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3-8 森の調査と、呼び名と


朝。


ギルドに呼び出された。


「バルキリーに依頼があります」


受付嬢はそうタイチに話し出す。


「ちょ、ちょっと待って、まだ誰も来てない。」


タイチが慌てて話を止める。


――


続々とやってくるエルフ、聖女、魔法使い。


そして、遅れて二人の獣人がやってきた。


話が再開される。


「森の調査、ですか?」


受付嬢は頷く。


「最近、魔物の増加が確認されています」


「オーク、ゴブリンと続いていますので」


「一度、状況の確認を」


なぜか受付嬢は僕に話をする。


「……それと」


受付嬢が一瞬だけ言葉を選ぶ。


「森で、狼の群れが目撃されています」


「魔物の増加と関係があるかは不明ですが」


「なので、一度本格的な調査を」


やっぱり僕に話をしている。


「バルキリーにお願いしたいと」


(バルキリーはこっちじゃないんだよなぁ)


「ギルドマスター直々の依頼です」


(だから、、)


横で猫型の獣人があくびをする。


「タイチならどうするにゃ?」


「え?あ、でも、弱い人が、その、危ない目に遭うのなら」


「それを守るのは、強い人たちの役目かと、」


犬型の女の獣人がニヤリと笑いながら、肩を回す。


「オレたちは強い人たちだから仕方ねーな」


猫型の獣人は

「めんどくさいにゃ」


(あなた、リーダーなんですよね)


――


今回も何も持たされず森へ向かう


その道中で会話が始まる。


「そう言えば皆さんの事はなんて呼べばいいですか?」


「ウチにも一応名前があるけどにゃ、適当でいいにゃ」


「適当って、、」


「適当にゃ」


「猫さん」


「ウチは猫じゃ無いにゃ、虎にゃ」


(え、でも虎さんだとしっくり来ない)


「でも、猫さんの方が可愛いじゃないですか」


「可愛いだなんて、照れるにゃ」


「特別に、タイチだけ猫ちゃん呼びを許すにゃ」


するとメンバーが口々に、


「猫ちゃん」

「猫ちゃん」

「猫にゃん」


「にゃー、タイチだけにゃ!」


犬型の女の獣人が口を挟む。


「こいつなんかロリ猫って呼んどきゃいいんだよ」


(さすがに、それは、、)


「じゃ猫さんで」


そして剣士の呼び名に話題が移る。


「犬――」


食い気味に、


「ああん?」


と睨む。


(そうだった狼だったんだ)


「け、剣士さんで」


「わかってるじゃねーか」


他のメンバーも

名前を教えてくれないので、

種族、職業呼びになった。


エルフだけ


「エルフちゃんと呼べ!」


と、頑なに主張してたが、

こっちが呼びにくいので、

一律“さん付け”で呼ぶことにした。


「でも名前くらい教えてくれても、、」


猫型の獣人――ロリ猫が言う。


「女には一つや二つ秘密があるにゃ」


(そうなのか)



「あれ?でも、」


「昨日のケセモッサってのは名前じゃないんですか?」


「あれはウチらの始祖の名前にゃ」


犬型の女の獣人――剣士が言う。


「まあ、オレたちは名前が特殊でな」


そんなやりとりをしながら、

一行は森の中を進む。


「増加って、どれくらいなんですか?」


タイチが聞く。


「さあな」


剣士が答える。


「増えてるっちゃ増えてるにゃ」


ロリ猫が適当に言う。


――


ガサガサ、と音がした。


「……」


剣士の動きが止まる。


影が走る。


一匹。


もう一匹。


「……多いな」


現れたのは、狼の群れだった。


剣士が舌打ちする。


「ちっ、魔物化してやがる」


「あれって同じ種族じゃないんですか」


「……あいつらは別モノだ」


「…まぁ、同じ種族でも敵対するなら斬るがな」


(…斬るんだ)


視界の端から端まで光る目に、


囲まれている。


「多すぎるにゃ?」


ロリ猫が首を傾げる。


「確かに、数が半端ねぇ」


剣士が低く言う。


「私を食べても美味しく無いですよぅ……」


聖女が顔をしかめる。


――


そして。


静かになる。


地面には、


狼の死骸が転がっていた。


「……」


「それほどでも無かったな」


剣士が言う。


「指示通りにゃ」


エルフが周囲を見回す。


「……少し、奥を見てくる」


そう言って、一人森の中へと消えた。


魔法使いはせっせと狼を収納していた。


――


しばらくしてエルフが戻ってくると


「とりあえず、戻るにゃ」


ロリ猫が言う。


帰り道、


タイチは振り返る。


森はいつもの静けさに戻っていた。

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