13歳 幸の誘拐、懐かしい子と再会
続きが書けたので投稿。
なお、主人公はロリコンではありません。念の為。
ヒロインは肉体年齢・主人公と同い歳、精神年齢は40歳以上年上です。
間が悪かったとしか言いようがない。
たまたま、本当にたまたま、幸と外出している時にギルドで急患が出た。
幸にギルド敷地内で待っていて貰って即座にギルド内に入り、診察と治療を終え外に出た。
その間、たった30分。たった30分で、幸が消えた。
「幸?」
慌ててあちこち探した。家に帰っているんじゃないかと思って家にも帰ってみた。
でも何処にもいない。父さんも母さんも一也も、ギルドのみんなも探してくれたけど何処にもいない。
「連れ去られた、と見るべきだろう。すまん、勇希……俺がお前を呼ばなければ」
「凱さんの所為じゃないよ。俺が目を離すべきじゃ無かったんだ」
希少価値の高すぎるフェンリルの成体。しかもダンジョン内ではなくこんな道端に。悪者にとっちゃ宝石が道端に転がっているようなもんだろう。
ギルド敷地内で、白昼堂々盗みを働く奴がいると予想していなかった俺のミスだ。
「凱、しっかりしなさい。ギルド規約として、ギルド員はどんな種族でも一個人として扱われる権利を有しているわ。誘拐犯罪として取り扱える筈よ」
「そうか、そうだな、悪いが結菜、岡っ引きに事の次第を説明してきてくれ」
「判ったわ。勇希君も、あまり気を落とさないで。必ず幸ちゃんは見つかるわ」
「ありがとうございます、結菜さん」
みんなが動いてくれる。みんなが励ましてくれる。
だから落ち込んでばかりはいられない。
判っているのに浮上出来なくて、みんなの目から逃れるように家に帰った。
家に帰って、椅子に座る。
父さんも母さんもまだ探しているらしく、帰ってきていなかった。
いつもなら、必ず傍に幸がいてくれるのに。
「ごめん、ごめんな、幸」
いっそ泣きそうになっていた俺の頭に、ぽふっ、とすりよる温もり。
「っ!?」
「わふぅ……」
「ゆ、き?」
気のせいかもしれない。
でも確かに、何となく申し訳なさそうな顔をした幸が俺の足下にいた。
「幸!お、お前、どうして、いやいい、無事だったんならいい」
診察し怪我ひとつない事を確認して、ぎゅううっと俺が四つん這いするより大きくなった体を抱きしめる。
「良かった……でも、どうやってお前、ここに」
「私が連れてきたの。偶然だったけど、助けられて良かった」
「え……?」
嘘だ。そんな筈がない。いる筈がない。
でも、そこにいたのは、間違いなく。
「愛良、ちゃん?」
「久しぶり、勇希にーにー」
成長した愛良ちゃんだった。
どう見ても種族は人族じゃなく、猫人族だったけれど。
「幸ちゃんはうちのパーティのメンバーと一緒に保護したんだ。みんなは、一度こっちのギルドに寄って幸ちゃんの保護を伝えてからこっちにくるって。私は勇希にーにーの傍に幸ちゃん連れていく為に、一足先にこっちに来たの」
「そ、そうか、それはありがとう、でも、愛良ちゃん、どうして」
幼かった少女は、俺と同じ位の年齢になっていた。
ここにいるという事は、転生して、死亡したという事になる訳で。
「色々あったの。聞いてくれる?」
頷くしか無かった。
俺を殺した犯人が、罪を逃れようと画策した事。
にーにー達の行動により、犯人は無事処罰された事。
その後、弟と妹が生まれ、弟は勇希と名付けられた事。
結局結婚せずに天寿を全うした事。
「父さんも母さんも、みんな、ちゃんと幸せだったよ。」
「そう、か」
「きっとそのうちこっちに転生してくるんじゃないかな、先に行くねーって言ったらずるい!って散々言われたよ」
「え」
「勇希にーにー、転生神様に私の願いを叶えてくれって言ってくれたでしょ?そのお願いを使って、同い年に転生させてくださいってお願いしたの。私の魂のレベルじゃ色々足りなくて、記憶が戻ったの一昨日だったんだけど」
ギルドカードに転生者の表示が出たのが一昨日で、俺の事を思い出したのも一昨日で。
俺達パーティが所属する、じぃちゃんばあちゃんずのクラン・ゴールドキャッスルはイロイロ有名なので、俺が何処にいるかすぐ判ったんだそうだ。
ギルド員みんなを説得して即座に倭の国に来たら、ちょうど怪しい集団が俺の匂いがついている箱を運び出している最中だったんだそうだ。
ああ、うん、匂いね。判るだろうな、うん。
「勇希にーにー、会いたかった……」
ぎゅうって抱きついてくる愛良ちゃん。
しっぽがくるんと俺の足に絡みついてくる。
わふぅわふぅと幸も一緒にくっついてくる。
「ごめん、愛良ちゃん」
「んーん、会えたから、もう、いい」
これからは、俺がにーにーの代わりに愛良ちゃんを娘として大事にしよう。
愛良ちゃんを紹介し、愛良ちゃんのクラン員に紹介し、父さん母さんと再会を喜びつつ、決意した所だったんだが。
「あらあら、慶次君のお嬢さんを勇希が嫁に貰うなんてねぇ」
母さんの一言で全部吹っ飛んだ。
「よ、よ、嫁ぇ!?ちょ、待ってよ母さん、相手愛良ちゃんだよ!?俺、彼女が生まれる前から知ってて更に彼女のおしめかえてあやして子守もしてたんだよ!?」
「勇希にーにー、お嫁さんにしてくれるって言った」
「いやあれは言葉のあやで」
「勇希にーにーのお嫁さんになりたくて、同い年に産まれてきたのに」
「あ、いや、その」
嫌いじゃない。むしろ好きだし護りたいと思うし、他の男が近付いたらキレる自信がある。
それでも、ええと、その。
「……ごめん、愛良ちゃん。流石にちょっと時間が欲しい」
「ん、大丈夫。いくらでも待つよ」
にぱっと笑った愛良ちゃんに、早速心が揺れてしまった。……卑怯だよ、にーにーにそっくりな笑顔は。




