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11-5 獣人のポテンシャルと、小石の実践


「でも、やり方は分かってもそんな上手くいくもんにゃ?」


「んー、」


「まずは転ばすのを簡単にやってみるぞ」


「ワシが足を出すからロリ猫はわざと引っかかって転んでくれんか?」


「分かったにゃ」


 足を出す。


 転ぶ。


「この状況を掴みかかられるタイミングで作り出すんじゃな」


「じゃあ今度はまっすぐワシに向かって来て掴みに来てくれんか?」


 ロリ猫は両手を前に出し小走りでエルフに向かう。


(ゾンビみたい)


 両手がエルフに触るか触らないかのところでエルフはぴょんと横に飛び退き、片足を出す。


「にゃ」


 その足に躓き、ロリ猫は飛び込み前まわりで着地する。


「それじゃ次は手を使わずに投げる実演じゃな」


「ワシを馬跳びしてくれるか?」


「簡単にゃ」


 エルフが膝に手を置き、腰をかがめた姿勢を取る。


「行くにゃ」


 たたっと走り、エルフを馬跳びする。


 着地と同時に手を水平に広げてポーズを取る。


「こんなもんにゃ」


 ドヤ顔をする。


「もう一度やってくれるか?」


「任せるにゃ」


 また腰をかがめたエルフに走っていく。


 エルフの背中に手をついた瞬間、


 エルフがぐっと曲げていた膝を伸ばす。


「にゃにゃにゃ」


 さっきの馬跳びとは比較にならないくらい高く飛ばされる。


 ロリ猫は宙でくるりと回転して、着地する。


「焦ったにゃ」


「こやつは反射神経が良いからちゃんと着地したが」


「普通のやつなら、そのまま落ちとるのう」


「相手の力を利用して投げ飛ばすからくりはこんな感じじゃ」


「これは今お互いに分かっている状態でやったんじゃが」


「ワシが打ち合わせとは違うことをしたことによって」


「こやつは自分の予想以上に飛ばされたじゃろ」


「こう言う事なんじゃが……」


「なるほどにゃ、」


「うーん」


 護身術の先生が唸る。


「なるほど、そう言う事なんだ……」


 タイチが呟く。


「これウチにも出来るにゃ」


 そう言ってロリ猫は、


 くじの時に抱きかかえてくれた獣人に、


「ウチに掴みかかってくれにゃ」


「流石におチビには投げられねーよ」


「いいからやってみるにゃ」


「いくぞ」


 獣人が走り出す。


 ロリ猫は一歩踏み出して屈む。


「わ!」


 獣人はいきなり近づかれた足元のロリ猫につんのめり前回りしながら転がる。


「惜しかったにゃ」


「もう一回やるにゃ」


「もう屈まれるって分かってんだからそうは行かねーよ」


 ロリ猫の踏み込みを警戒しつつ突っ込んでくるが、


 さっきよりも速く踏み込み、屈み、体を起こす。


「うわわわ」


 獣人の体が宙を舞う。


 空中でくるりと体勢を立て直し着地する。


「いやー、びっくりしたな」


(てか、なんですぐに出来るんだ……)


 すると道場生の獣人たちが次々と手を挙げる。


「次俺やりたい」


「来るにゃ」


 ぽーん


 くるり


 すたっ


「すげえすげえ」


「次俺!」


「来るにゃ」


 ぽーん


 くるり


 すたっ


「うひょー飛ばされた飛ばされた」


(ってか獣人の身体能力ってすごいな)


「じゃ次、オレな」


 剣士が手を挙げ、ロリ猫の返事も待たず走っていく。


「にゃ?!」


 ぽーん


「まじか!」


 飛ばされていく途中で体を捻り、


 ロリ猫の体を掴む。


「にゃにゃ」


 そして、代わりにロリ猫の体を宙に飛ばす。


「にゃーーーー!!!!」


 飛んでいくロリ猫。


 試合場の端っこに着地して、


「ひどいにゃ!!」


 腕を組み、ぷんすか怒る。


(それでもちゃんと着地するんだ)


「ダメだなオレは、つい掴んじまう」


 ニヤニヤしながら言う。


(なんて大人気おとなげないんだろう)


 すると、見ていた騎士団の一人が手を挙げる。


「俺、タイチ先生とやりたいんだけど」


「いいにゃ」


「え?」


「タイチ、ホンモノを見せてやりにゃさい」


(なんで、そっちが決めるんだ……)


 そして、タイチと騎士団の一人が向かい合う。


「よろしくお願いします」


「始め!」


 お互い全く動かない。


「へへっ、こっちが動かなきゃさすがに先生も投げれないだろ」


(確かに!頭いいなこの人)


 そうして動かないまま、時間が流れる。


(かと言って、このままずっとこうしてる訳にも……)


 ふと、エルフの解説を思い出す。


(小石…)


 先に動いたのはタイチ、


 正面から突っ込み、


 後ろにさがろうとする相手のかかと側に足を差しいれる。


(小石…)


 バランスを崩して後ろに上体が倒れる。


 そこにさらに回り込み、相手の上体の方向を変える。


(小石…)


 そして、そのまま相手の身体の下に潜り込み相手を浮かせる。


「えええ」


 ぽーんと相手を投げ飛ばす。


 投げられた相手はそのまま背中から着地してごろごろと転がる。


「勝負あり、口上を」


「動かないのは頭がいいと思いました」


 剣士を見ると、


 少し苦い顔をしていた。


 ちょっと違ったらしい。


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