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3-7 自己紹介と、居心地の良さと


宿の酒場。


クエスト達成後、


そのまま飲みに連れてこられた。


特に確認もなく、

断る隙もなく、


当たり前のように席に着かされた。


(……ここに居ていいんだろうか)


場違い感しかない。


そう考えていると、


猫型の獣人が酒の入ったコップを手に、音頭を取る


「えー、ゴブリンの、討伐の、」


「これも、その、にゃんと言うか、みんなが、」


「うまい具合に、うまいことやって、」


と、しどろもどろになっていると


犬型の女の獣人が


「カンパーイ!」


「「「カンパーイ!!」」」


「にゃ!?」


(え!?)


コップ同士がぶつかる音が、あちこちで重なる。


一拍遅れて、コップを持ち上げる。


周りはもう飲み始めている。


タイミングの遅れた猫型の獣人と、

二人だけでコップを合わせる。


異世界に来て初めてのパーティー参加。

討伐成功の打ち上げだ。


気恥ずかしくもあるが、ワクワクするのもある。


この宿の定番料理になった、

焼きヘンネのマヨソース掛けをつまみながら、

時間が過ぎていく。


宴も中盤に差し掛かり、

全体的に少しテンションが高い。


猫型の獣人が立ち上がり


「えー、この度、わがキューティーバルキリーに新たな仲間が加わるにゃ!」


(…?)


「キュー…ティー…?」


思わず復唱してしまう。


猫型の獣人はいぶかしげにこっちを見て


「なんにゃその顔は」


犬型の女の獣人は


「文句あんのか?」


魔法使いは


「もしや、、」


と言葉を濁す。


聖女は何も言わずニコニコしているが

じわっと光が漏れてるような気がする


エルフは


「一部の不届な輩の呼び名を信じているんじゃあるまいな」


とはっきり言う


「ち、違います、そんなつもりは、」


見透かされたようで、慌てて否定する。


「それとも、」


「ウチらがちっともキューティーじゃないと?」


返答に困っていると、


ワーウルフが口を開いた。


「まぁ、しゃーねえかぁ。

 オレはキュートと言うよりは、美人さんのジャンルだからなー」


エルフが言う。


「うむ、ワシもすこーしお姉さんだから、

 少年からしたらそう思うのも仕方が無いというもの」


と好きな事を言う。


(ポジティブだなぁ…)


そして、バルキリーのメンバー紹介が始まった。


「まずはウチ! 偉大なるケセモッサの血を引く、ワータイガー!

ケセモッサ十大氏族の第一位! 戦闘時は後衛でみんなを指示するリーダー役にゃ!」


(虎だったんだ…)


「続いてワーウルフ! ケセモッサ十大氏族第二位!」


「ワーウルフだ。戦闘時の先駆けはオレに任せておけ」


(こっちは狼だった…)


そう言って、静かに腕を組む。


続いて、猫の獣人がシスターの服の女を指す。


「ワー聖女!」


言われた聖女は、両手を胸の前で、猫みたいにくいっと曲げる。


「ワー聖女ですぅ。にゃんにゃん」


「聖女は主に聖魔法での回復と、

 全てを無に帰す浄化魔法が得意にゃ。」


(あれ、浄化魔法なのか、、)


「そして、」


「ワー魔法使い!」


魔法使いは頭の上で両人差し指を立て、

猫耳のジェスチャーをしている。


「ワー魔法使いだ……にゃん。」


「魔法使いは主に後方支援での攻撃魔法、

特に爆発系の魔法が得意だにゃ……最後は」


「ワーエルフ!」


そう言うや否や、


すっと立ち上がり、


(?)


ファイティングポーズをとり、


(??)


華麗なフットワークを見せ、


(???)


再び座る。


(?????)


「エルフは長生きの経験と知識でみんなを助けてくれるにゃ。そして、」


「新メンバー! とりあえずお試しの荷物持ち、、」


「えっと、、」


聖女が耳打ちする。


「……タイチさんです」


「……タイチにゃ!!」


と言いながら、タイチを指差す。


指を差され、あわてて立ち上がる。


「あ、えっと、タイチです。永世薬草採り名人です、このたびは…」


すると、


「違うにゃ」


「え?」


「間違ってるにゃ」


「え?」


「そこはワータイチと答えるのが正解にゃ」


「え」


(違うとか正解とか言われても…)


「タイチ、飲みが足りないんじゃないのか?」


犬型の女の獣人がタイチに絡む


「あ、はい…」


と言っても、開始からずっと

果実水しか飲んでないが。


「ってか、エルフさんて、」


「と言うか、みんな氏族ってやつなの?」


エルフは酒を一口すすり、


「そんなわけなかろう」


魔法使いはツマミを食べている。

聖女はまだにゃんにゃんとやっていた。


「って言うかタイチの永世薬草採り名人ってなんなんだよ」


「なんかギルドでそう言われました」


「そんな二つ名、初めて聞いたぞ」


「なんか、称号らしいです」


「え、称号なの?」


「なんか、歴代最速記録とかで」


「お前、なんかすげぇな…」


そして宴は続く。


距離感は近いのに、踏み込みすぎることはしない。


それが不思議と居心地が良かった。

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