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3-10 離脱と、不在と


朝。


バルキリーのメンバーが滞在している宿に呼び出されていた


やはり上級の冒険者が多数泊まるだけあって


どことなく高級感が漂う


バルキリーに呼ばれている旨を受付に伝えると


こちらでお待ちくださいと


食堂兼喫茶室に通される


食堂で待つが


相変わらず誰も来ない


出されたお茶が空になった頃


エルフがやってきた

「すまん寝坊した」


そして

聖女、魔法使いとやってきた


最後に獣人の二人がくる

眠そうにしながら

「ウチらは夜型だから朝は辛いにゃ」


と、のたまう


(前にも聞いたなこれ)


全員が席につき

朝食をとりながら話が始まる


「数日、街を空ける」


「ちょっと別件でな」


剣士が軽く言う。


いつもと変わらない調子だった。


「え?」


思わず聞き返す。


――


ここにくる前に泊まってた街の宿に忘れ物をした


どうやら、それが理由らしい。


剣士は

剣を研ぐ砥石を忘れたと言う


武器屋でも研いで貰えるが


一流の剣士はそれぞれ、マイ砥石を持っているとか


そういうものらしい。


武器のこととなると急に生き生きと話し出し

終わりが見えなかったので


「じゃあ、剣士さんだけ離れるんですか?」


と、割り込んだところ


少しムッとしていたがスルーした


すると横から


「実はワシも呪印を書き込む魔道具を忘れての」


どうやらエルフもらしい。


「じゃあエルフさんも?」


その横の聖女も顔を赤らめながら


「あの、私は、替えの下着を忘れてしまい

まして、、」


(!?)


思わず変な声が出そうになるのを抑える。


「…お気に入りの一枚なんです」


(…ダメだ、想像しちゃダメだ)


頭の中で必死にブレーキをかける。


剣士が割り込む

「そんなのノーパンでいいじゃねーか!ノーパンで!」


「そんな、下品な言い方しないでください!」


「剣士さんだって砥石くらい別にいいじゃないですか!」


「オレの砥石をパンツと一緒にするな!」


「私のお気に入りと砥石を一緒に――」


埒が開かないので慌てて話題を戻す


「じゃ、じゃあ聖女さんもなんですね」


すると食卓の隅っこで魔法使いが申し訳なさそうに手を挙げる


「我は、その、寝る時一緒に寝てるウサちゃんを、、」


(ウサちゃん!?)


驚きの表情で魔法使いに目をやると


「無くても寝れるがな!」


「無くても!」


「本当だぞ!」


なぜか必死だった。


「え、え、じゃあ魔法使いさんも?」


ロリ猫を見ると目が合った


すると、待ってましたと言わんばかりの顔で


「ウチはやる気を忘れてきたにゃ」


と、ヘラヘラ笑いながら言う


(え?)


「嘘にゃ、ウチはペンを忘れてきてしまったにゃ」


(あ、忘れ物はしてるのね)


「ノーペンだにゃ!」


ドヤ顔で言う


「もう!猫さんまで!」

と聖女は顔を真っ赤にして言う


そして、あれも忘れたこれも忘れたとぐだぐだ話している


(…戦闘以外では全然ダメな人たちなんだな)


ポンコツな人たちの

やりとりを見ながら食事を終えた


――


しばらくしてから街の門の前に集まった


「すぐ戻る」


あまりにもあっさりした言い方だった。


なんというか、いつも通りだった。


「てめえ逃げんじゃねーぞ」


最後にそう言い残して


バルキリーの面々は出ていった


本当に、あっさりと。


僕一人だけが、その場に残った。

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