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7-6 緊急連絡と、消息不明と


――


「で、詳しい状況を教えてくれ」


剣士は帰り支度の手を止め、ギルド職員に問う


「いえ、詳細は何もわからないんです」


「担当の職員からの定時連絡が来なくて」


「ロストしたとの判断になりました」


「最後の定時連絡の場所はどこだ?特定できてるのか?」


「ちょうど鉱山地帯のあの山の反対側」


「昨日のワイバーン討伐の場所から山を越えた辺りかと」


「最終連絡はいつだ?」


「一昨日の夜の定時連絡が最後です」


「それなら、一刻を争う」


「魔法使い!」


「荷物全部収納しとけ、すぐ出るぞ!」


「もう…やってる…」


「じゃあ行くにゃ」


剣士の対応の速さに少し驚いた


あっけに取られている間に馬車に乗り込んでいく


「タイチ!早く乗れ」


そして娘にも


「行かねーんなら置いてくぞ」


「待って!行く!行きます!」


タイチと娘も馬車に乗り込む


「今度は置いてかないんですね」


「タイチが思ったより動けるなら、目の届くとこにいてもらった方が楽だ」


「それと、お前生活魔法使えたな」


「ちょっとだけだけど」


「到着までに聖女から治癒魔法教えてもらっとけ」


「えー?」


「治癒魔法は魔力を相手に分け与える」


「生活魔法の基礎も外側に魔力を放出する」


「同じだ!」


「同じじゃないですけどねぇ」


「でも生活魔法を使える人の方が早く覚えるのは本当ですぅ」


「確かに生活魔法は魔力放出の微調整が肝心じゃな」


「微調整すれば相手を回復させる事出来る、出し過ぎれば相手を破壊してしまうんじゃ」


エルフはチラリと魔法使いを見る


魔法使いは素知らぬ顔でそっぽを向いている


「トラブルに巻き込まれてるなら怪我をしてる可能性が高い」


「治癒を使えるやつはたくさんいた方がいい」


「あ、あたし、頑張って覚える!」


――


「剣士さん、凄いですね」


「まあにゃウチの国の警護部門の一族だから当然にゃ」


「だからウチが凄いみたいなもんにゃ」


「ウチの国って猫さんの国じゃないでしょ?」


「まぁ、ウチの国みたいなもんにゃ」


(また、適当なことを…)


――


馬車は山を越え、反対側にさしかかる


「この辺りのはずです」


職員が言う


剣士はすぐに降りていき


辺りを確認する


「一昨日じゃ匂いもそんなに残ってねーな」


「全部で何人だ?」


「パーティー六人、職員一人、御者一人、荷物持ち二人の計"デッ"人です」


(?)


「"デッ"人か、微かだが匂いの種類はそれより多い」


("デッ"……十人の方言とかなのかな?)


「遭難とかじゃなさそうだな」


「ロリ猫の言ったことが本当になりそうだ」


「よくない事は…本当に当たる…」


「や、やっぱりにゃ、そんな気がしてたにゃ」


ロリ猫は目を泳がせながら言う


「こっちだな」


剣士が微かな匂いを辿る


辿った先は左右を崖に阻まれた行き止まりだった


「何もないけど」


娘がそう言うと


エルフと魔法使いが馬車を降りて行く


「…この辺りだと…思う」


何もない岩肌を指差す


「うむ、ワシもそこだと思う。魔法使いいけるか?」


「…楽勝」


エルフが何かを唱えると、


周囲の音が消えた


「良いぞ」


魔法使いが杖を構える


直後、岩肌に音の無い爆発が起きる


「わっ!!」


驚く娘とタイチ


「破壊は…得意…」


娘の方をチラリと見る


(あ、やっぱ気にしてたんだ)


爆煙が収まると、岩肌に入り口がぽっかりと開いた


「巧妙に隠したつもりじゃろうが」


「魔力の残滓が…消しきれてない…」


「とりあえず内部を知りたい」


剣士がロリ猫に目をやると


「言ってくるにゃ」


とすぐに中に入って行く


そしてすぐに戻ってくる


「通路はまっすぐ、一番奥にたくさんの人にゃ」


「途中左右に部屋があって、多分右が冒険者っぽいにゃ」


「どっちだ」


ロリ猫は左を指差す


(!)


「戻ってくる時に見たからにゃ」


「オーケー、それでいい」


「いいか作戦はこうだ」


「とにかくオレが突っ込んで暴れるからその間に冒険者を救出しろ」


「え!それだけ!?」


「それだけだ」


(今まで凄かったのに最後は雑だなぁ)


考える間もなく剣士が突っ込んでいった


「聖女と娘たちは、ここで待っておれ」


聖女と娘と御者と職員は頷く


そして剣士の後を追う


あっという間に見えなくなった剣士の方から


叫び声が聞こえてくる


ロリ猫の指差した方の部屋の前に来る


反対の部屋から騒ぎを聞きつけた黒装束の男たちが出てきた


エルフが呪符で足止めする


タイチはとにかく、避けて避けてタイミングを見て転ばせる


その間にロリ猫が鍵を解錠する


歩ける者は手を引き、怪我してる者は魔法使いが浮かせて運んでいく


「これで全部逃げれたにゃ」


こちらも全部片付いた


ロリ猫が手際よく縄で黒装束を縛っていく


――


剣士も


「こっちも終わった」


と戻ってくる


ロリ猫が縄を抱え奥に入っていく


表では聖女と娘が

怪我をしている冒険者に治癒魔法をかけていた


「いてててて!しみるしみる!」


「もうちょっと弱くやるのがコツですぅ」


「さっき覚えたとこなんだからちょっとくらい我慢しなさいよ!」


「え?さっき?」


「そうよ!朝まで治癒魔法なんか使えなかったんだから!」


一番怪我を負っていた冒険者は聖女が治癒魔法をかけていた


「俺も一番怪我してれば良かった…」


「なによ!」


娘の魔力放出に力が入る


「いてててててててててて!」


隣では、黒装束たちの持ち物や書類をエルフが持ち出して確認していた。


だが決定的なものは見つからない。


出てくるのは、


以前見たものと同じような言葉ばかりだった。


その中で、


新たな単語があった。


「救済」


「んん、どこかで聞いたことが…」


「んーなんかぁ幸福とか救済ってぇ福音派みたいな言葉ですねぇ」


と聖女が治療しながら何気なく言う。


エルフがその一言に反応する


「そうか福音派か」


「聞いたことがあると思ったのは福音派の教義か」


と言った。


聖女は首を傾げる。


「でも、福音派はこんな迷惑なことしませんよねぇ?」


「いや、全てではないんじゃろう」


「一部の過激な連中が暴走しておるとも考えられる」


「理由は全くわからんが」


「確かに女神教にも過激な人は居ますねぇ」


「え?女神教にも居るの?」


「居ますよぅ」


「わたしが教会から放逐された時に」


「一部の信者が聖女を復帰させろー」


「とかで教会に押し寄せたんですぅ」


(確かに過激だ)

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