2-9 勇気と、覚悟と
出せる限りの声を出しきった。
オークは確実にこちらに狙いを定めた。
武器を振り上げ、距離を詰めてくる。
もうダメかと思った。
その時。
「でかした!」
何かが視界を横切った。
次の瞬間、目の前のオークが二つに分断される。
(……え?)
犬のような耳と尻尾を持つ剣士が、すでに次のオークへと地面を蹴って駆けていた。
一閃。
オークの身体が、音もなく断たれる。
「ようやく吹き飛ばせる」
短い詠唱。
次の瞬間、オークの身体が弾けるように吹き飛んだ。
「ナイスアシストだったぞ!小僧!」
耳の尖った弓を持つエルフ。
その身体から滲み出る黒い何かに触れたオークが、
そのまま崩れ落ちる。
「やーんダメですぅ」
後ろでは胸の大きなシスターにオークが掴み掛かる。
「悪い子はお仕置きですよぅ」
するとオークを光が包み、
オークは灰と化す。
木の上から声が飛ぶ。
「やっと見つけたにゃ!」
「そうにゃ!指示通りにゃ!」
猫のような耳と尻尾の猫少女が指示を出していた。
あれよあれよという間に、オークが積み上がっていく。
(なんだかオークが可哀想に見えてきた)
殲滅されたオークの亡骸の山を前に、
「ありがとうございます!助かりまし…」
礼を言い切る前に
「まだにゃ!」
木の上から声が飛ぶ。
視界の端で、一匹のオークが逃げ出そうとしていた。
逃げ出したオークにナイフを、
投げる!
が、ナイフはあさっての方向に飛んでいった。
その瞬間、
逃げ場を塞ぐように、剣士が割り込む。
一刀。
そのまま、とどめを刺した。
猫の少女が木から降りてくる。
的外れな場所に刺さったナイフを拾いながら、
「予定通りだにゃ」
(…ホントに予定通り?)




