最強守護神の黒猫、会議が長すぎるので王宮をざまぁする
「では次の議題ですが――」
今日は雨だった。
そのせいで、
暖炉のある謁見の間には、
なぜかふくがいた。
会議には興味ない。
ただ暖かいから来ただけである。
「では次の議題ですが――」
『長い』
謁見の間が静まり返った。
発言したのは、
会議室の隅のソファで丸くなっていた黒猫――ふくである。
「……守護神様?」
『その会議、必要か?』
大臣たちがざわつく。
『資料を順番に読むだけなら紙でよい』
「やめろ刺さる」
ユキトが即座に突っ込んだ。
ふくは気にしない。
前足で机の地図をぺしぺし叩く。
『備蓄倉庫の位置が悪い』
「え?」
『動線も死んでおる』
「死んでる!?」
『あと伝令系統が無駄に多い』
大臣の一人が眉をひそめた。
「……猫に何が分かる」
ぴたり、と空気が止まる。
ユキトは「あっ」って顔をした。
ふくの耳がぴくっと動く。
『三ヶ月後に物流が崩壊する』
「は?」
『冬期備蓄も足りぬ』
「え?」
『このままだと南区画から飢える』
会議室が静まり返った。
だが。
「……大げさですな」
老大臣が鼻で笑った。
「所詮は猫」
「おい」
『ほう』
ふくはゆっくり目を細めた。
『そうか』
そのまま、
くるっと丸くなる。
『では知らぬ』
「拗ねたぁ!?」
◇
三ヶ月後。
「備蓄が足りません!!」
「南区画の物流が止まりました!!」
「伝令が混線しています!!」
「会議室が埋まって次の会議ができません!!」
地獄だった。
王宮は崩壊していた。
そして。
「守護神様ぁぁぁぁ!!」
大臣たちが泣きながら駆け込んだ先。
ふくはソファで寝ていた。
『…………』
「起きてくださいぃぃ!!」
『断る』
「お願いします!!」
『猫の言うことなのであろう?』
「申し訳ございませんでしたぁぁ!!」
ふくは薄く目を開ける。
『……会議は?』
「三時間減らしました!!」
『ほう』
「資料の事前共有も始めました!!」
『ほう』
「備蓄倉庫も移設中です!!」
ふくの尻尾がぴーんと立つ。
ユキトが呆れた顔をした。
「めちゃくちゃ機嫌直ってるな」
『当然だ』
ふくはゆっくり立ち上がる。
『では整えるか』
「仕事猫みたいに言うな」
次の瞬間。
ふくが猫パンチした。
轟音。
崩壊寸前だった物流網が、
なぜか全部復旧した。
「何で!?」
兵士たちが叫ぶ。
壊れていた荷車が動き出し、
混線していた伝令網が繋がり、
止まっていた物流まで流れ始めていた。
『物流網そのものを直したわけではない』
「え?」
ふくは前足をぺろっと舐める。
『滞っていた流れを整えただけだ』
「何その便利概念」
『我は“守護”の神獣だからな』
「守護の範囲広すぎるだろ!!」
ふくは満足そうに目を細める。
『整えただけ……』
「だから擦るな!!」




