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戦いの相棒

第6話 国王との謁見


 王城の大きな扉がゆっくりと開く。


 赤い絨毯が真っ直ぐ奥まで伸び、その両脇には近衛騎士たちが整列していた。


「こちらです。」


 レオンの案内で、彩乃と百合はゆっくり歩き出す。


 リラとルラは城の厩舎で休ませてもらうことになり、別れ際に少しだけ寂しそうな声を上げた。


「キュイ……。」


「キュルル……。」


「すぐ戻るからね。」


 彩乃がリラの鼻先を撫でる。


「いい子で待ってて。」


「キュイっ!」


 百合もルラを抱きしめる。


「終わったら遊ぼうね。」


「キュルルっ!」


 二頭は元気よく返事をすると、厩舎の係員についていった。


 彩乃と百合は再び歩き始める。


 天井には巨大なシャンデリア。


 壁には歴代国王の肖像画。


 窓から差し込む光が床を明るく照らしていた。


「広いね……。」


 百合が小さく呟く。


「迷子になりそう。」


「……私もそう思う。」


 やがて、大きな両開きの扉の前でレオンが立ち止まる。


「国王陛下。」


「彩乃様、百合様をお連れしました。」


「入れ。」


 重厚な声が響く。


 扉が開かれた。


 玉座には、一人の男性が腰掛けていた。


 年齢は五十代ほど。


 豪華な王冠を戴き、威厳のある表情を浮かべている。


 その左右には大臣や騎士団長、宮廷魔導師たちが並んでいた。


 二人は教えられた通り、一礼する。


「面を上げよ。」


 国王は穏やかに微笑んだ。


「よく来てくれた。」


「私はこの国の国王、アルフレッドだ。」


「本日は、お前たちに会えることを楽しみにしていた。」


「お会いできて光栄です。」


 彩乃と百合は緊張しながら答える。


 国王は二人を見つめる。


「話は聞いている。」


「聖騎士と聖女。」


「数百年ぶりの存在だ。」


 謁見の間が静まり返る。


「しかし。」


 国王は優しく続けた。


「まだ正式に認定されたわけではない。」


「認定……ですか?」


 百合が尋ねる。


「そうだ。」


「王都の大神殿には、女神の加護を確かめる『聖なる祭壇』がある。」


「そこで儀式を受けてもらう。」


「もし本当に神に選ばれし者なら。」


「聖騎士と聖女として正式に認められる。」


 二人は静かに頷いた。


「そして、その時。」


 国王は少し笑みを浮かべる。


「お前たちに相応しい武具も授けられることになる。」


 彩乃は思わず顔を上げた。


「武具……。」


「はい。」


 大臣の一人が説明を引き継ぐ。


「代々、聖騎士には聖剣が。」


「聖女には聖杖が授けられます。」


「ですが、それらは選ばれた者しか扱えません。」


 百合は少し不安そうだった。


「私たちに使えるでしょうか……。」


 国王は静かに頷く。


「焦る必要はない。」


「もし資格があるなら、武具の方がお前たちを選ぶ。」


 その言葉に、二人の肩の力が少し抜けた。


 すると、一人の白い法衣をまとった老人が前へ出る。


「陛下。」


「大神殿の準備が整いました。」


「儀式は明日の朝より執り行えます。」


「うむ。」


 国王は立ち上がる。


「今日は城でゆっくり休むといい。」


「長旅で疲れているだろう。」


「ありがとうございます。」


 彩乃と百合は頭を下げた。


「レオン。」


「二人を客室へ案内してくれ。」


「承知しました。」


 王城の廊下を歩きながら、レオンが笑う。


「実は私も、儀式を見るのは初めてなんです。」


「そうなんですか?」


「ええ。」


「聖騎士も聖女も、私が生まれてから一度も現れていませんから。」


 二人は顔を見合わせた。


 自分たちが、本当に特別な存在なのかもしれない。


 そんな実感が、少しずつ湧いてきていた。


 案内された客室は、二人で一緒に使える広い部屋だった。


 大きな窓からは王都の街並みが一望できる。


「きれい……。」


 百合が窓辺へ歩く。


 彩乃も隣に立った。


 夕日に照らされた王都は、黄金色に輝いていた。


「明日だね。」


「うん。」


「ちょっと緊張する。」


「私も。」


 二人は笑い合う。


 明日の儀式が、自分たちの運命を大きく変えることになるとは、まだ知らずに。

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