婚約破棄3
話は冒頭の場面に戻る。
この夜会はいつものように結婚式の予定日から大体半年前ぐらいの日に開催された。
前日にあったお茶会で、そろそろ毎年恒例の縁起が悪いから結婚式延期で…っていう茶番が繰り広げられると思いきや、まさかの何もなし。
じゃあ、今年こそ結婚かな?とか思ってたら、まさかの婚約破棄だった。
しかも、殿下の心に決まった相手には、何も伝えていない模様…
いや、自分勝手すぎるでしょ。
貴方、この国の王太子よね?後の王でしょ?
周りをもっと考えて行動してよー。
とか思うけど、婚約破棄を王が公認してるってことは、王家が自分勝手だったってことー。
おーい、この国の最高責任者!何してるんだよー!
息子に甘すぎだろ!よくも今まで国を保っていたな!
私は今まで国で特に大きな問題もなかったから、今の王家スゲーとか思って、だからこそ支えるために日々の業務も頑張ってたのに…
まさか、動かなすぎて問題が発見されていないだけだったたのでは?
はぁ〜嫌な事実に気づいてしまった。
特に何もないことを願おう…
おっと、そんなことを考えてたら、何にも反応を示さなかった私にお怒りの様子。
「おい!ローザベル!聞いているのか!
お前もあの美しいジュリアの方が王妃に相応しいと思うだろう?」
私は微笑んで質問に答える。
「えぇ、確かにジュリアは美しいですわね。」
美しいことには同調し、王妃に相応しいかどうかの回答はあやふやにしておく。
彼女、妹の友人だから話をよく聞くけど、のほほんとしてどこか抜けてる所があるから、王妃に向いているか?と言われると正直微妙なのよね…
しかも本人、えっ!何が起こった?!って顔してるし。多分彼女は殿下のこと何とも思っていないと思うわ。
まぁ、殿下は私が美しいと褒めたことで満足そうな顔をしているが…
「これで満足か、ローザベル。
あぁ、8年間延期した甲斐があったよ。
ようやくお前と婚約を破棄して、愛しのジュリアと一緒になれる!」
殿下はまるで舞台の上の俳優のように両手を広げ、嬉しさを表している。
すると、そこへようやく陛下が会場へ現れる。
「父上、無事にローザベルから婚約破棄の同意を得ました!」
「おぉ、よくやった。では、早速手続きを行い、すぐさまジュリアと婚約を結ぼう。
ジュリアのような美しくて可愛い義娘ができるのは嬉しいよ。」
陛下は、父上の顔になって返事をする。
そしてどこからか神官が書類を持ってやってきた。
私と殿下はそこへ署名をし、無事に婚約が白紙になった。
一応、書類上は婚約解消ってなっていたが…
「ジュリア、またせたな!ようやく婚約破棄ができた!
君を正式に僕の婚約者、未来の王妃へと導く事ができる!心優しい君にぴったりだ!」
殿下はそう言うとジュリアの前へ行き、跪いて右手を差し出した。
「ジュリア、私の伴侶となってくれ!」
当のジュリアはというと、驚きと困惑の表情をしている。だが、隣にいる両親の顔は真っ青だ。
ジュリアは両親の顔をみて判断を仰ぐも、殿下からのプロポーズ、ましてや王家の総意となれば一家臣である伯爵家には拒否権などない。
ジュリアはこの状況を正確に理解しているか分からないが、若干引きつった笑顔で殿下の手を取り、プロポーズに答えた。
そこからは、その場で婚約の書類まで記入し、無事に二人は婚約者になった。
会場にいた貴族達はあまりの出来事に驚きの表情をしている者、
ジュリアの婚約が決まったとショックを受けている者、
私が婚約破棄されて当然だというように満足気な表情をしている者と様々な反応を示した。
そんな空気の中、陛下が言葉を発する。
「今夜無事に我が息子とジュリアの婚約が決まった。
式は来年、ジュリアが成人すると同時に執り行う。
皆、新たな門出を祝ってくれ!」
国の頂点が祝福したものだから、困惑していた空気から一変して、大きな拍手に会場が包まれるのであった。
その後は、いつも通りの夜会へと戻っていった。
ローザベルは、城の荷物を片付けるために、颯爽と会場を抜けたが…




