小話② 大好きなにーにー(愛良視点)
最近短くてすみません……一応ヒロイン登場回ですw
『あいらがおっきくなったら、およめさんにしてくれる?』
『俺でいいなら、かまわないよ』
きっと本気じゃなかった。だってゆうきにーにー、こまった顔してたもん。
それでも、あいらは、ゆうきにーにーのおよめさんになる。
ゆうきにーにーと、いっしょに畑やる。
おかーさんにそう言ったら「じゃあ愛良もおうちの事ちゃんと出来るようにならないとね」って言われた。
おとーさんはふくざつな顔をしていた。おじーちゃんとおばーちゃんは「勇希が孫になるなら大歓迎だ」って言ってくれた。
年の差がすごいけど、いまどきそれ位いくらでもいるってテレビでやってた。
ほんきだった。
ほんきでおよめさんになるつもりだった。
「愛良……勇希、死んじまったんだってさ」
おとーさんが、おめんみたいなかおで言うまでは。
おとーさんは、それからしばらくおにんぎょさんみたいだった。
おかーさんが「お父さんはあまりにもショックが大きすぎて、何も考えられないのよ」っていってた。
あいらだってしょっくだよ、っていいそうになったけど、おとーさんがどれだけゆーきにーにーだいすきだったかしってるから、いわなかった。
いわないで、おとーさんがなけるまで、ゆーきにーにーのおーちのおそうじがんばることにした。
それから、てれびがきたりけいさつがきたり、いろいろあった。
ゆーきにーにーの家に、たくさんのひとがてをあわせにきた。
そして、月日が過ぎていった。
「結婚、しないのか?愛良は」
「今の所考えてないかな、結婚しなくてもとりあえず生きていけるし」
勇希にーにーのような子供を少しでも助けられるお仕事がしたいと思って、県内唯一の国立大学に入り福祉の勉強を始めた。
4年間みっちり勉強したおかげで公務員試験に合格し、県庁の福祉課に採用された。それからは早かった。あっと言う間に、私は勇希にーにーと同じ歳になった。
「ごめんね、お父さん。勇希にーにー以上の男性、いまだに見つからないの」
「……孫は勇希か咲夜に期待するか」
「ん、そうして」
勇希にーにーの名前を貰った弟、勇希にーにーの七回忌に生まれた妹。
どちらも直接勇希にーにーは知らないけれど、彰さんがとっておいてくれた沢山の勇希にーにーの映像をみたおかげで勇希にーにーがどんな人だったか知っている。
一緒になろうと言ってくれた人が、いない訳ではない。
おつきあいした人が、いない訳でもない。
それでも、その人と一緒に作る未来が見えなかった。
『あいらがおっきくなったら、およめさんにしてくれる?』
『俺でいいなら、かまわないよ』
単に美化しているだけかも知れない。
それでも、勇希にーにー以上に心が揺れる相手が、いなかった。
結局結婚する事は無く、弟夫婦や妹夫婦、甥や姪達に看取られて私はこの世を去った。
「うん、人の一生がこんなに早かったの、すっかり忘れてた。……ごめんなさい金城さん」
気づいたら、真っ白い部屋の中央にたっていた。
そして目の前に、机の上で頭をかかえた男の子がいた。
「ええと、今、なんて」
「ごめんなさい、長嶺愛良さん。貴女というか、貴女のご家族に伝言を頂戴していたんですが……」
男の子……転生神様は、私をお父さんとお母さんがいる待合室に連れていってくれた。久々の再会に喜びあっていると、全員揃って別室に案内された。
そして、勇希にーにーのやらかしてくれた事を聞いた。
「あんの、底が抜けたお人好しが」
うめき声をあげる父さん。
「勇希君らしいといえばらしいけれど」
苦笑する母さん。
残念ながらおじいちゃんおばあちゃんはすでに転生してしまったらしく、今度こちらに帰ってきた時に伝えると転生神様は頭をさげてくれた。
「人の生の長さを神の時間で計るなと常々上から言われているのにまたこんなミスをやらかしてしまって、本当に申し訳ありません」
「ああ、いえ、神様がそんな簡単に頭下げないでください。俺達は勇希がきっちり成仏出来て、更に次の世界に転生まで出来たってだけで十分なんで」
「ええ、教えてくださってありがとうございます、転生神様。で、愛良。貴女どうするの?まぁ、貴女の事だから勇希君を追いかけるんだろうけど」
「流石お母さん♪」
「おいちょっと待てもしかして」
「転生神様、私を勇希にーにーと同じ世界に罰則転生させてください!」
もめた。そもそも罰則転生は罰則であって望んで出来るものではない。それに私の魂では勇希にーにーと同じ世界に行くにはレベルが足りない。
それでもどうしてもその願い以外無い、と言い切った私に、転生神様が出した妥協案は別種族での転生だった。
「あちらの世界には、人族以外にも猫族や犬族など、動物の姿の一部をもっている種族がいます。その種族でよければ、どうにかしてみますけど……それでも強引にやる以上、金城さんと同時期に記憶が取り戻せるかどうかは判らないですし、逢えるかどうかも判りませんよ。それでもいいですか?」
「はい」
「そうですか。……では、上にかけあって貴女のご両親もどうにか同じ世界に行けるよう取りはからいましょう。時期はずれると思いますが」
「俺達までいいんですか!?」
「むしろそんな恨めしげな目で見られて駄目だと言える程、精神強くないですよ僕も……奥さんもそれでいいですか?」
「ええ、是非」
「判りました。ではお三方とも罰則転生で……」
転生神様はすさまじく複雑な顔をしていたけど、押し切った。申し訳ないと思うけど、勇希にーにーに会いたいこの気持ちに嘘はつけない。
一生をかけた想いは伊達じゃないんだから!待っててね、勇希にーにー。必ず会いに行くからね!




