彼女の贖罪
夜の花壇に、光魔法を使っている少女がいた。
「リアナ、話がある。」
「……レオン様、なんですか?」
そう言いながらこちらを振り向いた彼女は、目元が赤く腫れていた。
「……!泣いたのか?」
「ふふ。レオン様は観察力が高いですね。」
彼女の笑顔は乾いていた。幸せそうでもなく、演技の甲高い声でもなく、ただ乾いた笑顔。
「……セレスティアと話した時か?」
「ええ、そうよ。彼女に泣き顔を見せてしまったわ。」
「……。2人で何を話したんだ?」
「セレスティアから聞いていないの?」
「ああ。教えてくれないか?」
「……彼女の口から聞いた方がいいわ。私は話したくない。」
「セレスティアのことは傷つけていないよな?」
「傷つけないように努力はしたつもりですわ。」
「そうか。じゃあリアナはなぜ泣いた?自分でか?セレスティアに泣かされたのか?」
「……。どうでしょうね。」
「……。何も教えてくれないんだな。」
「レオン様には関係ありません。」
彼女は泣きそうな顔でそう言った。僕には、訳が分からなかった。二人で話して、リアナが傷ついた?いや、セレスティアも泣いたけど、治癒魔法を使った可能性はある。でも、何を話したのか――。
「……レオン様、やっぱり私無理でした。」
彼女は泣きながら言った。
「……リアナ。」
「私、セレスティアに謝ったんです、今までのこと。」
「……!謝ったのか……。」
「拒絶されてしまいました。当然ですよね。」
「リアナ……!よく頑張ったな、えらい。」
僕は咄嗟にリアナをだきしめていた。
「れ、れおんさま?」
「よく頑張った。謝るなんて、普通はできないよ。ちゃんとリアナは罪に向き合ったんだよ。」
「違うよ、私が悪いことしたから――。自業自得なの。でも、そんなのわかってるのに涙が止まらない。私ってわがままだよね。自分から傷つけといて、自分が傷ついたらもう立ち直れないなんて。」
「……リアナ。それは、きっとちゃんと向き合えてる証拠だよ。セレスティアが許してくれるまで、一緒に頑張ろう?リアナは一人じゃないから――。」
「レオン様――。でも、私どうしたらいいのかわかんない。謝りたいのに、もう一度セレスティアに会うのが怖い。」
「ゆっくりでいいから。少しづつでいいから――。」
リアナは苦しそうだ。でも、それが彼女の贖罪なら、見守ることしかできない。見守るだけ。それでほんの少しでも彼女の役に立つのならば。
「リアナ、君はもう一人じゃないよ。」
ありがとう、と彼女が小さく呟いた。




