第57話 おっさん怖がる
前話のあらすじ:宿屋を抜け出す
さて、セインと一緒に学園まで歩いて来て、やっと着いたわけだが、中は真っ暗だ。
いや、よく見ると所々灯りはついている。
「想像以上に暗いな」
「ああ。それにこの時間に入ろうとすれば防犯機能が組み込まれた魔術陣が作動するだろう」
「おいおい、それじゃあ中に入れないってこと?」
「早まるな。方法が無いわけじゃないさ」
「さすがに学生でもこんか時間だと入れなくないか?
それに、もしかしたら正面から行ったら悪神の手下にバレるかもしれない」
「わかってるさ。あの時の悔しさを正面から突っ込んで晴らしたいところでは、あるが逃すわけにはいかないからな」
「ああ。その通りだよセイン。俺たちは悔しさよりも今を大切にしないといけないんだ」
「だから、学園に入るための抜け道があってな。それなら、バレないだろうから魔法も使わず魔力を隠して進むぞ。そうすれば、バレないで行くことができるはずだ!」
予想以上にセインがやる気が溢れているように感じる。
普段セインはクールな感じなので、ちょっと意外な気もするけど、自分の母親の命が関わっている状態だし、なおかつ昔の宿敵がいきなり出て来たようなものだ。
俺も気合が入っているから、セインもそうなのだろう。
なんだか、懐かしいな。
これでもう一人の僧侶も一緒にいたら、パーティー復活なんだけどね。
「で、どこに抜け道があるんだい?」
「ああ、こっちだ」
そう言われて案内された場所は、森の中にある墓地だった。
やっぱり、そのような抜け道って人が来たくないと思うような場所にあるんだね……。
幽霊など心霊系がダメなわけではないが、好んでいる訳でもないので、このような場所は俺には無縁だった。
だって、何よりこの墓地は廃れているせいか、ボロボロなんだよね。
道もボロボロだけど、お墓もボロボロだ。
「ここは昔のお墓らしい。
それも王族のな。だから、ここに抜け道を当時の王族が作ったらしい」
「そうだったのか。当時の王族って今の王族の祖先だよな」
「ああ、そうだ。ということは、王族の分家である俺たちの祖先でもある」
「自分の祖先が眠っている場所か……」
そう思うと、雰囲気はあるが少し趣があるように感じて来た。
でも、来るとしたら夜ではなくて、昼間など明るい時間帯に来たいものだ。
光魔法で辺り一面を明るくしたいところだが、バレてしまっては元も子もないため、我慢しよう。
「今のうちにバッグから必要な物を出して、装備しておくか」
「そうだね。中に入ってから亜空間から取り出してバレたら笑えないから今のうちに出しておこうか」
と今のうちに出しておくことにしたので、防具と武器を取り出すことにする。
雷帝のマントを使ってもいいが、もし中に人がいたらバレることになるからね。
防具と武器なら平気だろう。
それに、師団のマントはタナさんが未だに持っているはずだ。
防具を装備して、来ていた服を亜空間に閉まっておく。
武器は大剣を装備するかな。
一緒にいるセインが槍を使うはずなので、同じ武器を持っているよりも他の武器を持っていた方が、お互いに立ち回りやすいと思っている。
射程が違う武器がいた方がいいと思うのだ。
もちろん、違う時もあるので、時と場合によりけりではある。
今回は、昔に比べて力も無くなっているから二本の大剣じゃなくて一本の大剣でいこうと思う。
「準備できたか?」
「できたよ。でもセインと一緒に戦えるのは楽しみだな」
「お前が引きこもらなかったらもっと戦えていたんだけどな」
棘があるな〜。
俺だって、引きこもるのは良くないってわかるけど、あの時はしょうがなかったのだ。
「とにかく、行くよ〜」
「しょうがない、今回はスルーしてやろう」
と言って、セインが先頭を歩いて案内をしてくれる。
抜け道は大きなお墓の下から繋がっていたみたいで、普通なら絶対に気がつかない。
セインが案内をしてくれているが、今魔法を使えない状況のためライトがないので、ほぼ暗闇の中を歩くようなものだから助かる。
俺だけだったら、迷っていることが確定だっただろう。
だって、この抜け道横穴とか多くて、まっすぐ進むことができないのだ。
多分、抜け道だけど、そのままだと危険だという理由か何かだったのだろう。
当時は王城だったということで、その国の王族が住んでいる訳なのだから。
というか、今でもその末裔は王族だし、俺たちの祖先なのだ。
俺たち7大公爵家は相当なことがない限り、王位を継ぐことはないと言われている。
一応は王位継承権はあるみたいだけど、相当低いみたいだ。
ついでに俺は死んでいることになっているから、王位継承権も無くなっている。
だから、ただ王族の血を引いているだけの一般人だ。
にしてもこの抜け道は魔物もいないな。
普通ゲームとかだと、このような抜け道には魔物が沢山いることが多いし、実際に今までの経験上から魔物が巣食っていることが多かったのだが、この道にはいないようだ。
何か特別な力でも働いているのかもしれない。
さて、かれこれ何分歩いただろう。
ほぼ、真っ暗な中でセインの後ろ姿だけを見ているとなんだかおかしい気がして来る。
何か新しいことでもしたいのだが、そんなことをする雰囲気でもないので、諦めるとするか。
「そういえば、タナさんというあの女の子は、レンの彼女なのか?」
「何をいきなり言い出しているんだ? そんな訳ないだろう。
それとも、セインはタナさんを気に入ったのか?」
「いや、可愛いとは思うが俺にはもう決めた人がいるからな。
そうではなく、タナさんはお前のことを気に入っているぞ」
「何を言っているんだ。
そりゃあ、知り合いとして気に入っていなかったらわざわざ王都まで一緒に来てくれないさ」
「お前は……」
お、道の終わりがうっすらと見えて来た。
気を取り直していきましょうかね。
読んでくださりありがとうございます。
更新が遅くなってしまい、申し訳ございません。
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