表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/30

広がる矛盾

その夜、リアナを探していたら、荒らされた花壇に人影があった。光の魔法を使って花を再生している。


「……セレスティア?」


 そこに居たのは、セレスティアじゃなかった。リアナ。光の魔法を使えないはずの人物。


「リアナ。なぜそこにいる?」

「荒らされた花々を見ようと思って。でも、聖女様にもう治されちゃったみたい。」

「嘘つくな。今光の魔法つかっていただろ!?」

「私、光属性持ってないわ。」

「今、使ってるのを見た。治癒魔法が使えるのか……?」

「気のせいだわ、幻でも見たのよ。」

「なぜとぼける?治癒魔法が使えれば聖女になれるのに。」

「使えないわよ、使えたら隠したりなんてしないわ。」


 彼女はそのまま立ち去ろうとした。


「待て!話は終わってない。」

「何ですか?聖女様のところに戻った方がいいですわよ。」

「……どうして、あの時泣きそうな顔をしていた。」


 彼女の瞳が揺れた。動揺している。


「私、泣いてません。笑った顔、の勘違いではなくて?」

「違う。あの後1人でどっか行って泣いた。違うか?」

「……。」

「理由が知りたいんだ。光の魔法が使えるのに隠す。セレスティアのことを傷つけて、自分で泣く。訳が分からない。どうしてなんだ?」

「……殿下には関係ありませんわ。」

「関係ある。」

「……殿下に話しても分からないでしょう。」


 彼女は行ってしまった。

 その後、彼女の行動に対していくら考えても謎が深まるばかりだった。




 その後も、彼女の不可解な行動は続いた。彼女の噂はどんどん広まっていった。噴水に突き落とした、教科書を隠した――。でも、彼女を見ていたらそれは根も葉もない嘘だとわかる。彼女の行動は、一つだけ一貫してることがあった。


 それは、いくら言葉で挑発しても、手は出さない――。直接何かをしたのは、お花だけ。あれも、後で自分で治した。彼女は、いつも言葉だけだった。セレスティアを噴水に突き落としたのも、教科書を隠したのも、リアナの取り巻き。リアナ自身は何も手を出していなかった。裏で命令してるのかもと思ったけど、そういうことがあった時、いつも悲しそうな表情をしていた。そして、全部自分がやったと嘘をつく。彼女は、セレスティアに嫉妬している訳では無い。悪役になろうとしている――。リアナを観察してると、そうとしか思えなくなってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ