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6-5 王女と、揺れない思いと


「美しすぎるのも罪にゃ…」


頬に手を当て自分の世界に入り、


「また一人、愛という名の蜘蛛の巣に…」


「はぁ…」


好き勝手な事を言い、ため息をつく。


そんなロリ猫を無視して、

剣士が口を開く。


「過去にオレらと会った事――」


言いかけた時に付人の言葉が遮る。


「殿下、

 次の公務のお時間です」


その一言で、

王女の表情が露骨に曇る。


「えぇー……」


「まだお話したいことが山ほどありますのに……」


「殿下」


「……分かってますわよ」


王女は立ち上がり、

名残惜しそうにこちらを振り返った。


「後日、

 ぜひお茶会を開きましょう」


「今度こそ、ゆっくりお話したいですわ!」


「ではお姉様方!

 この続きは後日ぜひ!」


王女は満面の笑みでそう言った。


突然の誘いにロリ猫は、


「お、おう、オッケーにゃ」


と適当に返事をする。


満足そうに頷くと、

そのまま付人たちを連れて部屋を後にした。


扉が閉まる。


しばし沈黙。


「……一方的に喋って出て行ったにゃ?」


ロリ猫が呆然と呟く。


「ああ、

 お前と話してるみたいだった」


剣士が即答した。


「どういうことにゃ!」


ロリ猫が剣士をポカポカと叩く。


いつも通りのバルキリーが戻ってきた。


――


王城を出て、

宿へ戻る途中、


以前娘と立ち寄った、

冒険者資料店の前に人だかりが出来ていた。


「最新作だよ!

 本日限定三十部!」


店員が大声で叫んでいる。


人々が我先にと群がっていた。


店先に飾られていたのは、

大きな一枚絵だった。


中央には王女。


その左右には、二人の女騎士。


凛々しく描かれたその姿は、

まるで英雄譚の一場面のようだった。


その横には、

バルキリーの新しい絵札も並んでいる。


「もう絵になってんのか」


(王都の商人、仕事早すぎるだろ……)


だが、


群がる人々は絵に夢中で、

目の前を歩いている本人たちには誰一人気づかない。


「……」


「目の前の本人が居るのに目もくれないにゃ」


ロリ猫がつまんなそうな顔をした。


すると剣士が、

絵札を見ながら鼻で笑う。


「絵が盛られすぎてんだよ」


「エルフと魔法使いなんか、

 豪勢な乳だしな」


「実際は貧相なのに」


絵札のエルフと魔法使いは、


やたらと胸が多めに描かれていた。


(確かに)


「貧相とはなんじゃ、

 慎ましいと言わんか」


エルフが不満そうに言う。


「我……

 まだ……成長過程……」


「エルフ……より……

 望み……ある」


魔法使いもぼそぼそ反論した。


「なんじゃ!

 そのワシに望みがないような言い方は!」


「もしかしたら、

 ワシもまだ成長期かも知れんじゃろ!」


「…無理…ご愁傷さま…」


そんな不毛な言い争いに、


「エルフさん、魔法使いさん、

 それはそれで魅力の一つですよぅ」


聖女がフォローを入れる。


「ある奴に言われても嬉しくないわい」


「…それは……同意」


「えーなんでですかぁ」


大きな胸を揺らしながら頬を膨らませる。


「あれ、絶対わざとやってる」


「天然でも、イラッとするわい」


「…聖女のくせに…罪深い…」


揺れることのない

娘、エルフ、魔法使いの三人が、


肩を落とす。


そのやりとりをロリ猫が指差して笑う。


娘がロリ猫を睨み付け、


「あんたもこっち側よ!」


「にゃっ!?」

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