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10-9 羽ペンと、運命と


 商人宅、


 部屋でしばらくくつろいだ後、そろそろ寝ることに。


 ベッドは三つ、


「さあ、決めるにゃ」


 ロリ猫の声を皮切りに一斉にベッドに向かう。


 やれ、誰とは嫌だの、こっちがいいだとか、


 そっちに行けだの、狭いだの、


 わちゃわちゃやっている。


(いつもの事だけど、毎回やるのか)


 一向に決まらない様子を見て、


「くじで決めたらいいじゃないですか、恨みっこなしで」


 そう提案すると、みんなが手を止め注目する。


「魔法使いさん、紙とペンある?」


「……あるぞ」


 紙とペンを出してもらう。


 渡されたのはゴワゴワの紙に羽ペンとインク瓶。


「え!?」


「これどうやって使うんですか」


「「「「「え!?」」」」」


 エルフが羽ペンを手に取り、インク瓶に先を入れる。


「こうじゃ」


 スラスラと書いてみせる。


(すごい)


 教えてもらいながら、使う。


 繊維質がペン先に引っかかる。


 ちょっと使うだけですぐにインクが途切れ、


 頻繁につけないと書けない。


 そしてインクを付ける時に瓶を倒しそうになり、変な汗が出る。


(無理)


 みんなに背を向け、


 アイテムボックスのボールペンをこっそり出して書く。


 そして、出来上がったのは、


 七本の線を書いただけのもの。


「これはどうやるんにゃ?」


 ロリ猫は興味津々に見つめる。


「これはこっちにみんなの名前を書いてもらって」


「こっちに当たりとか書いてやるくじ引きなんですけど」


「今回は順番決めなので、番号がいいですね」


「これはただ数字を書けばいいんじゃな?」


 エルフにくじの下側に番号を振ってもらう。


「そしたら今度はこっちにみんなの名前を書きます」


 くじの上側を指差す。


 すると、ウチが先にゃ、我が先だ、と誰が一番に書くか揉めだす。


「あーもう、くじなんだから書く順番で揉めないで」


「ウチは一の上がいいにゃ」


 数字の一の書かれたところの線を指差す。


「これ、別にそこになるとは限りませんよ?」


「いいにゃ」


 もう一度確認する。


「ここを選んでもここになるとは限りませんよ?」


「いいにゃ」


 そして各々の名前を書き終える。


「出来たぞ?これでどうするんじゃ?」


「じゃあ番号のとこを折り曲げて見えないようにします」


 番号のところだけを折り曲げると、


「見えなくしてもウチは覚えてるにゃ、ここが一にゃ」


 と折り曲げたところを指差す。


「ふっふっふ、甘いな猫さん、これから――」


「みんなで線を引きます!」


「「「「「???」」」」」


「こうやって横線を引いていきまーす」


 横線を引いていく。


「みんなも好きなところに横線を引いてくださーい」


 みんなも代わる代わる、線を引く。


 あらかた、線を引き終わったところで、


「それではあみだくじをしたいと思いまーす」


「まずは猫さん」


 紙に書かれた一番左を指でなぞっていく。


「ジャンジャカジャカジャカ」

「ジャンジャカジャカジャカ」

「ジャンジャカジャカジャカジャーン」


 自然と鼻歌が出る。


 指でなぞって行き横線で隣の線へ移る。


「にゃ、そっちに行ったにゃ」


「……線で……道が分岐」


 また横線にぶつかり戻ってくる。


「戻ってきたにゃ」


「へえ、おもしれえな」


 また線にぶつかり隣へ、またぶつかりその隣へ、


「あ、どこ行くにゃ」


「あっちに行っちゃいましたねぇ」


 そして、辿り着いた先は、


「七番ね!」


 娘が読み上げる。


「な、な、な、なんでにゃー!」


「これがあみだくじです」


「どんどんあっちに行ってしまったにゃ」


「面白いでしょ?」


 すると、


「これは本当によく出来ておるな」


「予め、当たりの位置がわかっておる」


「横線を足すことによって変わる」


「そして、全部別の場所に振り分けられる」


「さらに、線を増やせば結果が変わる」


 エルフが唸ったまま、くじを見つめる。


「じゃあ、次いきまーす!次は?」


「えっと、魔法使いね」


 娘に名前を呼び上げてもらう。


「じゃあ、魔法使いさんいきまーす」


 紙に書かれた一番左を指でなぞっていく。


「ジャンジャカジャカジャカ」

「ジャンジャカジャカジャカ」

「ジャンジャカジャカジャカジャーン」


「と言うかさっきからなんなんじゃその歌は」


「え、なんかこういう時に勝手に出るんですよね」


「何の歌なんじゃ?」


(なんだろ、曲名?え?)


 一か八かで答える。


「確か、運命って曲だったと……」


「ほう、運命とな、このくじにぴったりの曲じゃな」


 そうして、次々とくじの結果が出て、


 一番を引いたのは、


 タイチだった。


「さあ、一番を引いたタイチ、選ぶにゃ」


 ソファーに向かう。


「なんでにゃ!」


「ソファーの方が気が楽なんですよ」


 毛布を手に取り、ソファーに行く。


 ソファーに横になるタイチを見ながら、


「さっきの事まだ怒ってるにゃ?」


 ロリ猫はちらりと、剣士の方を見る。


 剣士は気まずそうに頭を掻いた。


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