだからな」


 最初、イェルマヒムはライバル班のチームを侮辱(ぶじょく)して、スフィルを挑発(ちょうはつ)しているのだと思ったが、彼を観察するかぎり、どうやらイェルマヒム自身のその言葉に、何ら(いつわ)りはないらしい。彼は心から、スフィルに同情しているようだった。


「オレも残念に思っているんだぞ、スフィル。――あんなチームでなければ、正々堂々キサマと勝負することができたのに、とな」


「エルマ君は、ボクらが絶対に勝てないと思ってるんですか」


「ああ。キサマが(かか)えているのがあのチームでなければ、あるいは勝てたかもしれんが」


「そこまで言われたら、仕方ないですね」


 スフィルはイェルマヒムを正面に見上げた。その(おさな)さをのこした顔に、不敵(ふてき)な笑みを宿(やど)す。


「エルマ君こそ、まさか協力なしで勝てるとお思いで? ――気づいてないんですか。あなたのチームこそ、任務成功するためには、致命(ちめい)的な弱点があるようですが」


「なんだと……?」


 イェルマヒムがその凛々(りり)しい眉を、ぴくりと動かした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ