表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/59

1-9 森と、剣と


森。


朝の空気は少しひんやりとしていて、

木々の間を抜ける風が、静かに揺れていた。


今日も今日とて、薬草採取に精を出す。


最近は少し奥まで入るようになって、

成果も上がっている。


そう思いながら、その場所に向かっていた時だった。


規則正しい風切り音が聞こえた。


(……なんだ?)


足を止める。


木々の隙間から様子を見る。


そこにいたのは、一人の女だった。


長い髪は無造作にまとめられているが、

その佇まいにはどこか整いすぎた気配があった。


無駄のない立ち姿。

背筋は自然に伸び、

剣を振る所作には一切の乱れがない。


もうちょっと近くで見てみたいと思って、

一歩踏み出していた。


その瞬間、女の動きが止まった。


こちらを見ている。


(……見つかった)


少しだけ気まずくなって、口を開く。


「あ、すみません。

 邪魔しちゃいました。

 僕、向こう行くんで」


女は、短く答えた。


「いや」


一拍。


「……君を、待っていた」


(……は?)


意味が分からない。


その言葉の意味を考えるよりも早く――


剣が、こちらに向けられる。


振り上げられたその剣が、

目にも止まらぬ速さで――


――世界が、白黒に反転した。


(……なにこれ、スキルが勝手に?)


考えてる場合じゃない。


剣先は、もう目の前まで迫っていた。


(当たる)


(当たる当たる当たる)


身体が、動かない。


動け。


動け動け動け。


間に合わない。


(やば――)


その時。


『え?』


どこからか、声が聞こえた。


次の瞬間、


視界が、途切れた。


――


気がつくと、


柔らかい感触が、頭の下にあった。


(……?)


ゆっくりと目を開ける。


視界に入ったのは、


さっきの女の顔だった。


(……近い)


状況を理解するのに、少し時間がかかる。


(……膝、枕?)


女は、こちらを見下ろしたまま言った。


「……起きた」


短い確認。


僕は、言葉が出なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ