2-8 採取と、遭遇
いつもの採取場所。
一人で薬草採取をしていた。
気づけばこの辺りはあらかた採り尽くしていた。
採取場所を変え、普段より奥へ進む。
薬草を探しては、摘み取り、奥に進んでいく。
森の空気は変わらず静かで、
今日は特に、鳥のさえずりさえも少なく感じた。
――その時だった。
木々の間、少し離れた場所に、
大きな影が動いた。
(……?)
視線を向ける。
大きく膨らんだ筋肉質の身体。
毛皮のような体毛。
手には丸太の棍棒のようなもの。
そして猪のような牙を持つ頭が付いていた。
明らかに人ではないそのいでたち。
(……オーク?)
初めて見るそれは、
話に聞いていたものよりもずっと現実的で、
そして、
圧倒的に「危険」だった。
足が、身体が、震える。
逃げる、という考えが浮かばない。
ただ、
見ていることしかできなかった。
オークは、こちらに気付く様子もなく、
そのまま、横を通り過ぎていく。
獣の臭いが、鼻をかすめる。
その後ろにも、同じ影がいくつも続いていた。
(……え?)
そのまま、
視線を追う。
その先は――
子供たちと、老人たちの居る、森の入り口の方向だ。
(……まずい)
理解が、遅れてやってくる。
けれど、
身体はまだすくんでいる。
どうする。
どうする。
どうする。
考えている時間は、もう無かった。
――
大きく息を吸いこむ。
喉が、震える。
それでも、
声を出すしかなかった。
「――――!!」
森に響く、大きな声。
オークの動きが、止まる。
ゆっくりと、
こちらを向いた。
(……来る)
勝てる見込みなんて、ない。
それでも、
他に方法は、思いつかなかった。




