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7-4 空の相手と、受け捌き


部屋でギルド職員との時間が流れる


(気まずい…)


娘が起きてきた。

まだ眠そうにしている。


バルキリーの面々は、

姿を見せる気配がない。


――


ようやく


「すまん寝坊した」


エルフが起きてきた。


続いて聖女。


魔法使い。


そして最後に獣人二人。


「ウチらは夜型だから朝は辛いにゃ」


ロリ猫が大あくびをしながら言う。


(それ言わなきゃ起きれないのか?)


担当の職員はそんな様子を

気にも止めずに依頼の説明を始めた。


ワイバーンの討伐。


出入りの商人や、

食材用の家畜に被害が出ているらしい。


その他、留意事項などを淡々と述べる。


「――以上となりま…」


「オッケーにゃ」


ロリ猫が食い気味に返事をした。


絶対聞いていなかった。


――


出発の支度をする段階で問題が起きた。


娘も当然のようについて来ようとしていた。


「ダメだダメだ、今回は流石に分が悪い」


剣士は反対した。


「相手は空から来る、全部を守れる自信がねぇ」


「馬車からは出ないから!」


「それでもダメだ!」


だが娘は引かなかった。


「自分の身は自分で守るから!」


「到底守れるとは思えん!」


「あたしの人生なんだからあたしが決める!」


「あー!勝手にしろ!」


結局、

連れて行くことになった。


「とは言え、目の前で死なれちゃ寝覚めが悪すぎる」


剣士がタイチを見る。


「じゃあ、

 タイチは娘を守れ」


「え?」


「僕が?」


「お主は目がいい、逃げるくらいは出来るじゃろ」


エルフが言う。


剣士もエルフも道場でのタイチを見ている。


だから、

そう判断したのだろう。


ただ。


一番不安なのは本人だった。


――


鉱山地帯を進む。


その上を、

大きな影がいくつも旋回している。


岩肌の高いところには

無数のワイバーンが羽を休めていた。


一行が近づいていくと


けたたましく叫び声を上げ、


一斉に飛び立つ。


戦闘が始まった。


剣士が真っ先に岩壁を駆け上がっていく


すぐに数体のワイバーンがバラバラと落ちてきた。


魔法使いが魔法を放つ。


空中のワイバーンが四散する。


聖女が光りを放つと灰になっていく。


エルフは黒い何かを伸ばす。


触手のように四方八方に伸びた

黒い何かにワイバーンが触れると

その場で時間が止まったように落ちる。


(黒い何か便利すぎるだろ)


ロリ猫は高い岩の上から、

合っているのか合っていないのか分からない指示を出している。


いつものバルキリーだった。


――


その時。


一体のワイバーンが娘とタイチへ向かって急降下した。


速い。


娘が固まる。


タイチは前に出たものの

足がすくんでいる。


鋭い爪が二人に狙いを定めて急接近する――


……


(あれ?)


剣士さんほど速くないんじゃないか?


動きも真っ直ぐだった。


体は自然とワイバーンを捌いていた。


――


次の瞬間。


横から衝撃が来た。


「うわっ!?」


タイチの身体が弾き飛ばされる。


――


「「「「「タイチ!!」」」」」


みんなが口々に言う


――


「だ、大丈夫ですー!」


タイチが起き上がる。


咄嗟に受け身を取ったので

怪我はなかった。


みんながほっと息を吐く。


無事なタイチを見て


「タイチ!尻尾に気をつけるにゃ!」


ロリ猫が叫ぶ。


(それ先に聞きたかった)


――


起き上がったタイチは娘の元へ駆け寄る。


再びワイバーンが急降下してきた。


だが。


さっきほど怖くはなかった。


迫る鋭い爪。


さっきと同じように捌く。


(そして、ここで…)


横から迫る尻尾を捌く。


ワイバーンはバランスを失い、そのまま岩肌へ激突する。


(手が一本多い人だと思えばいける)


「そっちに気を遣わなくて済むなら」


「思う存分動ける!!」


一気に駆け上がって斬っていく


他のみんなも一気にペースが上がる


(なんだかんだ言ってみんな気遣ってくれてたんだ)


タイチが一匹捌く間に二匹


二匹捌く間に四匹


あっという間にワイバーンは積み上がり


討伐は終了した。


魔法使いがどんどんワイバーンを収納していく


エルフが周囲を見渡して


「本来はこんな人の近くまで来ることはないんじゃが…」


「え、結構山奥ですけど」


タイチが聞くと


「本来の生息地は…もっと高い山…」


「人里に降りてくるのははぐれの一匹二匹だな」


「さらに奥で何か異変でも起きてるんでしょうかぁ」


「何やら悪意の匂いがするにゃ」


「何か気になることが?」


職員も尋ねる


「これは…」


「これは?」


間が空く


「言ってみたかっただけにゃ」


「……」


「何かあったのかと思いましたよ」


「いや、こいつは適当だが意外と的を得てる事が多い、」


「そうですね、大体よからぬ事は当たってますぅ」


「山奥で何かやってるから、ワイバーンがこっちに来たとかにゃ」


「すぐ…そういう事…言うから…」


(あ、この人フラグ職人なんだ)

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