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4-4 調査と、断片と


護衛の依頼から戻ったのは、数日後だった。


居なかった数日間分の薬草を採取するため、

ギルドにクエストを受けに行く。


ギルドは、

いつもと同じようで、少しだけ違っていた。


とりあえず籠を二つ受け取り、

そのまま森へ向かう。


昼前に納品する。


さすがに受付嬢は驚きを見せなくなった。

事務的に薬草を数えて、報酬を渡しながら


「明日バルキリーとギルドに来てください、昼頃で構いません」


(なんで僕に言うんだろう)


帰りにバルキリーの宿泊する宿に寄り、

ギルド招集の旨を伝えて宿に戻る。


いつも通り宿の手伝いをしながら、

宿の娘と話す。


バルキリーは王都でも有名なパーティーで、

女性だけのグループも相まって、人気があるのだそうだ。


特に剣士の人気が高いらしい。


「なのになんでタイチが!」


と突然怒りだす。


(理不尽だ…)


娘は近々王都に戻ると言うので、

バルキリーのお姉様方に護衛を頼もうかとか言っている。


バルキリーは高いんじゃないかと適当に返したら、

悔しがっていた。


夜、空を見上げる。


月は出ていない。


――


次の日。


朝のうちに薬草採取を終えて、

そのまま、バルキリーの宿へ行き、

一緒にギルドへ向かう。


中に入ると、


指定の時間に来るのが珍しいのか、

周囲の職員が一瞬こちらを見る。


平静を取り戻した受付嬢が、そのまま依頼を提示する。


森の異変は、まだ続いているらしい。


内容は森の確認。


(この前の続きか)


横を見ると、


ロリ猫は欠伸をしていて、

剣士は壁に寄りかかっている。


魔法使いはウサちゃんを撫でていて、

聖女はぼんやりしている。


バルキリーはいつも通りだったので、

特に疑問も持たず話を聞く。


そのまま代わりに受ける。


「行くにゃ」


その一言で、全員がのっそりと動きだす。


その動きはさながら冬眠から目覚めた熊のようだった。


(見たことは無いけど)


――


そのまま森へ向かう。


道中、黒い集団のことを考えていた。


「なんであの集団は、商人の荷物を襲おうとしたんですかね」


「知らん」


清々しくきっぱりと剣士が答える。


エルフが答える。


「あの商人はここいらでも高価な魔道具や質のいい魔石も扱ってるから」


「そういったものを狙う輩が多いんじゃろうな」


「奴らが何者なのかは分からんが、前の調査の時に何かの儀式を取り行ってる跡が見られた」


「目当ては魔道具とかかも知れんな」


――


森に入ると、


さっきまでの体たらくが嘘のように、

動きが変わる。


前に遭遇した場所より、少し奥で


獣人二人が、同時に足を止める。


「……いるにゃ」


「人の匂いだな」


剣士が地面を軽く蹴る。


エルフは何も言わず、

そのまま地面に視線を落としている。


踏み固められた跡。


同じ方向へ向かう足跡。


それも、数が多い。


隠しているつもりなのか、

逆に整いすぎている。


「盗賊、ですか?」


口に出す。


剣士が首を振る。


「こんな動きはしねえな」


「にしては、素人すぎる」


ロリ猫が鼻を鳴らす。


「これは当たりかにゃ」


魔法使いが指先で空気をなぞる。


「魔力も……隠し方が雑」


エルフが、ようやく口を開く。


「……目的が見えんの」


「じゃが、何をしたいのかが分からん」


(たしかに)


そこで剣士が声を張り上げる。


「おうおうおう!」


「そこに居るのは分かってんだ」


「さっさとかかって来やがれ!」


すると、


「気配が無くなった」


「逃げたにゃ」


「あんな大声出すからですよう」


「すまん、そんなに腑抜けだとは思わなかった」


剣士の声で、逃げ出したらしい。


そのまま奥に進むと、


地面が荒れている。


よほど慌てて逃げ出したのか、


色々なものが散乱していた。


その中の一枚の粗末な布切れに目をやる。


拾い上げる。


「……なんだこれ」


ロリ猫が覗き込む。


「なんか書いてあるにゃ」


かすれた文字。


エルフが布を覗き込み、


「どうやら古代語のようじゃな」


ところどころ掠れてうまく読めないが、


「幸福」、「解放」


と書いてあるようだと言う。


「何をだ?」


剣士が眉をひそめる。


「さあにゃ」


魔法使いは興味なさそうに視線を外す。


エルフは、その布をしばらく見て、


「どこかで聞いたことのあるような気もするが」


考え込んでいたが、


「……分からんの」


そう言って視線を外した。


それ以上、誰も何も言わない。


しばらく周囲を確認したが、


残っていた足跡も、散り散りになり


それ以上の手掛かりはなかった。


「こりゃ仕切り直しだな」

と剣士が言うと、


「まあ、確かにこれ以上の長居は無用じゃな」


エルフがそう言って歩き出す。


魔法使いと聖女もそのままついていく。


(なんだったんだ、これ)


結局、何も分からないまま、

その場を後にした。


ギルドに戻ると、

エルフだけが奥へ行く。


微妙な空気が漂うギルドの中で、


他のメンバーは晩ごはんに何を食べるかで揉めていた。

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