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7-3 温泉と、尊厳と


みんなで宿の裏の岩肌の階段を登ると


木で組まれた脱衣所のようなものがあり


温泉特有の匂いが漂っている


男、女と別れた入口があり


別れ際に


「じゃあタイチまたにゃ」


とロリ猫が手を振る


中に入って横を見るとロリ猫が居る


顔を合わせたロリ猫が


「やぁタイチ久しぶりにゃ」


とか言う


入り口は二つだが中は一つで


真ん中を低いついたてが区切っているだけだった


「何よこれこんなの丸見えじゃない」


娘が叫ぶ


「なんだこの程度、ついたてがあるだけマシだろ」


剣士が脱ぎ始める


「冒険者はこれが普通にゃ」


「こっちは全然気にしないから大丈夫ですよぅ」


ロリ猫と聖女も服を脱ぎだす


「そっちが大丈夫でもこっちが気にしますよ」


ついたての死角に逃げ込む


同じように娘もついたての死角に行く


「なんか嫌な予感しかしないんだけど」


「僕もそう思う」


ついたて越しに会話する


脱衣所の各扉を開けると


案の定、温泉も中は繋がっていた


タオルで体を隠して中に入ると左右に洗い場があった


洗い場も低いついたてがあるだけで


分かれているとは言い難い


(いや、分かれていると言えば分かれているのか)


いそいそと男側と思われる方の洗い場に行こうとすると


「タイチ!こっちこい!洗ってやるぞ!」


剣士が声をかける


「嫌です!」


「そんなこと言うな」


剣士がズカズカとこっちへくる


「いや!来ないで!」


「なんだ女みたいな声を出して」


「いや、だめっ!」


剣士に抱え上げられる


「あっー!」


――


「ああ、僕の尊厳が…」


さすがに娘も不憫に思ったのか


「元気出しなさいよ」


と声をかける。


「ありがとう」


と娘の方を見ると


「こっち見ないでよ!」


(理不尽だ)


もう出よう。


魔法使いやエルフはタオルで体を最低限隠しているものの、

剣士、ロリ猫、聖女は隠そうともしない。


「先に戻ってます」


――


脱衣所へ戻る。


すると。


屈強な男たちで溢れかえっていた。


「なんだ兄ちゃんもう出るのか?」


そう言いながら男たちは中へ入っていく。


温泉の方から


「いやーーーーー!!」


と絶叫が聞こえてきた。


――


食堂に戻ると

すぐに娘も戻ってきた


「なんなのよ、もう」


「冒険者ってあんな感じなんじゃないのかな」


「そうなの?」


「剣士さんもロリ猫も言ってたけど」


「確かに言ってたけど」


「クエスト中とかはいちいちそんな事を気にしてられないとかじゃないの?」


「そうか…冒険者って大変…」


「いや、分かんないけどね」


「まあ、でもありそうと言えばありそうか」


すると


入れ替わりに入った男たちも早々に戻ってきた


「なんだあの姉ちゃんたちは」


「恥じらいのかけらもない」


「ああ、見ているこっちが恥ずかしい」


「あんなとこに居てられるか」


「うちの娘がああなったらどうしよう」


「荒くれの冒険者たちでももうちょっとマシだぞ」


と口々に言う


「……」


「しかも一人は聖女だっていうじゃないか」


(そりゃ教会の人も扱いに困るわけだ)


しばらくして、


バルキリーの面々も戻ってきた。


鉱山の男たちは気まずそうに目を逸らす。


誰も温泉の話をしない。


「やっぱり普通じゃないんじゃない」


娘が呟く。


「冒険者はみんなこんなもんにゃ」


ロリ猫が当然のように言う。


「いや、違うな」


近くで飯を食っていた鉱夫が即答した。


(また適当な事を言ったな)


――


料理が運ばれてくる。


しょっぱいのが名物とは聞いていたが、


やっぱりしょっぱい。


「しょっぱい」


「鉱山で働く者は汗をかく」


「自然と味も濃くなるんじゃ」


「この辺りは岩塩も豊富に採れるからの」


エルフが当然のように言う。


「なるほど」


「でも、肉も美味しいし


 わざわざしょっぱいって付ける必要あるのかな?」


「しょっぱいって言っとかないとしょっぱいって文句を言う人が居るんじゃないの?」


娘が言う


(そう言う問題なのか?)


――


いつもの様に寝る場所決めで揉める


今日はベッドが一人一つあるのに


「窓際がいいにゃ!」


「おトイレに起きるからドア側がいいですぅ」


「寝言がうるさいからエルフの隣はいや!」


「え、ワシ寝言言うの?」


「結構喋ってる」


「こないだはひどかったな」


「王都の歴史を…ずっと喋ってた…」


「知らんかった」


「…」


――


そして朝。


担当の職員が部屋に来る。


「おはようございます」


「あれ?昨日はどこで寝たんですか?」


「わたしは馬車で寝ました」


「え、部屋じゃないんですか?」


「同伴の職員はそんな経費出ないので」


「ギルドの椅子に比べたら全然寝れます!」


嬉しそうに言う


(ブラックな職場だなぁ…)

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