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10-2 暇つぶしと、最強の最低ランクと


「ーーーーーーーー!!」


 変な鳥の鳴き声で起きる。


 薬草採取の準備をしてギルドに向かう。


 王女は昨日王都に帰還して、

 剣姫も王女の護衛で一緒に帰ってしまったので


 今日は一人で採取する。


 昼前、ギルドに戻ると、受付嬢から声をかけられた。


「施設の調査に入るので、エルフさんにも来てほしいそうです」


 宿に戻り起きてきたエルフにそう伝えると、すぐに支度を始め、ギルドへ向かっていった。


 残されたバルキリーの面々も、あてもなくギルドに行くことにする。


 当然のようにギルドから帰ってきたばかりのタイチも連れていかれる。


 ギルドに行ったからと何があるでもなく一階のロビーでたむろする。


「暇だにゃあ」


「喉が渇いたにゃあ」


 ロリ猫が書類の整理をしている受付嬢に言うと、


「ただの暇つぶしに来てる人たちに出すお茶はありません!」


 ピシャリと言う。


「何も無いなら帰ってくれませんかね」


 そんな言葉に耳も貸さず、ギルド内をウロウロするバルキリーたち。


(こんな空気の中でみんなよく平然としてられるなあ)


 そんな中、剣士がぽつりと呟く。


「……修練場、貸してくれ」


「はい」


 受付嬢に頼み、ギルドの修練場を借りることになった。


「……あと、ギルマスも貸してくれ」


「はい?」


 ――


 ギルドの裏手には大きな広場があり、


 そこが修練場として使われていた。


 修練場の端の方には弓や、投げナイフ用の的が並んでいて、攻撃魔法用の木人形も数体置いてあった。


 ロリ猫は投げナイフを、


 娘は魔法使いと聖女と魔法の練習をしにそちらに行った。


 しばらくして、


「なんだよ、俺だって暇じゃねーんだぞ?」


 文句を言いながら修練場にギルドマスターが入ってくる。


「いいからいいから、久しぶりにやろうぜ」


「ったく、相変わらず人の話を聞かんヤツだな」


 そう言いながら、木剣を選ぶ。


 剣士もギルドマスターも重量級戦士なので、

 普段使いの大剣に近い大きなものを手に取る。


 剣士とギルドマスターの手合わせが始まる。


 ギルドマスターは大きな剣をものともせず、

 ぶんぶんと振り回しながら、距離を詰める。


 剣士は攻撃と攻撃の合間を縫い、仕掛けようとするが、

 ギルドマスターが振り回す剣になかなか近づけない。


 何度か剣士が押される場面もあったが、

 そのたびにギリギリのところで巻き返す。


 お互い決定打が無いまま、剣の打ち合いが続く。


 その攻防が何度も繰り返された末、

 先にスタミナが切れたのはギルドマスターの方だった。


「参った」


 両手を上げ、荒い息のまま地面に座り込む。


「ギルマスが全盛だったら押し負けてたな」


「おっさん、どんだけバケモンなんだよ」


「……歳には勝てんな」


 ギルドマスターは苦笑いしながら、そう呟いた。


 そして、視線をタイチへ向ける。


「そういやお前、剣姫に勝ったって?」


「なんか剣姫さんは負けたって言ってますけど、」


「僕は、勝ったとは思わなかったんですよね」


「面白いことを言うな」


「どうだ、俺といっちょやらんか?」


「やめとけやめとけ」


 剣士がギルドマスターに水を差す。


「オレとの手合わせで疲れてるだろ」


「こいつとやるなら、万全の状態じゃないとしんどいぜ?」


 心配されたのが気に入らなかったのか、


「さすがに剣聖相手には無理でも、まだまだ小僧には負けんだろ」


 と強がってみせるギルドマスターに、剣士が言う。


「オレがこいつに勝つのが、ギリだったって言っても?」


「は?」


「あと、王都の騎士団全員にも勝ってるぞ」


「待て待て待て」


「なんだその話」


 ケセモッサの道場での剣士と手合わせした話、


 王城で騎士団全員を投げ飛ばした話をする。


 それを聞いたギルドマスターがタイチに尋ねる。


「おい小僧、お前本当に最低ランクの冒険者だよな?」


「そうですね、ランクが上がったとかの話は無いですね」


 そう言いながらギルドプレートを見せる。


「どうです? ランク上がってます?」


「ああ、そうかお前文字読めないんだったな」


「これが多分タイチって書いてあるんでしょ?」


 タイチと書かれていると思しき場所を指差す。


「そうだな、そこにタイチって書いてある」


「あとは、どう見ても名人の称号だけだな」


「まぁ薬草採取しかしてないですから」


「個人の履歴が薬草採取だけだとランクが上がることはまず無いからな」


「非公式の試合だと履歴にも残らない」


「パーティー所属だと個人で功績を上げないと履歴に加算されないし」


「最強の最低ランクだな」


 そう、ギルドマスターが言うと。


「おう、うちの最強のお試し荷物持ちくんだ」


 剣士が嬉しそうに言う。


「違うにゃ、最強の料理番にゃ」


(荷物持ちも料理も全然やってないのに…)


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