5-2 王都と、文化の違い
朝早くに宿場を出発して、
半日ほどしたころ。
ようやく森を抜ける。
その先で、
馬車は崖沿いの街道へ出た。
「お」
思わず声が漏れる。
見下ろした先。
そこには、
巨大な都市が広がっていた。
王都。
巨大な城壁で、ぐるりを囲み、
建物が所狭しと密集している。
その無数の小さい家々のところどころから白い煙が上がり、
人々の生活を伺わせる。
大通りには無数の人の流れ。
「あと一刻半くらいで着きますよ」
御者が笑いながら言う。
(まだそんなにかかるのか…)
城壁は、
進むほどどんどん大きく高くなっていく。
なのに、
一向に近づいている感じがしない。
街道を進むにつれて、
周囲の馬車も増えていった。
商人らしき集団。
護衛付きの荷車。
冒険者風の集団。
みんな、
王都へ向かっている。
「王都は人も物も集まる場所じゃからの」
エルフが外を眺めながら呟く。
「依頼も、金も、厄介事も集まるにゃ」
ロリ猫が肩をすくめる。
やがて、
王都の門が見えてきた。
近づくほど、
城壁の大きさが現実味を失っていく。
「でっか……」
思わず呟いた。
大量の馬車。
行商人。
冒険者。
人の列が、
絶え間なく流れている。
入場の並びの列に加わり、
たくさんの係が
「あらかじめ身分証をご用意ください!」
と叫んでる声が聞こえる。
自分たちの順番が回ってくる。
各々ギルド証を渡す。
係が奥に持って入って、
何かの確認をして、
すぐに返してくれる。
娘も渡していたので、
「ギルドに登録してるの?」
と聞くと、
学生証だと言っていた。
王都へ入って早々、
剣士は
「研いでくる」
とだけ言い残してどこかへ行ってしまった。
「あやつは全てにおいて剣が最優先事項じゃからな」
それを聞いたロリ猫は呆れたようにため息をつく。
大通りに入ると、
まず人の多さに圧倒された。
馬車。
荷車。
呼び込み。
行商人。
人の流れが、
途切れない。
香ばしい匂いが風に混じっている。
通りの屋台を見ると、
串に刺さったヘンネを、
油の入った大きな鍋に入れていた。
「揚げヘンネじゃな」
(揚げなんだ)
「王都は揚げるのが主流じゃ」
(なるほど、文化も違うのか…)
「試しに食べてみようかな。」
「美味いぞ」
エルフの勧めもあって、
一つの屋台に向かう。
「いらっしゃい兄ちゃん!
何本いるんだ!」
「じゃあ……」
指を二本立てる。
すると、
なぜか六本渡された。
両手に揚げヘンネを抱えてる姿を見て、
「タイチ気前いいにゃ」
「みんなの分も買ってくれるとは」
「タイチ気が効くじゃない」
「タイチさんいただきますう」
「…タイチ…恩に着る」
「え?」
揚げヘンネを一口食べる。
(これは、唐揚げ?)
タイチはロリ猫に小声で耳打ちした。
「これもマヨソースが合うと思います」
「それはあるにゃ」
ロリ猫はそのまま屋台の親父へ向き直る。
「親父さん、
マヨソースかけてくれにゃ」
「あいよ」
と奥の大きな瓶からマヨソースをかけてくれる。
みんなも次々とマヨソースをかけてもらう。
(なんで誰も焼きヘンネにかけようと思わなかったんだろう…)




