表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
98/111

8-12 反省と、呪符と、月夜と


変わらず浮かれてくるくる回っているロリ猫に、


改めて、


売り上げ集計型の話を聞かせた。


ロリ猫の顔から、


見る見るうちに血の気が引いていく。


「も、もう一度、確認するにゃ?」


「何度確認しても一緒じゃ」


「じゃあ…」


「……つまり」


「今すぐには…入らないにゃ……?」


「みたいだな」


剣士が頷く。


「お前、仕送りしてんだろ」


「お前が送らなかったら、国に残してきたあいつらはどうなるんだよ」


「……」


「どうしよう…」


「すぐにお金が貰えると思ってたにゃ…」


「人の話をちゃんと聞かないお前が悪い」


「……」


ロリ猫の目から、


ぼろぼろと涙がこぼれ始める。


「取り返しのつかない事をしてしまったにゃあああ」


「ウチは、ウチはなんて事を…」


泣き叫ぶ。


(猫さんて、実家は貧乏なのかな)


「だ、誰か、貸してほしいにゃ」


「お金、貸してほしいにゃ」


ロリ猫が一人ずつすがるように見回す。


かわいそうになったタイチが


「じゃ、じゃあ…」


と言いかけると


「ダメじゃ」


エルフがぴしゃりと言う。


「ここで安易に貸してしまっては、こやつのためにならん」


「え、」


エルフの顔がいつもより険しい


「エルフさん、なんか厳しいですね」


娘が呟く。


「長く生きているとな」


「いや、長く生きていくとなるとな」


エルフが目を細める。


「色々と、考えるところがあるんじゃ」


「とにかく」


エルフが続ける。


「貸すのは構わんが、すんなりとは貸せん」


「反省の意思は必要じゃ」


「ど、どうすればいいにゃ?」


「昔、どこかの国では、こうやって罪状を首から下げて街を歩かせたそうじゃ」


紙とロープを取り出し、


何かを書きつけると、


ロリ猫の首にかける。


「な、なんて書いてあるんですか」


「わたしは仕送りする大切なお金を使い込みました」


ロリ猫はその札を首から下げたまま、


肩を落として項垂れた。


(なんか、悪さをした猫のそんな画像見たことあるな)


――


ギルドを出て、


それぞれの宿へ向かう道すがら、


エルフがぽつりと呟いた。


「今晩は月夜じゃなぁ」


「いつも以上に、周りを気をつけねばいかんなぁ」


独り言のようだった。


そして、一枚の呪符を差し出す。


「?」


「今晩だけ、預かっておいてくれんか」


「あ、はい」


受け取り際にエルフが言う


「こっちの面を上に向けて置いておくと」


「自分の周りの音が消える呪符じゃ」


「!」


そこで皆と別れ、


自分たちの宿へ向かった。


――


その夜。


部屋に戻り、


窓から空を見る、


エルフの言うように空には二つの月が浮かんでいた


呪符を置く。


スマホを取り出すと、


タダシからの通知が来ていた。


[また気づいたら連絡してくれ]


通話ボタンを押す。


「おう、今日は?」


「今日は二つ」


「そうか、そっちはどうだ」


「元気だよ、また最初の街に戻ってきた…んだけど…」


「なんだ?歯切れが悪いな」


「今日、エルフに呪符渡された」


「呪符?」


「周りの音消えるやつ」


「一晩だけ預かって欲しいって」


「それ、もうバレてるだろ」


「だよな」


「エルフには本当のことを話した方がいいのかな」


しばしの沈黙


「…特に何してるかは聞かれてないんだろ」


「うん」


「じゃあそのまま何も言わずに」


「わかった」


「ただ、何も言わなくていいけど明日お礼だけは言っとけよ」


「わかった」


「よし、他には?」


「えっと、教えてくれた概念だけど」


「うん、どうなった?」


「王女が、その人をイメージするものを次々挙げてきて」


「それで合ってるんだよな?」


「多分、合ってると思う」


「でも途中から、衣装を再現する話まで出てきて」


「あー、それも概念の範囲ではあるな」


「でも、それはもう概念じゃなくてコスプレだろって思った」


「確かにコスプレだな」


「衣装真似してその人になりきるのはコスプレって言ったら」


「別でそれも展開するって言ってた」


タイチが付け加えると、


タダシが少し笑った。


「こっちの世界で異世界の格好してコスプレなのに」


「そっちの世界の人がそっちの世界の人の格好してコスプレってなんか面白いな」


「あ、そういえば」


タイチが思い出したように言う。


「前に醤油と味噌使った話をしたじゃん」


「ああ、覚えてるよ」


「剣士さんが出てきたスープに味噌入れてさ」


「これがミソスープだとか言うから」


「飲んでみたら豚汁だった」


「あー、豚汁な」


「店の人が味噌を入れるの気味悪がってた」


「へえ」


「でも、お前」


タダシが少し考えるように言う。


「思ったんだけど」


「醤油も味噌もあるのに」


「ただ存在してるだけって感じがする」


「なんで?」


「聞いてる限りだとそれを使った料理は存在してないみたいだし」


「言われてみれば」


「こっちの人たち、味噌汁とか焼き魚とか、知らないんだろうな、もったいないなあ」


「そう言う事じゃなくて」


「じゃあどう言う事なんだよ」


「バカには教えない」


「なんだよー」


二人で笑う


「あとさ、印税ってなんなの?売り上げ集計型とか」


「あー、音楽とか本とかで売れた分だけ貰えるってやつだな」


「それってさ、すぐには貰えないもんなの?」


「まあ、売り上げ集計するのに何ヶ月か必要だからな」


「そう言うことか、大体どんくらいで貰えるもんなの?」


「えっと、本の時は…三ヶ月…」


ノイズが混じる


「あ、やば」


「まじか」


「タイチ!」


「次まで死ぬなよ!」


そしてノイズだけになる


「おう」


聞こえるか分からないが返事をする


そして、通話は終わる


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ