恐れていたこと
あの後、リアナを置いて出ていってしまった。莉亜が死んだら――。そしたら、やり直す意味が無いじゃないか。次こそ救うって決めたんだから。
リアナに会わないようにしようとしたけど、結局会ってしまった。リアナが、セレスティアに話しかける。
「聖女様、私ね、昨日レオン様と一緒に図書館行ったの。」
「……資料探しですよね。」
「まあ、知っていたなんて。レオン様は律儀に理由を教えているのね。それともあなたが束縛しているの?」
「……そんなことしていません……!」
「レオン様、本当はどうなんですか?執拗に聞かれて仕方なく答えたんですよね?」
「そんなわけない。自分から、言った。」
「まあまあ。嘘つかなくてもいいのに。あ、それとも聞かれる前に自分から答えたら詮索が無くなると思ったんですか?セレスティアの束縛が激しいって噂が流れてますわ。なんでも、大地の魔法で眠らせて、レオン様の記憶を勝手に覗いてるそうで。」
「そんなことしていません!人聞き悪い噂広めないでください……!」
「広めたのは私じゃないわ。やられた張本人よ。」
「……!レオン様!?」
セレスティアの不安そうな目がこちらを見た。リアナの意図が分からない。セレスティアだけじゃなくて、僕まで挑発しようとしている。何が狙い?何のために?考えれば考えるほど分からなくなった。
「知らない!そもそも、セレスティアはそんなことする人じゃない。」
リアナの話がどんどんエスカレートしていってる。やばい。止めないと。このままだと、本当に処刑される運命になる。
「リアナ、やめろ。」
「もしかして、もう聖女様に洗脳されたのかしら?じゃあ、聖女様の洗脳をとかないとね。」
「リアナ。」
「怒んないでちょうだい、レオン様。落ち着いたらきっと洗脳はとけるわ。冷静になりましょう、レオン様。聖女様が教えてくれてもいいのよ?どんなことをしているのか。洗脳をする本人から聞く話も面白そうよね。視野が広がりそうだわ。でも、洗脳されている側の話もぜひ聞いてみたいわ。どちらから話してくれるのかしら?」
リアナの挑発は、僕の怒りと焦りを引き出した。セレスティアのことを悪くいい、こちらの話を聞かない。ああ、理性を保とうとしてるのにこのままじゃリアナのペースに呑まれてしまう。
「リアナ、やめろ。これ以上セレスティアを侮辱するな。」
「レオン様、噂の真相を教えてほしいわ。聖女様はどんな束縛をなさるの?」
「莉亜、やめろって言ったよな!」
僕は、反射的に莉亜に飛びかかっていた。
もう、その時には理性がなくなっていた。
「莉亜、それ以上セレスティアを傷つけるな。」
「……れ、れおんさま?」
「わかったか。」
「はい……。」
莉亜は、怯えた表情をしていた。
その表情を見て、僕は冷静になった。
冷静になった僕には、たくさんの後悔が襲った。
リアナを傷つけてしまった。
セレスティアの前で莉亜と言ってしまった。
僕は感情に任せて取り返しのつかないことをしてしまった――。




