2-11 地図と、向きと
「ーーーーーーーー!!」
変な鳥の声で目が覚めた。
(……朝か)
昨日は、もう一度お礼を言おうと思って、
そのまま一階で待っていたが、
結局バルキリーは戻ってこなかった。
(今日も会えるかな)
身支度を整えて、宿を出る。
ギルドにはバルキリーの姿は無かった。
受付嬢がいつもより少しだけ硬い表情でこちらを見ている。
「タイチさん」
「はい」
「聞きたい事があります」
(……?)
「なんでしょう?」
「安全でない場所に居たと聞きました」
(……?)
「いえ、僕は安全な場所にいましたが…」
受付嬢は視線を外さない。
「ですが、オークの現場に居合わせたのはあなたですよね」
(それは…僕だな…)
「僕です」
「……どちらなんですか」
「僕ですけど、安全な場所にいました」
「説明してもらえますか」
「貰った地図の丸印にしか行ってないので」
「それは本当の話ですか?」
「本当です」
受付嬢はしばし考えてから
「そうなると地図の安全区域の見直しが必要になるかもしれません」
「見直しですか」
「今回タイチさんが危険な目にあった場所はもう安全区域とは呼べません」
(なるほど、そう言うことか)
「タイチさんだけでなく他の方にも危険が及ぶ可能性もあります」
(確かに、子供たちや老人も危険な目に遭う可能性があるのか)
「わかりました」
そう言って、懐から地図を取り出す。
そのまま、地図を突き出す。
受付嬢は席から立ち、メガネを外し、地図に顔を近づける。
「どこですか?」
丸のついている一ヶ所を指で示す。
「ここです」
受付嬢が、地図を見る。
タイチの指差す場所を見る。
受付嬢が、地図を見る。
そのまま、しばらく沈黙。
「……」
受付嬢が、ゆっくり顔をこちらに向ける。
「タイチさん」
「はい」
「それ……」
一拍。
「地図が逆さまです」
「…」
「え?」




