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第22話 帝国からの刺客

 取り囲まれた。

 三人の女性が現れると爆発物を投げつけてきた。あれは最近、コーンフォース帝国にいる錬金術師が開発したという爆弾ポーション。


 あまりに危険故、その売買が禁止されていた闇のアイテム。けれど、こうして流通して使われているという事は……。


 いえ、それよりも大変。馬車の目の前で爆発が起き、危うく転倒しかけた。でも、アドニスくんが踏ん張ってくれた。直ぐに馬車を降り、状況把握に努めると三人の女性がいた。あの煌びやかな服装からして貴族。



「……」



 若い女性達は、こちらを――わたしを睨む。わたしだけを睨む。恨みがあるような、そんな眼差し。



「いきなりなんですか、貴女たち」

「ようやく辺境伯領から出て来たわね、フィセル。私はシセリア……貴女に手紙を出した」


 手紙……そうか、あの手紙は、この人達が。それでわざわざ辺境伯領まで……? でも、領地を出るキッカケは『教会裁判所から召喚令状』だから……まさか、情報が漏れた? 誰かが漏らした?


 それとも、これは罠?



「それで、わたしにどうしろと」

「エドワード様と別れなさい! あんたみたいな魔女には相応しくないし、辺境伯領に居る資格もないの! それにあんたは共和国の聖女だったのでしょう……余所者じゃないの。さっさと出ていけ!」


 そんな事の為にわざわざ……。しかも、『爆弾ポーション』を使って……一歩間違えれば全員死んでいたし、これは許せない。


 いっそ、聖女の力で。



「手を下ろすんだ、フィセル」

「エドワード様……でも」


「君が戦う必要はない。ここは僕に任せてくれ」

「……はい」



 槍を手に持ち、一歩前へ出るエドワード様は、女性達を見渡した。



「悪いがそこを通して貰う」

「そうは参りません、ヒューズ辺境伯様」

「君、シセリアと言ったね」


「はい、私はあなたが好きなんです。愛しているんです……! それなのに、どうしてそんな魔女を選ぶんです! それに、コーンフォース帝国にはもっと身分の高い女性だっているでしょうに……。私でなくとも、せめて帝国の女性を選んで戴きたい」


「残念だが、僕には心に決めた人がいる。言わずもがな……だけどね」


「そうですか。残念ですが、この特製爆弾で死んでいただきます!!」



 三人が爆弾ポーションを手に持つ。

 まずい……一斉に投げられたら、いくらエドワード様でも……だったら『守護』を使うしか。そう思ったけれど、それでは辺境伯領の守護が解けてしまう。


 それに、エドワード様からは、戦う必要はないと、任せてくれと言われた。なら、その言葉を信じる。



 見守っていると、ポーションが投げられた。三つもこっちに飛んでくる。さっきあんな大爆発だったから……三つも爆発したら、もう一巻の終わり。



 けれど、エドワード様は紅蓮の槍・プロメテウスを力強く投げた。



 赤い軌道を描き、槍は飛翔していく。爆弾ポーションを次々に貫き、爆発を起こす。衝撃波がこっちまで伝わってくる。吹き飛ばされそうになるけれど、アドニスくんが水魔法で守ってくれた。ウォーターシールドという不思議な盾魔法。神秘的で美しかった。心を奪われそうにもなった。



 爆発は晴れ、シセリア達は腰を抜かしていた。ポーションは取り上げられ、エドワード様の勝利。シセリア達は手を上げ、降参していた。

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