改革2
その頃のアリアンヌは、殿下の執務室を訪れていた。
「お兄様、ごきげんよう。」
「アリアンヌか、なんのようだ。そういえば、ローザベルを側近に入れたらしいな。せっかく俺が側妃に迎い入れて執務をやらせようと思っていたのに。余計なことをしよって。」
「まぁ、私はただもっと適した場所でローザベルには働いてほしい。そう思っただけですわ。」
殿下は、顔を引きつったような笑顔になる。
「今回はそんなお兄様にご提案がありますの。お兄様が持っている王宮内の権利を私に譲ってくれませんか?」
「はぁ、何を言っている!そんなことできるわけないだろう!それにそんな事をしたら父上になんと言われるか...」
「あら?でもお兄様、今なお仕事をためて...その権利をもつ者の責任を取れていないのではなくて?部下たちも仕事が回らない...と嘆いておりましたよ。」
「なっ、何!だが、俺は次期王としてだな、しっかりやらなければならないんだ。一日中机に向かってペンを動かし続けるのは面倒だがな。」
「まぁまぁ、そんな怒らずに。そうですね、お兄様が王になってもすべての仕事をこの私に任せたらいいではありませんか?私には優秀なローザベルもおりますし。それにせっかく婚約者になったのに、ジュリアとは時間を取れていないのでしょう?今私に権利を譲っていただければ、仕事に振り回されずにジュリアとの時間を過ごせますよ。」
「なるほど。王になるための試験だと思って頑張っていたが、確かにすべての仕事をお前にやらせればいいのか。それにジュリアとの時間を取れるだと!いいじゃないか!だが、父上がなんというか・・・」
あらあら、順調に流されてくれましたわね。
自分で提案しといてなんですが、私に権利を渡したらなれるとしても、決定権のないお飾りの王になるのですが...
気づいていらっしゃらないようですわね。
「お兄様に一筆いただければ、お父様への報告は私が引き受けますわ。」
「なんと!ありがとう!アリアンヌ。あぁ、持つべきものは優しい妹だな。」
「ふふっ、そう言っていただけて嬉しいですわ。おにいさま。」
アリアンヌは扇を広げて口元を隠し、口角を上げた。
殿下はペンを持ち、書類にサインをする。
「あぁ。これでいいだろうか。」
「はい。ばっちりですわ。これは私がお父様に出しますから、お兄様は愛しのジュリアの所へ行ってはいかが?」
「そうするよ!何から何までありがとう!後は頼むよ。」
殿下は満面の笑みで執務室から出ていく。
私が何のために権利を譲ってと言っているか理由も聞かずにサインしたのですね。
まぁ、聞かれてもはぐらかすつもりでしたが、なんと浅はかな。
血のつながった兄といえ、少し恥ずかしいですわ。
まぁ、何はともあれ早速お父様のところへ行きましょう!
ーーーー
アリアンヌとローザベル二人で近況報告をするために集まっていた。
「ローザベル、色々調べてくれているようだけど、順調かしら?」
「はい。王宮内の課題として、上の方々の決裁の遅さやミス等が目立っていた為、新たに書類の統一化、訂正方法を定めたいと思っております。また、今後サインで手が痛くならないためにも、ある程度まではハンコで決済可能なものを定められたらと思っています。詳しくはそちらの資料を」
アリアンヌはローザベルから資料を受け取り中身を確認する。
「ありがとう。流石ローザベルだわ。このまま計画通りに進めましょう。王宮内の権利については無事に譲渡してもらったわ。表立って改革しても大丈夫よ。」
「かしこまりました。」
流石アリアンヌ様だわ。こんなにも早く権利を得るなんて。
アリアンヌ様の交渉術がすごいわ。
もしくは、あの方がまんまと乗せられたか…うん、あり得るわね。
何はともあれ、これで改革を進めましょう!無事に許可もおりたし!
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数日後。王宮内に新しい規則が周知された。
・新しく各部署で統一した書式を使用して今後書類を作成する
・書き方を間違えた場合、基本的に作り直さなくても二重線と印鑑で修正したものも有効とする
・既存事業の決裁についてはハンコのみでも可能とし、新規に申請された物についてはハンコとサインが必要とする
数日は新しくできた規則による混乱はあったものの、あっという間に皆が慣れた。
そして王宮内では、書類を一から作り直す手間がなくなり、大幅な時間削減が可能に。
滞っていた書類も円滑に進み、通常通りに移り変わった。
はぁ〜今日はようやく定時に帰れそうだ…
昨日は久しぶりにベッドでぐっすり寝れたわー
ようやく休めたからまたリセットして頑張ろう!
そんな前向きな声に王宮内は包まれていった。




