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8-7 加護と、称号と、黒歴史


宿の部屋では


剣士が筋肉の良さを語り


筋肉を見せつけていた。


そこに聖女が起きてきた。


「何の話ですかぁ」


「筋肉の話だ」


「違うわよ、属性の話」


「わたしは聖属性ですねぇ」


「まぁそうだろうとは思ったけど」


「わかっちゃいますかぁ」


「聖女が聖属性じゃなかったらインチキよ」


「あ、そういえば」


タイチが口を開く。


「聖女ってなんで決まるもんなんですか」


「聖女は生まれ持っての称号とかよね?」


娘が続ける。


「そうですぅ」


「もちろん経験を積んで聖女の称号を頂くこともありますぅ」


「わたしは幼い頃の水晶鑑定で聖女と出たので、教会に入りましたぁ」


「なるほど」


「でも生まれ持っての称号って、後から人が付ける称号とは違うんですか?」


「違わないですぅ」


「称号を刻む判定ってのがありましてぇ」


「その判定でオーケーが出れば、鑑定内容に書き込まれますぅ」


「え、じゃあ僕の名人の称号も?」


「魔術師ギルドで判定されたんじゃないですかぁ」


「詳しいことはわかんないですけどぉ」


「称号は勝手に名乗れないので、多分そういうことだとぉ」


「勝手に名乗ってるやつはいわゆる二つ名だな」


「漆黒の…とか、」


「雷鳴の…とかだな」


「若い冒険者はそういうの名乗りたがるな」


そう言いながら剣士は魔法使いを見る


「なあ、混沌の生んだ絶望の魔法使いよ」


「…違う…混沌が生み出し絶望の…」


「なんですそれ」


「魔法使いがうちに入ったときにな」


「自分をそう名乗ってたんだぜ」


「…やめて…もう…名乗ってない」


魔法使いはフードで目元を隠し、顔を手で覆う


「恥ずかしい…」


(ああ、これが黒歴史ってやつか)


「そういえば聖女ってさ、」


「加護が無いとか言ってなかった?」


娘が聞く。


(すごいな、聞きにくいこと聞けるんだ)


「それ僕も気になってました」


娘に便乗する


「まず加護ってなんなんです?」


「加護もまた水晶鑑定でわかるんですけどぉ」


「偉い僧侶さまや、強い戦士さまなんかは、女神や戦神とかの加護があるんですぅ」


剣士が口を挟む。


「戦神の加護、欲しいぜ」


「加護が付けば無敵なんだがなー」


「そうなんですぅ」


聖女が続ける。


「わたしは聖女の称号を持っているのに、女神の加護が無くて」


「加護は能力の底上げや、固有のスキルとか色々恩恵があるんですけどぉ」


「何より加護のあるなしで、周囲の評価が全然変わっちゃうんですぅ」


「あんなにすごい魔法使えるのに」


「そう言ってくれるのタイチさんだけですぅ」


涙目でタイチを見つめる


「実力があっても加護が無いってだけで、不公平よね」


娘も同調する


「それで、教会としては正式な聖女と認めてくれないんですぅ」


「うーん、大変なんだなぁ」


「剣士さんが時々剣聖って呼ばれてますけど、あれは称号なんですか?」


「あー剣聖は称号だな」


「オレは称号なしから登り詰めた剣聖だから、そんじょそこらの剣聖より強いぞ」


「剣聖ってそんじょそこらに居るもんなんですか?」


「オレは二人ほど出会ったぞ」


「生まれ持っての剣聖ってやつに」


「え、じゃあ僕の薬草採り名人も」


「生まれ持っての薬草採り名人が居るかもしれないって事ですか」


「まぁ、理上はそうなるな」


「そうかぁ、会ってみたいな他の薬草採り名人…」


「そうか?会ってみたいか?」


「え?会ってみたくないですか?」


「オレはほら、剣の称号だから、会って戦いたいけどよ」


「お前、薬草採りだろ?」


「ええ、まあ、薬草採りですね」


「会って何すんだよ?」


「どっちが早いか勝負!とかか?」


「それとも、最近の薬草事情とかか?」


(確かに、話す事ないな…)


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