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3-12 承認と、涙と


気づけば


世界は元に戻っていた


魔獣からは大きく離れ


衛兵と共に遥か後方に


倒れていた


頭からは血が流れていた


少し掠ったらしい


魔獣が振り向く


そして突進してくる


もう、動けそうにない


「これまでか、」


覚悟を決めた。



その目の前に


影が立った


「やるじゃねーか!あとは任せとけ!」


剣士だった


「タイチさんカッコよかったです」


聖女が駆け寄ってくる


「どうして…?」


「帰ってくるのはまだ先だと…」


「聖女のやつが会いたい会いたいってうるせぇからな!ぶっ飛ばして帰ってきた!」


「違います!剣士さんが心配だ心配だって言ってたんじゃないですか!」


「うるせぇ!」


剣士がこちらを見る


「よく踏ん張った」


「…だって、」


「だって、逃げんじゃねーぞって言われたから」


一瞬、間が空く


「ばっか」


「そういう意味じゃねーよ」


傷ついたタイチを見て剣士が言う


「こう言う時は逃げていーんだよ」


そしてタイチを懐に抱き寄せ


「タイチが無事でよかった…」


そこに遅れてロリ猫が走ってくる


「にゃ!剣聖ばかりずるいにゃ!ウチもタイチにスリスリするにゃ!」


と抱きつく


聖女も

「わ、私も!」


そして追いついてきた二人も


「ワシも!」「我も!」


魔獣を放置でタイチに抱きつく


その様子に呆気にとられていた魔獣も我に返り


こちらに向かってくる


しかし、


「よくもタイチをこんな目に遭わせやがって」


「血がたぎるにゃ」


「無にお還りなさい」


「いや微塵も残さず」


「死んだ事すら気づかぬまま死ね」


不憫でならない


獰猛だった魔獣が

さっきまでいた場所には


何も残っていない



周りを見渡すと

街中に入り込んだ魔獣は全て片付けられている。


「そうだ!まだ外に魔獣の群れが!」


「魔獣?ああ、なんか居たけどな」


「早くしないとまた街に!」


「戻ってくる途中、聖女が聖なる光を垂れ流してたから、ほとんど片付いてるだろ」


「垂れ流すとかそんな言い方」


聞けば、足の遅い聖女を剣士が抱えて走ってきた


その時に聖女は周りの魔獣に聖なる光を浴びせていたらしい


「ウチらが遅れたのは、」


「聖女が垂れ流すそれに巻き込まれないように必死だったからにゃ」


(聖なる光の扱いがひどい…)



そんなやりとりに少し安心した


しばらくすると衛兵が目を覚ました


「生きて…いる…のか?」


「ああ、おっさん、命拾いしたな」


剣士の姿を見た衛兵が思わず言う


「ヘルバルキリー!?帰ってきてたのか」


「ああん?」

剣士が睨みつける


「すまん、そうか、バルキリーに助けられたのだな、感謝する」


「ちげーよ、おっさんを救ったのはこいつ」


と剣士はタイチの頭をポンと叩く


「なんと!坊主か、感謝する」


「しかし初めて見た時はそんな強いとは思わなかったのだが、」


(なんか感謝しながらディスられてる?)


「ああ、こいつは戦いはてんで弱いが」


そう言いながらタイチの肩を抱き


「心が強い」


その剣士の言葉に


ボロボロと涙がこぼれ落ちる


異世界に来てから押し込めてた感情が溢れ出した


「おいおい、今心が強いって言ったばかりだろ」

剣士が困ったように笑う


「ずびばぜん、なんか嬉しくなっちゃっで」


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