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10-6 いつも通りの結果と、担当冒険者のこと


 ――


 ギルドに戻り、薬草の納品手続きをしていると、バルキリーの担当職員に声をかけられた。


「そろそろ一度王都に戻っていただかないと、いろいろと問題が…」


「何かあるんですか?」


「バルキリーと入れ替わりで向こうへ行った冒険者がこちらに帰ってこれずなので」


 各地で起こる異変を重くみたギルドは、


 担当の冒険者を選定し、各地域に常駐させている。


 王都の担当のバルキリーが興行で東の街に来ている間、こちらの担当冒険者が王都に行っているらしい。


「わかりました、伝えておきますね」


「お願いします」


 宿に戻り、その旨を伝えると、


「ずっとここでいいにゃ」


 二階の広間の机に突っ伏しながら、だらしない体勢のままロリ猫が言う。


「この地域担当と変われねーかな」


 剣士はソファーにふんぞり返った、だらしない体勢のまま言う。


「元々……ここの担当だったのに……」


 ウサちゃんを抱きながら、ソファーの肘掛けにもたれかかる魔法使いも言う。


「そうですねぇ、この地域の担当でしたねぇ」


 聖女は背筋はピシッとはしていたが、寝巻きがとにかくだらしなかった。


「なんで変わったんにゃ」


「めんどくさいにゃ」


 だらしない体勢を正すことなく、ダラダラと文句を言う。


「ワシらが王都に行ったから変わったんじゃろ」


 そしてロリ猫をチラっと見て、


「誰かさんが預かり物を返してなかったからのう」


 その一言にロリ猫は背筋を伸ばし、目を背ける。


「何にせよ、一度王都に戻らんことには変更も出来んじゃろ」


「しゃーねえな、王都に戻るか」


 剣士は大きく伸びをしながら、娘の方を向いて、


「お前はどうする?」


 娘は机に片肘をつきながら、


「どっちみち学校にも顔を出さなきゃだし」


「一緒に行く……」


「そうか、じゃあ明日の朝、ここを発つぞ」


(また、朝の約束にする……)


 ――


「ーーーーーーーー!!」


 変な鳥の鳴き声で起きる。


 二階の広間に顔を出してみる。


 (ほらね、誰も起きてない)


 ギルドに行き、薬草採取の依頼を受けようとすると、


「え!今日出発じゃありませんでした?」


 受付嬢が日付けを確認する。


「まだみんな起きてないので、ちゃちゃっと採ってきます」


 森の入り口で、老人と子どもたちに、


「またちょっと王都に行ってきます」


 と王都行きを告げる。


「お兄ちゃんがんばってねー」


「お兄ちゃんが居ない間も頑張ってるから!」


「儂らはいつでも待っとるからなー」


「名人の帰る場所はここじゃからな!」


 そう言われて、少し胸が熱くなった。


 そして、宣言通りちゃちゃっと採取して戻る。


 ――


 宿に戻ると、目が開き切っていない娘がいた。


「……誰も居ないけど置いてかれちゃった?」


 と夢うつつに話す。


 するとエルフの部屋の扉が開く。


「……すまん寝坊した」


 そして、寝巻きのままの聖女と魔法使いが出てきた。


 ロリ猫は、


「……獣人は夜型だから朝は辛いにゃ」


 と部屋から声がした。


 朝、発つぞと言っていた剣士は、


 まだイビキをかいていた。


(もう慣れた、慣れたけども……)


 ――


 結局、みんなの準備が出来たのは昼前で、


 昼に出発となった。


 道中の馬車の中で、タイチは気になっていたことを口にする。


「そういえば、いつの間にバルキリーは王都担当になったんですか?」


「元々バルキリーは東の街が拠点だったんですよね?」


「ああ、それは、あれじゃな」


 エルフが答える。


「地域担当の割り当ては、王印を返しに行った道中で決まったじゃろ?」


「確か、情報収集で、緊急で、とかでしたっけ」


「そう、それじゃ」


「それで、そのまま王都に着いたら、あの厄介な聴取やら審問やらで、」


「王都に居座ることになってしもうたから」


「多分それで、自然と王都担当という扱いになったんじゃろうな」


「じゃあ、それで東の街に代わりの担当冒険者が?」


「多分そう言うことじゃろうな」


「それが、今度はワシらがこっちに興行で来てしもうたじゃろ」


「だから、その代わりの担当が、逆に王都へ行かされておるんじゃないかのう」


「なるほど、こっちが戻らないと向こうは帰ってこれないから」


「多分、そういうことじゃと思うぞ」


「早いところ帰してやらんとのう」


(みんなバルキリーに振り回されてるなぁ)


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