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神様! TRPGの世界にPL-私-を突っ込まないでください! ~ルルブ知識と夢回想イベントだけで1万の軍勢を10万に勝たせろなんて無謀じゃないですか!?~  作者: mizuchi_0307
『仮面』の裏側

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神様。強化人間の仕様も追加サプリだったりしませんか?

「いや~ 堅苦しかったね。ここからは大丈夫だからさ!」


 司令室から出た私にリディアさんが軽く肩を叩いてきた。相変わらずノリが軽い。


「それにしても、大丈夫なんですか? 3日間とかそういうお話も終わってるんですか?」


「安心して。私とリディアが寝ている間、支部長が出撃していた。」


「え!?」


 それは初耳だった。それを周りに悟られないように……あれ? トーマスさんが1人でやりくりしていたのってそういう!? 今更、私は事態の深刻さに気が付いた。


「支部長が昨日の夕方、一番先頭の部隊を追い払ったらしいわ。カッセルによると城壁が見える谷のあたりまで進軍していた部隊を一度退けた。あの谷から城壁までは約半日。引き返した後、すぐにまた進軍を開始したとしても城壁……正門前まで相手の部隊が到着するのは早くて今日の昼すぎ。」


「あまり時間はないとはいえ、こうして報告して、私達4人が準備を整えるだけの時間はあるよ。とはいっても私は何時でも大丈夫なんだけどね!」


 元気にウインクするリディアさん。はい、貴方のことはもう心配していません……凄く元気な貴方の相手をしなければならない人達の方が心配です……


「リディア。第一研究室の案内は貴方に任せても大丈夫? 私は、カイとトーマスに部隊の配置確認を終わらせてから正門に向かうわ。貴方もそちらの説明が終わり次第きなさい。」


「任せておいてよ! みんなの説明もきちんとしとくからさ!」


「そう。じゃあよろしく。」


 そういうと足早にエリアーナさんは立ち去っていった。その逃げるような足取りが少し気になった。私がエリアーナさんの方をじっと見ていたからなのか、リディアさんが優しく話しかけてきてくれた。


「ごめんね、ミコちゃん。エリアーナはさ、バルドとディオンにはあまり会いたくないんだよ。兵器扱いしちゃうからね。だからエリアーナは第一研究室にはあまり入ろうとしないんだよ。」


 あ……そっか。エリアーナさんは本来そういうことはしたくないけど、どうしてもそういう目で見てしまうから……


 そんなエリアーナさんを見送った後、リディアさんに案内された第一研究室。ゼーレンの地下にあるちょっと薄暗い部屋の扉を開く。

 既にザメックさんがそこにはいて何か書類……いや、設計図? を描いていた。


「おお! ミコ殿とリディア嬢! 何をしていたのですかね。こちらの準備は上々ですぞ! 理論構築は進んでおりますぞ! 早速、小型のを組んで実験ができる所までやりましたぞ! 見て欲しいのですぞ!」


 そういうと、ザメックさんはなんか機械の線が付いてる板をぽんっと立てた。機械のスイッチ入れた瞬間に板の外側に光の幕が薄くできた……本当に、この短時間で!? はっや!! え? ザメックさんって滅茶苦茶優秀な研究者さんじゃん!! セシリアさんもしかして凄く重要な人をあえてスルーしてたってこと!? 確信犯じゃん!!

 今までは王国との葛藤とかそういうので誤魔化してきたけど、この人を見逃すって相当王国側にとってはまずい話なのでは……セシリアさん裏切る気満々じゃん!? 笑顔はとても光り輝く明るい女神なのに中身がどんどん腹黒くなるよ!?


「どれどれ……軽くパンチしようね~」


 あ、リディアさんの付けてる手甲からなんか光の幕が……

 いえ、ちょっと待ってください。リディアさん。この流れはおかしいです! もしかしてザメックさんに対していつもこうなんですか? 何の挨拶とかなしに、要件をお互いぶつけ合う仲ってことなんですか!?

 あの、今回は私がいるんです! そんなツッコミが出来たらよかった。

 かなり勢いよく……でも私が見えてるからゆっくりなのかも? とにかくリディアさんが光の幕に向かって真っすぐ拳をぶつけた。


「はっ! リディア嬢! パンチはいいですが力はあまり入れないで」


 ドガッ! パキィ………ガランガラン……

 ……光の幕どころか、板まで貫通した。物理で。いや、その。厚さが違うのは確かだけどこれじゃ実験の意味がないのでは……?


「ザメックおじさん。私さ、今回、研究室の壁までぶっ壊すつもりで殴ったんだけど板だけだったよ。成功じゃない?」


 破片を払うように拳を払いながらリディアさんが割と真面目に言う。

 はい? これで成功になるような力加減っておかしくないですかリディアさん!?


「む、むうう……私には全然わからないのですぞ……でも、リディア嬢が成功というのなら成功なのでしょう……この方向性でいくですぞ!」


 いや、ザメックさんも何でこの回答で成功だって言えるんですか!?

 私の表情を見てだろう。リディアさんが少し優しく笑ってから、拳を握っていた方の手甲を外して中から小さな魔石を取り出しザメックさんに渡した。


「いやいや。わかりやすいのあるって。ほら、この手甲の魔石。残量測ってみてよ。空だから。」


 ザメックさんがその魔石を何かの装置の上に置いて確認している……けど表示がなにを意味しているのか私にはさっぱりわからなくてザメックさんの解説を待った。


「む! ほほう……確かに魔力がないですな……つまり、こちらの板に取り付けた装置は間違いなく、魔力を吸って防壁のエネルギーにしているということですぞ! しかしリディア嬢、魔石が空になったのがすぐにわかったということですな?」


 あ、なるほど! 確かに今回の改修の目的って魔石から魔力を引っこ抜いて防壁に組み込む、だから魔石の魔力が空っぽになれば成功したようなものだね! というか本当に完成してるって凄すぎるよ! そして、魔力が空になってるってのをすぐにわかるリディアさんもすごい! ……でもそれって、普通って感覚でわかるものなの? 


「まっ、他の誰より、道具に魔力入れて遊んでるからね。」


「これはすごいことですぞ! 人間が感覚で魔力の残量チェックができるようになるとは! ですが……強化の影響で、肉体が魔力がある状態を標準状態に置く、標準化が進んでいるということでもあり……むむ……」


 ……あ。そ、そういうことか……リディアさんは強化人間。強化人間ならできる可能性はあるけれどそれは、強化人間として『確立』されてしまう……という事。というか、今のザメックさんの発言を聞く限り、もしかして公国の強化人間ってルルブ記載の強化人間と詳細が違う……?

 一方、深刻なザメックさんの言葉にリディアさんが慰めるように言う。


「ああ、いいよいいよ。私はこれで遊べてるからさ。楽しんでるからいいのいいの。ザメックおじさんは悲しまなくても。私の気がまぎれるような面白いおもちゃを作ってよ。それで、おじさんの事だからさ。小さいのが成功したらこういう感じで行けそうっていうのはもうできてるんでしょ?」


「おお、そうですぞ! 途中までですが、この設計図を遊撃隊に渡すのですぞ! もう全体像は思い浮かんでいるのですぞ! 配線に関してはほぼ変わらない予定ですからな! この図面のまま作業するのですぞ! 細かい所は続きは今から書くですからな!」


 その発言に今までリディアさんの体が今どうなっているか思案していた私の思考が吹っ飛んだ。もう部分的に書いてたの!? 全体像も思い浮かんでるの!? 本当このおじさん凄くない!? この人いれば、確かに大抵のことは何とかなるんじゃないって気がしてきちゃったよ!?

 私の驚きっぷりにリディアさんがにこにこしていた。なんか、私のザメックおじさんどう? って声が聞こえた気がした。はい、とてもすごい人だと思います……!

 私が目で返事をすると、リディアさんがカッセルさんの方を向いて左手をひらひらと動かした。


「いや~ ザメックおじさんは話が早くて助かるな~ じゃ、カッセルさん。設計図。後はよろしくね~ 私はバルドとディオンをミコちゃんに紹介するから~」


 へ? 自分で渡さないんですか!? 第二部隊は貴方の部隊だったのでは!?


「おい、私を体よく使うな……仕方がない奴め。」


 リディアさんに半ば命令された形になったカッセルさんが悪態をつきつつも、多分ザメックさんの書いた設計図を受け取るとこの場を立ち去っていく。


「あ、あの。ほんとうにいいんですか?」


「いいのいいの。お兄ちゃんたちと話してる内容をカッセルさんに聞かれたくはないしね~ ほら、いくよいくよ!」


 リディアさんが私の背中を押すように第一研究室の奥の扉へと進んでいく。

 カッセルさんに聞かれたくない、バルドさんとディオンさんとの話って何だろう?


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