4-10 肉と、奢りと、余計なひと言
鳳凰印を後にして、宿に向かう
街の中を歩いていく
しばらく歩いてロリ猫が足を止めた。
「今日の宿はここにゃ」
指さした先には、木造の二階建ての宿。
人の出入りも多く、そこそこ繁盛しているように見える。
中に入ると、すぐに娘が辺りを見回した。
「ふーん……内装はまぁまぁね」
「床はしっかりしてるし、匂いも悪くないわね」
「宿を選んだのはワシじゃからな」
エルフが当然のように言う。
「最低限は押さえておる」
「最低限なんだ……」
どうやらエルフが既に話をつけていたらしい。
部屋も食事もそのままここで決まりのようだ。
――
席に着くと、すぐに料理の話になる。
「この店は、豚のステーキが有名でな」
エルフが言う。
すると奥から店主らしき男が顔を出した。
「うちの店の豚はメスが特におすすめだな。臭みがなくて柔らかいんだ」
「オスでも全部去勢してるから、普通の豚より臭みは少ない」
「ここの店主のそのまた前のそのまた前の代からのこだわりじゃ」
自然な流れで、皆がメス豚のステーキを注文していく。
「僕も同じもので」
そんな中、
娘だけがメニューをじっと見ていた。
「あ、あたし、ヘンネで」
「どうしたにゃ?ここのメス豚は最高にゃ?」
ロリ猫が不思議そうに聞く。
「豚なんてただでさえ高級品なのに……」
娘の様子を見て、なんとなく察する。
エルフが軽く息をついた。
「この宿を選んだのはワシじゃ。だから勘定は気にせんで良いぞ」
「え、じゃあお言葉に甘え――」
娘が言い切る前に、
「ゴチになるにゃ!」
「エルフ太っ腹!」
「エルフさんに女神の加護を」
「…有り難く…いただく…」
一斉に声が上がる。
「こらこら!お前たちは自分で払うんじゃぞ!」
その一言で、ぴたりと静まる。
「分かった分かった、しようのない奴らじゃのう」
「「「「ご馳走さまでーす!」」」」
(ほんとに上級の冒険者なんだろうか)
――
しばらくして、肉の焼ける匂いが漂う
「うう、今ならこの匂いで皿も食える」
剣士がたまらず言う
「…ウチはフォークも食えるにゃ」
そんな事を言っていると、
焼き上がった豚のステーキが運ばれてきた。
「うちの豚は肉に自信があるから味付けは塩だけにしてるんだ」
店主が言い終わるや否や
矢も盾もたまらず各々ナイフとフォークを手に取る。
「「「「「「いただきまーす」」」」」」
一口。
(確かに塩だけで十分美味い)
シンプルに焼き上げて塩で味付けしただけなのに
ものすごい肉の旨みが口の中に広がる
「かーっ美味ぇ」
「美味いにゃ」
皆が口々に言う。
みるみるうちに皿の肉は減っていく
そして――
ふと、
「これってショーユソースも合いませんか?」
店主は
「もちろん試したさ、でもショーユの味が強すぎてどうにも」
「あ、付けるんじゃなくて――」
「「ターイーチー」」
娘とロリ猫が同時に睨む。
「なんであんたは思いついた事をすぐに口にしようとするのよ」
「そうにゃ!」
「いや、そんなつもりじゃ……」
「焼きヘンネの件…」
何も言えなくなる。
そしてそのまま説教される。
――
説教と食事も終わり、部屋に戻る。
「お腹いっぱいにゃ」
ロリ猫がベッドに転がる。
大きめのベッドが三つの大部屋。
ロリ猫と剣士、娘と魔法使い、聖女とエルフ。
(普通に考えてソファだよな)
ソファで横になろうとしたら
「選べ」
ロリ猫と剣士のベッドでは、
ロリ猫が口パクで「ここ!ここ!」っとベッドを指差している
「いや、ソファで寝るので…」
「選べ」
娘と魔法使いのベッドを見ると、
娘が睨みつけ"ここを選ぶな"と言うオーラを出している
「いや、あの、」
「選べ」
聖女とエルフのベッドは、
聖女がまたスケスケの寝巻きだったので直視できなかった
「じゃあ…」
結局、前と同じく剣士とロリ猫のベッドを選ぶ。
端で寝ようとしたら、真ん中に寝かされた
二人の真ん中で目を閉じて
(何と言うかこの二人は異性を感じさせないから落ち着く)
「にゃ?」
「今とてつもなく失礼な気配を感じたにゃ」
「オレもだ」
すぐに寝たふりをする
すると
「ミソとショーユの話は明日聞くにゃ」
(……やっぱりバレてるよな)




