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3-3 打ち上げと、観察


ギルドの一室。


ギルドマスターが口を開いた。


「バルキリーに、預けたい新人がいる」


犬型の女の獣人が腕を組む。


「メンバーの補充?しかも新人だと?」


猫型の獣人が即答する。


「いらないにゃ」


犬型の女の獣人が言う。


「戦力にならねぇだろ」


「にゃ」


受付嬢が淡々と補足する。


「新人ですが、成果は上げています」

「戦力としてではなく、荷物持ちとしてですが」


猫型の獣人が言う。


「余計いらないにゃ」


犬型の女の獣人が言う。


「今日は打ち上げなんだし、めんどくさい話は後にしようぜ」


「にゃ」


受付嬢は呆れる。


「もう」


話は流れる。


――


そして夜。


いつもより騒がしいギルドの一階。


オーク討伐成功の宴会。


酒の匂い。

焼けた肉の匂い。

笑い声。


長机の上に、

料理が並べられている。


一際目を引くのが


白いソースの付いた焼きヘンネ


一人の冒険者が手に取る。


「なんだこれ、すごく美味いぞ」


それにつられて、獣人の二人も手を伸ばす。


「白いのが付いてるにゃ」


「こんなの見たことねーな」


「これはマヨソースにゃ!」


「すげぇ美味い!」


その言葉を皮切りに


我も我もと焼きヘンネに群がる冒険者たち


その様子を見ている少年が一人。


タイチだ。


(あれマヨソースって言うんだ、名前も似てるんだな…)


料理の皿を運び、

皿を置き、

空いた皿を下げる。


タイチに気づいた受付嬢が歩み寄る。


「タイチさん。何をやってるんですか!」


「え?来てくださいって言ってたので来ましたけど」


「そうじゃなくってなんでお皿運んでるんですか!?」


「あ、僕、今宿屋の手伝いもやってるんで」


驚く受付嬢を横目に、

皿を運びながら奥に入って行った。


「そういう意味じゃなかったんですけど…」


苦笑いで受付嬢は、そのまま向きを変える。


そして、バルキリーの姿を見つけると、

真面目な顔になり、言った。


「――あの子なんですが」


視線が動く。


犬型の女の獣人の目が細くなる。


「あー」


「森の」


森での記憶が重なる。


猫型の獣人も視線を向ける。


「にゃ」


ギルドの中を右に左に動き回るタイチを観察する。


「…」


「普通だ」


そして、軽く笑う。


――


「バルキリーのお姉様たちホントかっこいいわぁ」


料理を運びながら娘がタイチに話しかける。


「よそ見したら危ないよ」


と、たしなめたその時、


酒に酔った冒険者が急に立ち上がり、

娘の手に当たる。


「!」


一瞬。


タイチが反応する。


しかし、間に合わず皿はガシャンと音を立てて落ちた。


「……」


「……」


タイチを観察していた二人の視線が止まる。


犬型の女の獣人が言う。


「見たか?」


猫型の獣人が答える。


「見たにゃ」


「見えてたな?」


「見えてたにゃ」


「ただ遅い」


「体がついてきてないにゃ」


「面白い」


「面白そうにゃ」


エルフがポツリと言った。


「しかしなんであいつは皿を運んでるんだ?」


――


宴会も終わり、再びギルドの二階


ギルドマスターが言う。


「見てどうだった?」


犬型の女の獣人が答える。


「面白いとは思ったが」


猫型の獣人が続ける。


「うちに入れるほどではないにゃ」


犬型の女の獣人が尋ねる。


「クエストの達成状況は」


受付嬢が補足する。


「薬草採取のみですね」


猫型の獣人があっけらかんと言う。


「一番下のお仕事にゃ」


犬型の女の獣人が得意げに言う。


「そんなのオレにもできる」


受付嬢が続ける。


「ほぼ半日で終わらせてます」


猫型の獣人が言う。


「それもまぁ出来ないことはないかにゃ」


受付嬢が続ける。


「しかもすべて高品質です」


犬型の女の獣人が言う。


「ま、まあ、出来るんじゃないか」


受付嬢が続ける。


「入ってまだ一ヶ月足らずです」


猫型の獣人が言う。


「う、運がいいだけにゃ」


そこにギルドマスターが口を挟む。


「そして剣姫が気にしている」


「「剣姫が!!?」」


――


猫型の獣人が言う。


「ひとまずお試しで入れてもいいかにゃ」


魔法使いの少女が、


「よく分かんないけど、

 あんたらが良いって言うならそれでいいんじゃないか」


残りもののヘンネの串を頬張りながら言った。

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