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Miscellaneous Night Fishes

水面をちらついているのは、5センチほどの小さな魚たちだ。

サイズ感としては、ちょうど少し大きめのテトラくらいであって、その動きもよく似ている。

体をくねらせて少し突進したかと思うと、すぐ止まる。


濁った水中では水面付近にいる個体しか見えなかったが、その頭でっかちで目が極端に前に寄った姿かたちと、そのストップモーションな動きからはやや、ハダカイワシに似ていなくもない。


夕食の魚は大きかったにせよ。

やはり石炭紀のふつうの条鰭類は、15センチを超えることはほぼないように思われる。


同じような小魚に見えるのだが、捕まえてみるとこれまた、色々いる。

タイルのように敷き詰められたガノイン鱗に入る模様が、青や緑の金属光沢が、少しずつ違う。

その大きな目で、彼らは何を見ているのだろう。

これだけ模様に差があるということは、おそらく視覚による種分化が進行中なのではあるまいか。

時折タナゴのような体高の高い魚も目に入るが、こちらはこの旅でもおなじみになりつつある、プラティソムスの仲間だった。ここの個体は淡水であることもあり、どこか南米のメチニスを思わせる。しかし覆っているのはやはり、菱形のつるつるとした、タイルのようなうろこだった。

小さいこともあって婚姻色が出ていない。

やや形が違うにしても、それ以上のことはよくわからない。

「こいつら、海にも川にもいるのよねー」

アリアがそう言ったとたん、そいつはありったけの糞をぶちまけた。

糞はすごく緑色だった。


岸壁にはパラエオカリスやアカントテルソンのほかにも、沢山のピゴケファロモルファーー5センチやそこらのロブスターのようなアミに近い仲間――もいる。

その群れが突然、ぱっと飛び跳ねて、水中に舞い上がった。

そして、水中から突き上げる、黒い影。


ナマズにも似たそのシルエットは、水面に向かって立ち泳ぎするようにして水面付近の獲物を漁り始めた。ユープロプスに一瞬噛みついてみたが、そのとたん激しく首を振る。


手に汗を握りながら、網をおろす。

ゼナカンサス類だ。

おそらくは、トリオダス。

朝食のおなじみになりつつあるとはいえ、生きた個体を見るのは初めてだ。

しかし、ネットインしそうになったそのとたん、そいつはニョロニョロとバックして、身をひるがえしてすっとんでいった。

棘が一瞬ネットに引っかかって伝わってきた振動が、唯一のこったものである。


しかしその瞬間の、背びれと尻びれを波打たせてバックする瞬間は、いやおうなしに私の脳裏に刻み付けられることになった。

「いやぁ…惜しかったね」

「ヘタクソで悪かったね」

私は口をとがらせる。


ほかにも、何か大きな魚の影を見ることは何度もあった。のっぺりとした、大きさとしては鯉によく似たものだったが、濁った水中をうっすらとした影として進んだり、わずかなあぶくが航跡を引いたりしているばかりで、とても正体や、ましてや捕まえることなどできそうにない。

ただ、狙っているものよりだいぶずんぐりしているように思えた。


やはり最初にライトで水面を照らしてしまったのは間違いだった、と思っていると、不意に黒い、丸太のようなものが桟橋の下から、ゆっくりと姿を現した。

「あっ」

大きな胸鰭をもつ、やや細長い姿。

まさしくさきほど群れていた魚、そのものだった。


シルエットはどこか、カワアナゴかなにか、大型のハゼを思わせ、それは、胸鰭をつかって漕ぐようにして、水面直下をゆっくりゆっくり、つぅっ、つぅっ、と直進していた。


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