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7-5 男たちと、ワイバーン料理


宿へ戻った頃には、

すっかり日も傾いていた。


汗と土埃で全身がひどいことになっている。


「風呂にゃー!」


ロリ猫が真っ先に走り出す。


「ワシもじゃ」


「汗でべたべたですぅ」


「我も…賛成…」


他の面々も賛同する。


それを聞きタイチは食堂に向かう。


「あんたは行かないの?」


娘がタイチに問う


「僕が昨日されたこと覚えてる?」


「確かに、」


「それにあたしもあんたがいたら入りづらいし」


「でしょ?」


昨日のような事はもうごめんだ。


タイチは食堂で少し時間を潰すことにした。


――


しばらくすると、


鉱山の男たちが次々と食堂に入ってきた。


「勘弁してくれ」


「落ち着かねぇんだよ」


「見てるこっちが恥ずかしい」


「なんで平然としてられるんだ」


口々に言いながら席に着く。


(すいません、明日帰るので)


タイチは心の中で男たちに謝った。


――


さらにしばらくして。


「さっぱりしたのう」


風呂上がりのエルフが戻ってきた。


「ちょうどお姉様たちだけだったから、しっかり温泉堪能できたわあ」


その娘の一言に食堂の男たちが微妙な顔をする


(すいませんすいません明日には帰りますから)


と心の中で謝りながら、風呂へ向かった。


――


誰も居ない脱衣所で服を脱ぎ、

洗い場へ行くと温泉の方に人影が見える。


「あれ?」


温泉の端で、

ロリ猫がぐったりしていた。


「ど、どうしたの!!」


慌てて駆け寄る。


ロリ猫がゆっくり顔を上げた。


「タイチが…来るまで待ってたら…」


ロリ猫はのぼせていた。


「今日は…ウチがタイチを…洗うんにゃ」


物騒な企みが聞こえるが、


今はそんなこと言ってられない


ロリ猫を湯から引き上げ、洗い場に寝かせて


タオル一枚を纏い


タイチは急いで食堂へ戻る。


「聖女さん!」


「はい?」


「猫さんがのぼせてます!」


「えぇ!?」


聖女が立ち上がる。


――


脱衣所へ入る。


聖女はおもむろに服を脱ぎ出す。


「待って待って!なんで脱ぐの!?」


「え?お風呂ですからぁ」


「治療くらいなら脱がずに出来るでしょ」


聖女の治療でロリ猫は元気を取り戻す


「湯に入らず待ってたら良かったにゃ」


(それなら入ってません)


――


夕食。


「今日はバルキリーの狩ってきたワイバーンだよ!」


「ワイバーンか!」


「久しく食ってねーな」


男たちが嬉しそうに言う


「さあ、食ってくれ!」


女将が皿を次々運んでくる


「しょっぱいワイバーン料理だよ!」


(しょっぱいのは変わらないんだ)


揚げたもの、焼いたもの、煮込んだもの


とても美味しい。


「しょっぱい」


女将の言う通り、しょっぱかった


「汗をかいた後は沁みますねぇ」


「鉱山の飯じゃからの」


「悪くないにゃ」


ヘンネに比べて脂身が少なく

肉の味もしっかりしている


「ほんとにヘンネに似てる」


「そりゃそうにゃ」


「人が育てたらヘンネで野生のものはワイバーンにゃ」


「え!」


すると、それを聞いていた男たちも


「そうだったのか!」


「俺、全然知らなかったぜ」


と食堂全体がざわつく


そして剣士も


「知らなかった…」


すると、


「嘘ですよぅ、嘘!」


聖女が立ち上がりあわてて言う


「なんだ違うのか」


「うっかり信じちまうとこだった」


そんな中、ロリ猫に目をやると


舌をペロっと出した


(助けなきゃ良かった)


その後もワイバーン討伐の話をしながら、

しょっぱいワイバーン料理を食べる。


「宿もそこそこだし、食事も美味かった」


「もうちょっと…滞在したい…」


明日には帰る。


そんな空気が流れていた。


「温泉良かったなあ」


「もう一日、滞在しちゃう?」


娘のその言葉に食堂の男たち全員がギョッとする。


「ダメですよ、このクエストで来てるだけなんですから」


ギルド職員が娘を諭すと、男たちはほっとした表情になる。


――


翌朝。


荷物をまとめていると、

慌ただしい足音が聞こえてきた。


宿の扉が勢いよく開く。


ギルド職員だった。


息を切らしている。


「皆さん!」


部屋の空気が変わる。


「王都から緊急連絡です」


全員の視線が集まる。


「この奥地で緊急クエストを受けていたパーティーが消息不明になりました」


誰も口を開かない。


職員が続ける。


「現在、この付近で対応可能なのは皆さんだけです」


帰還予定だった朝は、


その一言で終わった。

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