初依頼達成?
ゴブリン討伐を終えた彩乃と百合は、王都への帰路についていた。
夕暮れの街道を、リラとルラがゆっくりと歩く。
「キュイっ!」
「キュルルっ!」
「今日はありがとう。」
彩乃がリラの首を撫でる。
リラは嬉しそうに鼻を鳴らした。
百合もルラの背中を優しく撫でる。
「ルラも頑張ったね。」
「キュルル~♪」
二頭は尻尾を左右に振って喜んでいた。
その日の夕方。
王都冒険者ギルド。
受付へ魔石を提出すると、受付嬢は数を確認して驚いた。
「全部で十三体……。」
「依頼は十体だったはずですが……。」
「途中で増えちゃって。」
百合が苦笑する。
「なるほど……。」
受付嬢は笑顔で頷いた。
「討伐確認できました。」
「これで初依頼達成です。」
「おめでとうございます!」
パチパチパチ。
ギルドの中から拍手が起こる。
「新人で初依頼成功か!」
「しかも無傷だぞ!」
「やるじゃないか!」
彩乃と百合は少し照れくさそうに笑った。
その時だった。
ギルドの入口が勢いよく開く。
「ギルドマスター!」
一人の男性冒険者が飛び込んできた。
「大変です!」
「落ち着け。」
「どうした。」
「王都北部の森です!」
「大型オーガが現れました!」
ギルド内の空気が変わる。
「オーガだと?」
「しかも二体!」
「近くの新人パーティーが逃げ遅れています!」
ギルドマスターはすぐに立ち上がった。
「Bランク以上、出動!」
その時。
彩乃が一歩前へ出た。
「行きます。」
「……何?」
ギルドマスターが目を丸くする。
「でも君たちは……。」
「初依頼が終わったばかりだ。」
百合も頷く。
「助けられるなら助けたいです。」
ギルドマスターは少し考えたあと、小さく息を吐いた。
「分かった。」
「ただし絶対に無茶はするな。」
「危険だと思ったら騎士団へ任せるんだ。」
「はい!」
彩乃たちはすぐにリラとルラへ飛び乗る。
「リラ!」
「キュイっ!」
「ルラ!」
「キュルルっ!」
二頭は勢いよく駆け出した。
北の森。
そこでは三人の若い冒険者が巨大なオーガ二体に追い詰められていた。
「くっ……!」
「もう魔力が……!」
オーガが巨大な棍棒を振り上げる。
その瞬間。
ドォン!!
青い衝撃波が地面を走った。
オーガの棍棒が真っ二つになる。
「なっ!?」
土煙の向こうから現れたのは彩乃だった。
透明なブルーの聖剣を肩に担ぎ、小さく息を吸う。
百合が横で苦笑する。
「彩乃。」
「うん。」
「始めるね。」
彩乃は聖剣をゆっくり構える。
すると急に目つきが変わる。
「我が魂に眠る蒼き覇道よ……。」
百合は小さくため息をつく。
「始まった……。」
彩乃は剣先を天へ向け、高らかに叫んだ。
「天地創世・蒼煌絶界終焉断罪覇王閃」
「…………。」
一瞬だけ森が静まり返る。
逃げていた冒険者も。
追い付いてきたギルドマスターたちも。
全員固まっていた。
百合は顔を手で覆う。
「長いよぉ……。」
彩乃は気にせず聖剣を振る。
ズバァァァァン!!
蒼い巨大な斬撃が一直線に走り、二体のオーガをまとめて吹き飛ばした。
轟音とともに木々が大きく揺れる。
土煙が晴れると。
二体とも完全に◯んでいた。
森は静まり返る。
数秒後。
「す……すげぇぇぇぇ!!」
冒険者たちが歓声を上げた。
「一撃だ!」
「オーガ二体を!」
「しかもあの技名なんだ!?」
百合は彩乃へ歩み寄る。
「ねぇ。」
「ん?」
「技名、もう少し短くならない?」
彩乃は真剣な顔で首を横に振る。
「それは無理。」
「技名は勢いが大事だから。」
百合は苦笑するしかなかった。
リラとルラは駆け寄り、
「キュイっ!」
「キュルルっ!」
と嬉しそうに鳴いた。
こうして彩乃と百合の名は、王都の冒険者たちの間で少しずつ知られ始めるのだった。




