10-11 エルフの占いと、絵札のご利益
王都に向かって馬車は進む。
体を動かしたせいか気持ちもなんかスッキリした。
あながち体育会系の考えも悪くないなと考えていると、
馬車は一つの集落を通る。
「ここが今日の宿泊地にゃ?」
ロリ猫が身を乗り出して御者に尋ねる
「いえ、ここは通過の予定です」
通過しようとするところに、
女が駆け寄ってくる。
「旅の冒険者さま、どうかお力をお貸しください」
「子供たち三人が早朝から山に薬草採取に入ったまま戻ってきていないのです」
「今から王都のギルドか東の街のギルドに行くには時間がかかりすぎます」
すると、同伴していたギルド職員がすぐに降りて、
女から詳しく話を聞く。
そして振り向いて言う。
「緊急時として私の権限で依頼を受理することは出来ますが、」
剣士はタイチを見る。
「タイチどうする?」
「そんなの、権限とか受理とか関係ないでしょ?」
「じゃあタイチがそう言うなら受けるか」
「そんなこと言って僕に聞かなくも受ける気だったでしょ」
「さあな」
「とりあえず、ロストの時は早く動かないとなんでしょ?」
「そうだ、よく覚えてたな、しかも対象は子供、」
「大人より体力がない」
馬車は山へと進路を変える。
「ギルドが無いのにどうやって薬草採取とか受けるんですか?」
職員が答える。
「こう言った場所は一日に何回か色々な商人が来ます」
「その商人に預けるのですよ」
「商人は輸送の手間賃を差し引いた分で買い取りするんです」
「素材の採取などのクエストは、よほどレアな素材でない限りは、」
「冒険者ランクに影響しないので、」
「こう言った集落での子供たちのお小遣い稼ぎになっているんですよ」
馬車は山道へ入っていく。
「暗くなってきたな、早く見つけないと危険だ」
「こんな時ってどうやって探すんですか、また匂いを辿るんですか?」
「さすがにある程度絞っておかないと無理だ」
「まあそれはエルフさま次第だな」
「え、もしかして探索魔法とか」
「バカ言うな、こんなデカい山で探索魔法なんか使えるか、」
「…まあ出来んことは無いが、反応が多すぎて逆に無理じゃ」
「じゃあ、どうするんです?」
「占いじゃ」
「え、そんなので探せるんですか」
「占いと言っても精霊の力を借りて行うから」
「かなりの精度で探し物は見つかる」
そうして何か魔法陣みたいな布を広げる。
「この地に住まう精霊たちの力を借りたい」
そう言って何かムニャムニャ唱える。
すると、布から魔法陣の図形だけが宙に浮かぶ。
そして魔法陣の一角が点滅する。
「あっちじゃ」
馬車がその方向に頭を向けると、
点滅してる一角と進行方向がリンクする。
(なんかナビの矢じるしみたい)
点滅してる一角の方向にに進んでいくと、
馬車が通れないほど狭い道になった。
「これ以上は無理ですぜ」
「分かった」
「ここからは徒歩で行くぞ」
「聖女は俺が抱えていくが、タイチはどうする?」
「僕は自分の足で行きます」
「娘はどうする?」
「あたしも頑張ってついていく」
「わかった逸れるなよ」
エルフの先導で小走りで林を進む。
剣士が周りを見回し、
すんすんと鼻を鳴らす。
「まずいな、ゴブリンの匂いがするな」
聖女を抱えたまま、剣を抜く。
「一応、準備しとけよ」
エルフは魔法陣を展開しながら黒い何かを。
聖女は手に光を宿す。
魔法使いは杖に魔力を込める。
しばらく進んだところで、
ゴブリンの群れに出くわした。
一つの大きな木を取り囲むように集まっている。
木の上の方には子供が見える。
「居たぞ」
「作戦はこうだ、」
「俺がまず突っ込むからロリ猫は木の上の子供を保護してくれ」
「任せるにゃ」
「あとは」
「適当に暴れとけ」
剣士が聖女を下ろして突っ込んでいく。
魔法使いが外周に爆発を起こす。
爆発から逃げようとこちらに向かうゴブリンを、
エルフ、聖女が確実に処理する。
後方のタイチと娘のところに、
ロリ猫が子供を一人連れてくる。
「頼むにゃ」
娘とタイチに預けてまたゴブリンの頭越しに木の上に走っていく。
そうして二人目、三人目と連れてくる。
「これで全部にゃ」
「もう大丈夫だからね」
娘は自分たちの周りを光のベールで覆う。
「わあすごい光ってる」
「ダメだよ触っちゃ」
「どうして」
「触ると少し嫌な気持ちになるからね」
説明しているところで、子供が叫ぶ。
「あ、ゴブリン!」
ゴブリンが光に触れる。
バチッと音がしてゴブリンが弾かれる。
そして少し嫌そうな顔をする。
(これ、出る時もバチッとするんだよな)
出るのを躊躇っていると、
「後は任せとけ!」
剣士が突っ込んできて、あっという間に蹴散らす。
子供たちが助け出されたことが分かると、
そこからは、バルキリーの独壇場。
方々で魔法使いの爆発が起き、
エルフは黒いやつでバタバタとゴブリンを倒し、
聖女は光を纏いながら練り歩き、次々とゴブリンを灰にしていく。
(ああ、ゴブリンが不憫でならない)
そうして、子供の救出は無事完了し、集落に戻る。
母親が子供たちを抱きしめ、再会を喜ぶ。
すると、子供たちがこっちを見ながら言う。
「あれ、もしかしてお兄ちゃん」
「タイチ名人じゃない?」
「さっきは暗くてよくわからなかったけど」
「何言ってんだいこの子は、こんなとこにいるわけないじゃないか」
「いや、あの、、」
するとロリ猫が割って入る。
「子供たち!よくぞ気づいたにゃ!」
「ウチがリーダーを務めるバルキリーのタイチにゃ」
「やっぱり!」
「リーダーのウチの指示で――」
「僕、ゴブリンに囲まれた時、ずっと助かるように絵札にお願いしてたんだ!」
「いや、ウチがリーダーで――」
タイチの絵札を取り出す。
「やっぱり絵札が僕たちを守ってくれた!」
「なんにゃなんにゃタイチばっかり!」
ロリ猫がすねる。
その様子にタイチが子供たちに、
「ほら、猫のお姉ちゃんにもちゃんとお礼を言おうね」
「猫のお姉ちゃんありがとう」
「木の上から助けてくれた時すごかったね」
「とってもかっこよかった!」
「にゃは、それほどでもあるにゃ」
(チョロ猫……)
「にゃ、何か失礼な気配を感じたにゃ」
ロリ猫は辺りを見回す。
(なんで、こう言う事だけ察しがいいんだろうか)




