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6-9 招待と、提案と


ドージョーヤブリから、

数日たったある日。


薬草採取から帰ってきて部屋に戻ると


王女の付人がやってきた。


「すみませんバルキリーはまだ起きてないと思います」


すると


「……まだ寝てるにゃ」


寝室の方からロリ猫の声が聞こえてきた。


「……だそうです」


付人は笑いながら、


「構いませんよ。

 今日はお手紙をお持ちしただけですから」


「王女さまからの招待状です。

 お目通しください」


と一通の招待状を渡された。


……読めない。


「すみません、

 読んでもらっていいですか?」


付人が招待状を読み上げる。


「キューティーバルキリー御一行へ」


「お茶会へ

 ご招待申し上げます――」


「平服でお越しください――」


「また、

 同伴の方々も

 ぜひご一緒に――」


「日時は――」


読み終わった後に、


「平服って何ですか?」


「礼服でなくとも良いと言う意味ですよ」


「ありがとうございます」


――


起きてきたみんなと、

食事をとりながら招待の話をする。


「王女さまからの招待ってなんなのかしらね」


「純粋にお茶会だけとも考えにくいのう」


「美味しいスイーツがあるんでしょうか?」


「我は…お茶には……うるさい」


「王家秘蔵の書物とか閲覧させてくれんかの」


「王城の騎士団と試合出来ねーかな」


いつも通り好き勝手なことを言う。


――


お茶会当日。


薬草採取を終え、宿でお茶会の支度をする。


「お待たせ」


娘が部屋から出てくる。


少しだけ飾りの入った、

綺麗なドレス姿だった。


そして、


各自、

着替えを済ませて出てくる。


ロリ猫、

剣士、

エルフ、

魔法使い、

聖女。


全員、

いつもの服の色違いだった。


「結局いつもの色違いじゃないですか」


するとロリ猫が人差し指を左右に振りながら、


「甘いにゃタイチ」


そう言いながら、

後ろを向きお尻の方を見せる。


「あ、

 尻尾になんか付いてる」


「尻尾用のシュシュにゃ」


剣士は、


「セレモニー用の眼帯だ」


見ると細やかな宝石が眼帯に散りばめられている。


エルフは、


「ワシはまあ、いつもより上等な布じゃな」


そう言われると少し光沢があるような。


聖女は、


「シスターは修道服が正装ですぅ」


と言いながら、

胸がいつもより開いた服を着ている。


魔法使いはローブに身を纏い、

いつもと違いが分からない。


「魔法使いさんはいつもと変わりませんね」


「……甘い」


と言いながらローブをひるがえす。


ローブの裏地には竜の刺繍が入っていた。


「なんか不良みたい」


「なん……だと」


「竜は……高貴なんだぞ……」


「この刺繍……高かったんだぞ……」


消え入りそうな声で言う


皆の説明を一通り聞いたが


でも結局、


いつもの色違いという点は変わらなかった。


「やっぱり、

 あたしだけ場違いじゃない」


娘は少しだけ悔しそうな顔をした。


「……着替えてくる」


――


そして戻ってきた娘は、

結局いつもの服の色違いになっていた。


娘曰く、


「ここ!

 ここにお花のワンポイントがあるんだから!」


と言うことらしい。


「タイチこそいつもと一緒じゃない!」


「そんなこと無いよ、

 これ新品なんだから」


「わかんないわよ!」


――


王城。


通されたのは、

豪華な応接室だった。


テーブルには、

高そうな茶器が並んでいる。


その時。


扉が開く。


「お待たせいたしましたわ!」


王女が入ってくる。


室内を見回し、


「本日はようこそおいでいただきましたわ」


と、一人一人に、会釈をする。


「えっと、

 僕も来ちゃったけど

 ホントにいいんですか?」


タイチが聞く。


すると王女は、

にこやかに言った。


「もちろんですわ」


「永世薬草採り名人タイチさん」


「登録間もなく、

 歴代の記録を塗り替え――」


「その後も慢心することなく、

 自身の記録を更新し続ける偉業」


「並の方に

 出来るものではありませんわ」


「僕の事、

 知ってるんですか?」


「もちろんですわ」


「お姉様方を監視……

 調べたついでに」


(ついでの方は

 言い直さないんだ)


「あ、

 あたしはホントに

 無関係なんですが!」


娘が慌てて言う。


「あなたのことも

 調べさせていただいてますわ」


「普段は王都の魔術学校へ通う生徒」


「成績は優秀」


「東の街の宿屋の息女」


「その宿は焼きヘンネのマヨソース掛けで

 一躍有名に」


「現在では、

 予約が取れないほどの

 人気宿へ成長しております」


「え、

 あたしが居ない間に

 そんな事になってんの!?」


「そして、

 タイチさんの雇用主」


(ほんと、

 それ誰が言ってんだろ)


――


そして始まるお茶会。


「今回の不祥事、

 誠に申し訳ありませんでした」


王女が頭を下げる。


「いや、

 気にすんな」


「なかなか出来ない経験だった」


「逆にこちらも助けてもらった身だ、何か礼をしないとだな」


剣士が軽く笑い足を組み替える。


「礼……」


そう呟きながら剣士のその仕草を見入る王女。


(なんか、剣士さんを見る目が……)


思い出したように再び口を開く。


「今までの枢密院の行いは、

 多少のことなら目をつぶってきましたわ」


「それでも、

 王都でも人気の高い

 バルキリーへとなると」


「手を出してはいけないところへ

 手を出してしまいましたわ」


「本来なら、今後は、

 わが王都の騎士として

 召し抱えたいところですが」


「そうもいかないのも

 承知しております」


「なので、」


「わたくし考えましたの」


「王都の公式アンバサダーとして、

 キューティーバルキリーを

 起用したいと思っております」


声が一際大きくなる。


「公式アンバサダー?」


「具体的に

 何するんだ?」


「束縛はごめんだが?」


剣士がめんどくさそうに言う。


「束縛は致しません」


「強制招致もございません」


「ただ、

 わたくしどもの王家の後ろ盾が付くだけ――」


「と考えていただければ、

 悪い話では無いかと」

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