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第45話:夜を縫い合わせる者、あるいは概念の天蓋

夜空の下に突如として現れた、四足歩行の巨大煉瓦倉庫――移動要塞『グラウンド・テラー』。

そのあまりに巨大な異形と、地表に穿たれた底なしの穴を神々の目から隠蔽するため、ショウは「夜空そのものを素材として縫い合わせる」かのような空前絶後の大仕事に挑みます。


(……大きいなんてレベルじゃない。これはもう、景色そのものを巨大な布で包み込む作業だ……!)


ショウは、神の糸を爆発的な勢いで紡ぎ出した。

 彼の指先はもはや肉眼では捉えられず、瞬く星明かりや夜の闇さえも物理的な素材として編み込んでいるかのように見えた。


『テイラー、要塞本体だけでなく、地下から這い出した際の『穴』も、神の視界には不自然なノイズとして映ります。すべてを隠蔽対象に含めてください』

「わかってる!糸に【概念:認識阻害】と【概念:虚無】、そして周囲の景色を透過させる【概念:景観同調】を三重に織り込む!穴には【概念:土壌回復】もだ!」


ショウのステータスは「1」だ。だが、「仕立てる」という一点において、彼の集中力は神の理を塗り替える領域に達していた。

 夜空から降ってきたのは、漆黒にして透明な、あまりにも長大で巨大な「概念のマント」だった。


――フワリ。


その巨大な布が、歩く煉瓦倉庫の巨体を完全に覆った。地表を抉った穴も優しく包み込み土壌の回復を待つ。

 その瞬間。そこに確かに存在していた四つ足の異形も、大地に開いた大穴も、駆動する重低音も魔力の残滓も――すべてが掻き消えた。


「……はぁ、……はぁ。……間に合った、か」


ショウが肩で息をしながら膝をつくと、T3内部への階段が下りてきた。

動き出したグラウンド・テラーの乗り心地は、外見の不格好さからは想像もできないほど快適だった。四本の巨大な足が地を蹴り、地響きを立てて進んでいるはずなのに、内部にはコーヒー一杯の表面を揺らすほどの振動すら伝わってこない。

 極限の緊張状態を脱し、ようやく人心地ついた一行は、ここで初めて自分たちの胃袋が悲鳴を上げていることに気づいた。


「さすがに腹が減ったな。……一旦、食事にしよう」


ショウがリリティアに「食事は摂るのか?」と尋ねると、彼女は弱々しく、しかしはっきりと頷いた。


「……はい。肉体は人間と同じ構造ですから、栄養が必要です。……まだ寝ている二人にも、補給をさせてあげてください」


まだ意識の戻らない二人の複製体クローンの女性たちには、エリオが用意した流動食を慎重に摂らせることになった。ショウは食事の準備をしながら、この巨体を軽々と動かし続けるT3のブロックに問いかけた。


「T3、改めて聞くけど、君のエネルギー源はなんなんだい? この巨体を動かすには膨大な燃料が必要なはずだけど」

『魔力や太陽光はもちろん、移動時の地動の振動、大気の熱量……あらゆる環境事象をエネルギーに変換可能です。さらに、余剰エネルギーを物理的な『ブロック』へと再構成し、自己増殖することもできます』

「……それって、極論を言えば相手からの攻撃魔法や物理衝撃さえも、すべてエネルギーとして食らって、T3自身がさらに巨大に増え続けることができるってことか?」

『肯定します。外敵からの干渉は、我らの質量を増大させる糧に過ぎません。破壊しようとする行為こそが、我らをより強固な防壁へと成長させます』

「すごいな……無敵の増殖捕食要塞じゃないか。神様が嫌がるわけだ」


T3は淡々と、戦場までの正確な到着時間を告げた。


『現在の巡航速度で、独立都市エトワール到着まで約24時間。テイラー、それまでお休みください。肉体の疲労は概念の精度を下げます』

「歩きだと何日もかかる距離なのに、24時間……。神の目を盗んでこの速度、本当に頼もしいよ」


T3とエリオは、王都の秘密書庫から持ち出した禁書や資料の「学習」を不眠不休で続けるという。情報の解析を彼らに任せ、ショウたちは泥のように深い眠りにつくことにした。


「お休み、みんな。……」


29歳、成人男性。

 歩く煉瓦倉庫の奥底で、彼は明日への活力を蓄える。

 歪んだ歴史を縫い直すための本当の「仕立て」は、目覚めた後から始まるのだ。


第45話をお読みいただきありがとうございました!

超巨大マントによる要塞隠蔽と、シノの無事な帰還。

そしてT3の「攻撃を喰らって増殖する」という驚異の防衛機能が明かされました。

いつも応援ありがとうございます!次回、お楽しみに!

面白いと思っていただけたら、ぜひブクマや評価をお願いします!

※AIとの共同執筆作品となります。


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