最強守護神の黒猫、場面転換を整えすぎて騎士団長をワープさせる
「守護神様!! 西区画に魔獣が!!」
騎士団長が謁見の間へ飛び込んできた。
鎧は傷だらけ。
息も切れている。
「城壁が突破されました!!」
『そうか』
ふくはソファの上で丸くなったまま答えた。
「そうかじゃありません!!」
ユキトが叫ぶ。
『今は機嫌が悪い』
「知ってるよ!!」
理由は単純。
昨日の会議で、
「最近は犬型守護獣の人気も高いですな」
という発言を聞いてしまったからである。
めちゃくちゃ根に持っていた。
「そんな理由で王都見捨てるな!!」
ドゴォォォン!!
遠くで爆発音が響く。
窓の外では、
黒煙が上がっていた。
「お願いします守護神様!!」
騎士団長が頭を下げる。
「このままでは西区画が――」
『断る』
「即答!?」
ふくは尻尾をぱたんと揺らした。
『以前も言った』
「え?」
『避難経路が悪い』
「今それ!?」
『備蓄管理も甘い』
「今その話!?」
『あと犬派増えた』
「まだ言う!?」
ユキトが頭を抱える。
すると。
ドゴォォォォン!!
さらに大きな衝撃が響いた。
兵士が半泣きで飛び込んでくる。
「西区画が崩壊寸前です!!」
「騎士団長!! 現場へ!!」
「はっ!!」
騎士団長は慌てて走り去った。
◇
数分後。
「つまり最近は犬型守護獣が人気だと」
「話戻すな!!」
ユキトは叫んだ。
ふくは窓辺で不満そうに外を見ている。
その横で。
「確かに最近は大型犬カフェも増えておりますな」
騎士団長が腕を組んで頷いた。
沈黙。
ユキトが固まる。
「……お前、現場行ったよな?」
「え?」
「さっき走って行ったよな?」
騎士団長も固まった。
「……」
「……」
『整っておるな』
「整ってねぇよ!!」
「何で戻って来れてるんです!?」
騎士団長は真顔だった。
「気付いたら居ました」
「AIかお前!!」
ふくは満足そうに目を細める。
『自然な場面転換だった』
「どこがだ!!」




