広がる矛盾
その夜、リアナを探していたら、荒らされた花壇に人影があった。光の魔法を使って花を再生している。
「……セレスティア?」
そこに居たのは、セレスティアじゃなかった。リアナ。光の魔法を使えないはずの人物。
「リアナ。なぜそこにいる?」
「荒らされた花々を見ようと思って。でも、聖女様にもう治されちゃったみたい。」
「嘘つくな。今光の魔法つかっていただろ!?」
「私、光属性持ってないわ。」
「今、使ってるのを見た。治癒魔法が使えるのか……?」
「気のせいだわ、幻でも見たのよ。」
「なぜとぼける?治癒魔法が使えれば聖女になれるのに。」
「使えないわよ、使えたら隠したりなんてしないわ。」
彼女はそのまま立ち去ろうとした。
「待て!話は終わってない。」
「何ですか?聖女様のところに戻った方がいいですわよ。」
「……どうして、あの時泣きそうな顔をしていた。」
彼女の瞳が揺れた。動揺している。
「私、泣いてません。笑った顔、の勘違いではなくて?」
「違う。あの後1人でどっか行って泣いた。違うか?」
「……。」
「理由が知りたいんだ。光の魔法が使えるのに隠す。セレスティアのことを傷つけて、自分で泣く。訳が分からない。どうしてなんだ?」
「……殿下には関係ありませんわ。」
「関係ある。」
「……殿下に話しても分からないでしょう。」
彼女は行ってしまった。
その後、彼女の行動に対していくら考えても謎が深まるばかりだった。
その後も、彼女の不可解な行動は続いた。彼女の噂はどんどん広まっていった。噴水に突き落とした、教科書を隠した――。でも、彼女を見ていたらそれは根も葉もない嘘だとわかる。彼女の行動は、一つだけ一貫してることがあった。
それは、いくら言葉で挑発しても、手は出さない――。直接何かをしたのは、お花だけ。あれも、後で自分で治した。彼女は、いつも言葉だけだった。セレスティアを噴水に突き落としたのも、教科書を隠したのも、リアナの取り巻き。リアナ自身は何も手を出していなかった。裏で命令してるのかもと思ったけど、そういうことがあった時、いつも悲しそうな表情をしていた。そして、全部自分がやったと嘘をつく。彼女は、セレスティアに嫉妬している訳では無い。悪役になろうとしている――。リアナを観察してると、そうとしか思えなくなってしまった。




