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神様! TRPGの世界にPL-私-を突っ込まないでください! ~ルルブ知識と夢回想イベントだけで1万の軍勢を10万に勝たせろなんて無謀じゃないですか!?~  作者: mizuchi_0307
『仮面』の裏側

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神様! 創作理論の応用で判定お願いします!

 時は少し遡る。


「え? いないんですか?」


 セシリアさんに連れられて私は初めてゼーレンの第四区画の要塞の中へと足を踏み入れた。重厚な石造りの要塞。カツカツと足音が鳴る。やっぱり日本とは違うんだなと改めて感じていた。

 そんな中、入ってすぐにダリルさんがいたのでゼーレン防衛隊の人がいないか聞いたところ、意外な答えが返ってきたのだ。


「カイによると、ゲルド支部長、エリアーナ、リディアも出てるらしい。帝国軍の規模がでかいことは知ってるが……多分、またゼーレン防衛隊が無茶やってるんだろうな……こういう時は、素直に悔しいって思うぜ。」


 そりゃそうだよね。ダリルさんはきちんとした軍人さんっぽいし。それにしても意外だった。リディアさんが体調が悪そう、というのは知っていたけれどゲルド支部長やエリアーナさんまでいないなんて……そう思っていると、こちらから何も話していないのに勝手にダリルさんが話を続けていく。


「でもな、過去のことを考えると、自分達が頑張ってる間に街が……ってのが一番、嫌だろうってのもわかるからな。だから俺らがしっかり街を守らないといけないってわけで。」


「過去の事? 118年以前のお話ですか、ダリル守備隊長?」


「あ? ああそうか。セシリアもいなかったっけか。……まあ、あの時の事を知ってる騎士ってもう大分少ないしな。まあ、簡単に話すとさ。ゼーレン防衛隊の前身の、ゲルド支部長の直属部隊ができるまでは、帝国軍の少数の部隊が、ゼーレンの第二区画を突破して、第三区画まで攻め入ることがちょくちょくあったんだ。」


 ゼーレンの第二区画を突破して、攻め入る……あれ、そういえばそういう感じの記述……あああああ!! ルルブにあったやつだ! ゲルド支部長の! 現実に起こってたんだ!! 今の街の様子から考えるとしっくりこなかったけど!!

 私の驚きの表情に突っ込むことなくさらにダリルさんは話を進めていく。いや、ダリルさん。ダリルさんはもうちょっと人の表情を見て、きちんと何処まで話すべきかを考えた方がいい。私にとってはありがたいから全部きちんといただきますけど。


「特にひどかったのは連中が魔道装甲鎧っていう兵器が実戦で使えるか。そのためだけにゼーレンに攻めてきたことがあってな。その時、第三区画の市民が結構犠牲になったんだ。当時、ゲルド支部長は第三区画守備隊長だったから……余計にな。しかも、フィアンセ? 確か、帝国軍のバルバレス、だっけか? そいつに殺されていたはずだ。」


 そんなにつらい過去がゲルド支部長に……ルルブの記述にはないからこれはきっと追加サプリ側だね……でもあれ? 私。バルバレスって名前知ってる……ルルブじゃない……確か、セッションで……


『これで勝ちですよね! GM!』


『そうですね。トドメ、刺しますか?』


『え? えーっと……いや、刺さないです。勝負ついたんだから殺す必要なくないですか?』


『そうやって貴方が見逃すとですね。バルバレスは起き上がって、貴方の背中を狙って鋭くとがった爪を突き刺してきます!』


『えええええっ!? バルバレスって人間じゃなかったの!?』


『そこにカキーンってですね。剣で弾かれる音がするんですよ。勇者マルクレスがですね、貴方の命を救ってくれます!』


『いや、バルバレス!!』


『勇者マルクレスがバルバレスの心臓に剣を突き立てると、そこには心臓がありませんでした! なんと、彼の心臓は魔石だったのです! つまり、魔族ですね。』


『え? ええええ!? もうわけわかんないよ!!』


『まあ、簡単に言うと……バルバレスってこのシナリオの前には死んでて魔族だったってことですね。これね、ルルブ準拠だから。』


 ……明確に死んでる記述がある人だああああああ!


「まあそんなわけだから……おーい。ミコちゃん聞いてるか?」


 ああ、はい。聞いてます。でも初めて明確に死んでる人を見つけてしまったこの……いやいや、こうなるとは限らない。あくまで未来の話。過去をやり直していて、今生きている可能性があるのならまだここでは死んでないし、死なない可能性もあるのかもしれない。

 私は動揺を隠しつつも、自分の建前上、問題はない事を盾に表に出してしまった動揺を打ち消すための真実を話した。


「すみません、その。バルバレス将軍って名前は聞いたことがあったので。」


「ん? そうなのか?」


「ああ、すみません……この子、帝国の領土内からの放浪民だった子なので……」


 そういってセシリアさんがフォローを入れる。流石セシリアさん! 何で私が動揺してたか、は多分後でばっさり追及されそうだけど、今はとりあえずフォローは入れてくれる!


「ああ、それなら知ってるか。あいつの横暴は有名だしな。ゼーレンを兵器開発のための実験台にして出世してきた、いわばゼーレンの敵。これだけは覚えとけよ、ミコちゃん。」


「は、はい! それで……」


 ダリルさんがまだ話を続けそうだったので、セシリアさんと顔を見合わせ頷いた後、私は本命を切り出した。


「その。武器的なお話で、結構急を有する話なので、どうしてもゼーレン防衛隊の人に情報を伝えたくて……」


「うーん……カイも支部長やエリアーナがいなくって指揮系統で大変そうだったしな……そうだ! トーマスに話をつけてやるよ。あいつ、昨日から作戦会議室にいたはずだしな。ついてきな!」


 そういってダリルさんは私達を作戦会議室まで案内してくれた。

 もちろん、道中たっぷり世間話をしながらだったが。



 作戦会議室にダリルさんは一度一人で入ると、すぐに出てきて手招きをしてくれた。言われるがまま、その作戦会議室に入ると大きな机がいくつもあって、その端に小さなデスクがある、広々とした部屋の中央に、とてもかっこいい、イケてる眼鏡……トーマスさんが立っていた。トーマスさんが手でダリルさんに合図を送るとダリルさんは私達に対して手をあげてから退室していった。


「トーマス様、お目通しいただきありがとうございます。昨日の件で進展がありましたので追加報告にきた所存です。」


 セシリアさんは敬礼をしてから内容を話す。こういう時のセシリアさんの声は凛としていてかっこいい。


「そうか。進展ってどういう内容かな? 相手が崖上で準備をしていることで、何か気付いたことでも?」


 物静かな、透き通るようなイケボでトーマスさんは続きを促す。あ、ダメ。これは乃華ちゃん惚れちゃう。いや、今はそういう場合じゃない。

 そう思い私は軽く会釈をしてから口を開いた。


「初めまして。トーマスさん。私は未子と言います。昨日、セシリアさんが見た『帝国軍が作っているもの』について、仮考察がありまして、兵器について詳しくわかる方に報告をしたかったので窺いました。」


 私の自己紹介にふーんと軽い反応を見せて眼鏡を掛け直す。……イケメンだしいい声だけど、性格については夢の最後しか知らないけれど最悪っぽい雰囲気してたけど、本当に性格は残念な人の可能性が……そんな私の思いなど無視してトーマスさんは実務的な回答をした。


「なるほどね。兵器的な話をしたいから、わかる人間をということだね。でも、君がどういう人間なのかをまずは話してもらわないと困るね。」


「トーマス様。リディア様がこの子に家を与えました。これで、ある程度通じないでしょうか?」


 トーマスさんの渋りを見て、セシリアさんがすかさずフォローを入れてくれる。が……その証言は通じるんですか、セシリアさん……? リディアさんですよ……? しかし、どうやら効果は覿面だったらしく、トーマスさんが驚いた表情を見せた。


「……あのリディアがかい? なるほどね。もしかして……10万という情報は君かい?」


 あ、なるほど。驚いた理由はこの時期にそんなものを与える理由があるのは情報源だけだから私が情報源だという事実、ということですね……? 反応から理由を察した私はあまり目立たないようにしおらしく頷いた。


「えっと。はい……」


「ふうん……確かに。話だけは聞いておくべきだね。ただ申し訳ない。僕はそれほどそういう話は興味ないんだ。そういう話が好きな人間と話せるようにしてあげるから少し待っててくれるかい?」


 トーマスさんは私の話を一応信じた後、一番適切な対応を考えて実行しようとしてくれた。

 しかし。


「かしこまりました。ありがとうございます。トーマス様。」


「いや、君もこい。セシリア。この子がどういう人物なのかを説明できるのは君だろう。」


「え? あ、は、はい……ミコちゃん。大人しく待っててね?」


 ちょっと待ってください……それは話聞いていません。こんなところに1人で待ってろと? 内心、不安に思いつつも、ただ今の雰囲気的に他の誰かがくる雰囲気もないし、呼んでくるだけなら短時間だろうと思った私は強がって


「はーい!」


 と元気よく返事をして見せた。

 しかし。私は飽き性である。そんなに長い時間大人しくしていることなんてできない。家で1人きりの時はあれよ。いざきちんと考えてみるとこれからどうしていかなければいけないのか。真剣に考えなければならなかったから……だけど。待つだけの時間は本当に暇。ああ、本当に暇だなぁ……割と情報説明に時間がかかってるのかな? そう思っていたところにである。


「ばっかじゃないの! 死ぬ気なの!」


 うん? あれ、この声、リディアさんの声? いないんじゃなかったっけ……? えっと、こっちの方……


「後悔? そんなのする必要性がないね! 私は楽しいよ? エリアーナが新しく仕込んでくれた支部長からの調整も、殺しも。楽しくて楽しくて仕方がないよ? やれるんならやりたいね!」


「本気で貴方がそう思ってるなんて思うわけないって言ってるのよ、このバカ! だったら貴方さっき、ミコに関して『使ってあげてる体』なんていうの! そうして、あの子の感情を守りたいってことでしょ! 貴方は何も変わってない! バカみたいに『私が一番強いんだから守られてればいい』とか生意気言ってた頃から、全然!」


「……っ! うっるさいな! それはエリアーナのとらえ方じゃん! 人の感情勝手に決めないでよ! 本当、イラつくなぁ……!」


 ……あ、あれぇ……? な、何で、言い合ってるんだろう、この2人……で、でも……なんだろう……これ、私も関わってるよね……?


「あ、あの~?」


 本当に、不味いもの見ちゃった……なんだってこんなことに……!

 というか、何で扉開いてるのにこの2人、喧嘩してるの!?


「ミコ、ちゃん……?」


「ちょっと、何で……リディア! 貴方、扉を閉め忘れたわね!」


 エリアーナさんがいつもの調子じゃない!?


「はあ!? あのさ、エリアーナ。私さ、寝てたよね? 私が閉め忘れるわけないじゃん。それすらもわかんないわけ?」


 リディアさんが笑顔じゃなく本当に嫌味っぽい表情見せてる!?


「ってことは……カイね? あいつ……相変わらずがさつなんだから! 人には世話をやくせに、自分ががさつでどうするのよ。まったく。」


「謝りもしないわけ? そもそもさ、エリアーナが怒鳴らなきゃ、たぶん誰も気づいてなかったんじゃない!? これ私のせい?」


「ええ、貴方のせいね。貴方がくだらないことを隠そうとするから。」


 普通にただの喧嘩してるんだこの2人!? と、とりあえず状況を……こんなことをしていることをあまり公にしてはいけない!!


「えっと。その、お2人とも……多分、私以外気づいていませんので、ね?」


 そういって2人をなだめるようにしてしれっと部屋に入り込んで扉をぱたんと閉める私。


 ……え? なんで、私、ナチュラルにこんなことしちゃったの?


 いや、でも止めないとダメだよね。どう考えてもこの2人、喧嘩するような内容で喧嘩してないよね……? と、とりあえず話を聞かないとダメだ!!


 ……でも、なんか、私が知ってる人たちと違うよ? ルルブに載ってる人達とも違うよ? ……誰? 強化人間っていうのはその。二重人格なんですか?


「ミコ、何で貴方、自分から入ったの。閉めるときに出ればよかったじゃない。」


 う、うう……なんか、エリアーナさんの言い方が氷じゃない……


「ミコちゃん。私はさ。今、見ての通りエリアーナと喧嘩してて機嫌悪いんだよね? 死にたい?」


 リディアさんが処刑人だぁ……


 私だって何で残っちゃったかはわからないんです。でも2人が喧嘩して欲しくはないんですよ……

 少し涙があふれてくる。


「今からでも遅くないから外に出なさい。」


「そうそう。さっさと出てなって。」


 2人とも言い方キッツ……でもでも、これ、絶対お互い、本当のことを言いませんね……? 私が言わなきゃいけないやつですよね……? 震えながら、搾りだす。


「でも、でも……2人とも、お互い守りたいんですよね……?」


「ミコちゃん、貴方、話聞いて入ってきたんだっけ? それとも、聞いてなくて入ったんだっけ?」


 リディアさん、笑顔が怖いです。やめてください。


「ミコ。正しいけれど正しくない。私はリディアを守りたいと考えているけど、リディアはどうも違うみたい。」


 エリアーナさん。その言い方はやめてください! 怒ってるのはわかりますけど!


「はあ!? だからさぁ! 私に守られてればいいんだって! みんな、全員!」


「貴方こそ大人しく白状しなさい。守るために自分を偽ってることを。」


 ああもうっ! この2人とっても面倒臭い! わかった、わかったよ! つまりこういうことだね!! リディアさんの馬鹿! エリアーナさんの言う通り、それ白状しちゃえばいいじゃんか! 文句言わないでよ!


「お互いにお互いが壊れるのが嫌だから守りたいって言って喧嘩するのはとっても馬鹿らしいです!! こんなことでお互いをすり減らして何が楽しいんですか! レオンさんが余計な事っていう割には、2人とも余計な気づかいしてますよ!!」


 短い沈黙。


 ……うん? 待って。私……今、レオンって、言っちゃった?


 うん。こういう時、矛先を第三者に持っていくのは、あり寄りのありだと思うんだよね。そう、誰かが言ってた。人間は争いが大好きな人間だから争わずにはいられない。そんな争いを止めるにはどうするか。まったく関係ない敵を作り出すことだ。って。……確か、TRPGのシナリオ創作理論かなにか。


 それはさておき。よく考えてみよう。私がレオンさん知ってるの、2人から見たら、おかしくない? 聞きたい事だけど、この単語出すタイミング、今じゃなくない?


「ミコちゃん。なんで、ミコちゃんはレオンの事を知ってるのかな?」


「ええ、ミコ。レオンを知っている理由の解説を求めるわ。」


 ですよねええええええ!? えっとえっと。知ってる理由で使えるのは……エリアーナさんに言った巫女設定の神託ぐらいしかなくない!?


「えっと、えっとですね! 実は神託でレオンさんの姿を見てしまってですね! えっとそれ以上でもそれ以下でもないというかなんというか!! 余計なことをするなっていう、リディアさんの表情が凄く印象的でつい!!」


 だめ、この誤魔化し方が限界!! でも実際そういう表情したシーンがあるかどうかも不明! あの夢は全部リディアさんの心境ベースで映像がはっきりわからないんだもん!!


「……まあ、確かに、レオンは余計なことをしてると思うよ。実際。私が守るって言ってんのにさ。何のために私が守るって言ってるのか全然わかってないんだもんあいつ。」


「それは同感。何のために私が自分を差し出したのかがわからない。ふざけないでほしいわ。」


 ……あれ? なんか、空気が一気に……和らいだ?

 もしかして……2人とも……レオンさんの事、嫌い? いや、嫌いっていうか……印象的には同族嫌悪……?


「なに、そこだけ、気が合うんだ?」


「それはこっちの台詞よ。」


 少しの間、顔を合わせて、そして2人は笑い始めた。……え? ちょっと待ってください……お二人の関係性って何ですか? 仲のいいバディという情報は持っていますが、この感情を表に出してはいけないという、私には制約があってですね……説明を、いただけませんか……?


「あははっ! なんか馬鹿らしくなっちゃった! エリアーナのばーか。私が守ってやるって言ってるのにさ、それで辛そうにしないでよ。私が勝手にやってるの。これでいい?」


「ふふっ……そう。本当に、本当に今、楽しい? 作ってないの?」


「どうだろ。どれが自分のかなんてわかってない。けどまあ。ぜーんぶ楽しんであげるよ。私だもん。」


 ……あのぉ……説明……


「ん? どうしたのミコちゃん。唖然とした顔して。」


「そうね。どうしたの? そもそもそういえば、貴方は何でここに居るの?」


 ……あのぉぉぉぉ……当事者お二人はそれでいいかもしれません。でも!! 私は、全然よくなああああああい!!


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