病院にて
今俺がいるのは診察室。看護士の指示に従って担当医を待っているところだ。いつもならなにかと適当な男性看護士は手取り足取り俺の世話を焼いてきた。女性看護士は羨望の眼差しとでも言おうか、憧れという念の籠もった目で見てくる。言っておくが、見た目年齢はお前等より下だからな?
可愛いのは認めよう。なんだかナルシストっぽい発言に聞こえなくもないが、仕方ないと一蹴。ちなみに誰か俺に一蹴の読み方を教えてくれ。頭悪くてすまんかったな。
ていうか今紙の辞書で調べろとか言った奴出てこい。
そんなこんなで担当医が部屋に入ってきた。
こいつはノブ。昔から知り合いの友人にして俺かかりつけの医者。変なところもあるが、普通に良いやつだと思ってる。顔が良いのにモテないのは何故だろうな。
えー、と声を出し注意を促すノブ。
「日向猛…さん?」
「あぁ。そうだ」
「ですよね、すみません。同じ名前のやつが同い年にいるもんで。そいつ、こっちに良く来るんですよ。まぁあまり風邪引かないようなやつですけどね(笑)」
ひどい言われようである。なんなんだこいつは…
「はぁ…」
「して、日向さん。今回はどうかしましたか?」
あ、今の無かったことにしようとしてる。まぁいいか。
にしても、どうかしました?ね…どう説明すれば…
「あー…とても説明しにくいんだが…」
「…あっ、はい。なんとなく分かりました」
「えっ、もう分かったのか?」
「はい。これでも医者の端くれ張ってますから」
こいつ…以外とやるじゃないか…バカだと思ってたよごめんな。
「言いにくいこと、だよね?」
「どちらかと言えば、そうだな」
「じゃ、女性の看護士呼んでくるから。少し待っててね」
そう言って部屋を出ようとするノブ。
いやいやいや?なんで出ようとしてんだ?
「どうかしたのか?」
「いや、生理の話しはおっさん相手に話しにくいでしょ…あ、もしかして俺が良いとか?」
「んなわけねぇだろ。ってか、生理?」
「え?違うの?」
「見当はずれもいいとこだ」
「違ったかー。にしても、話し方も似てるわー知り合いに」
分かってなかったんじゃねぇか…ダメだこいつ…
はぁ、とため息をついて、俺はネタ晴らしを始める。別に隠す必要はなかったし、分かってると思ってたけどな。
「合ってるよ」
「え?なんだって?」
「お前の知ってる日向猛だよ」
「猛がどうかしたって?」
「だから!俺が猛だっつってんだろ!」
………
えええええええええええええ!!!???
種明かしの後、ノブの驚きの声が大きくコダマした。
普通分かるんじゃね?…分からんか。




